子どもとお出かけ情報サイト「いこーよ」は親子の成長、夢の育みを応援します!

子どもは何歳から添い寝なしで1人で寝かせるもの?

掲載日: 2016年2月9日更新日: 2017年10月25日近藤 浩己

欧米では、赤ちゃんの頃から1人で寝かせるスタイルが主流ですが、日本では親子が同じ布団で並んで眠る「添い寝」の文化があります。親が寄り添い眠ることは、子どもにとってどんな効果があるのでしょうか。また、何歳頃から子どもを1人で寝かせるべきなのでしょうか。専門家に聞きました。

3歳〜4歳までの添い寝は親子の愛情をぐんぐん深める

「添い寝は、赤ちゃんに愛情をたっぷりと伝えられる行為の一つです。」

こう話すのは、“子どもの将来は「寝室」で決まる”の著者で、教育学博士の篠田有子さん。中でも、生まれてから3歳〜4歳までの添い寝経験は、子どもの心の安定に大きく関わるといいます。

3歳〜4歳までというのは、子どもの脳が急速に発達する時期。このときに、安心感を感じながら過ごすことは、子どもの情緒の安定につながります。」

「そういう意味で添い寝は、暗闇という不安な状況の中で、母親の寝息やにおい、肌のぬくもりなどを感じられ、とても安心できる行為です。3歳〜4歳までは、言葉よりも聴覚・嗅覚・触覚といった感覚によって情報を取り入れている時期でもあるので、ふれあいの中で愛情を伝えられる添い寝は、心の安定にとても効果的なのです。」

また、子どもの寝息やぬくもりを感じることで、ママも我が子への愛しさが増し、育児の楽しさを感じやすくなると篠田さん。

「ぬくもりを互いに感じることは、親子間の愛情をどんどん深めてくれます。子どもも、愛されているという自覚がママへの信頼感につながり、少々厳しいことを言われても『ママは自分を愛しているから言ってくれているんだ』と解釈できるようにもなりますよ。」


添い寝が長引くと自立心が育ちにくくなる…!?

子どもの心の安定にも効果がある添い寝。それでは、ずっと添い寝を続けたほうが良いのでしょうか?

「いいえ。あまり長く添い寝を続けると、子どもの自立心が育ちにくくなります。自立心が育たないと、母親に頼ってばかりになりますし、人を気遣う心や責任感、自制心なども育ちにくくなるのです。」

自立心を育てるためには、自力で厳しい環境を乗り越える必要があるのだとか。それを経験できるのが1人寝だと篠田さんは言います。

「暗闇で1人で眠るのは、子どもにとってはすごく怖いこと。手を伸ばしても母親はいなくて、誰にも頼れないんです。そういう恐怖を自分で克服してこそ、自立心が育つのです。」

恐怖を乗り越える経験を重ねることで「自分の問題は自分で解決する」という気持ちが芽生え、自立心が促されていくそう。

「そうして『ここは自分で何でもしなければいけない場所なんだ』という責任を持つようになると、子どもは自立していけるんです。1人で寝る寝室は、物理的にそうしたテリトリーを与えられるんですよ。」

4歳〜5歳からの1人寝が社会性を育くむ

では、何歳くらいから1人寝を始めればよいのでしょうか。

「基本的には、4歳〜5歳を過ぎればいつでもいいと思います。3歳~4歳までは感性の発達が著しいですが、それ以降は知性がどんどん発達していく時期。知性の発達と密接な関わりがある自立心が育てば、新しい環境や仲間にも溶け込みやすくなりますし、場と状況に合わせた行動を考えるといった自我も育ちやすくなります。」

また、この時期の1人寝は、「ママは自分とは別の1人の人間」だと気づかせる意味でも大切だそう。

「母親は、子どものママであると同時に、パパの奥さんでもあり、社会の中で生きる1人の人間。それに気づくことは、社会性を身につける上でとても大切です。」

「それに気付けないと『私だけのママだから、私のためなら何でもしてくれる』という依存心が生まれ、子どもの自立や社会性の構築を妨げてしまいます。自我が育つこの時期に、物理的に母親と離れて寝ることは、個人の『個』を意識することにつながり、社会性のベースを作ってくれるのです。」

とはいえ、4歳〜5歳になったら必ず1人寝をしなくてはいけない、というわけではないと篠田さん。

「働くお母さんは、どうしても子どもと一緒に過ごす時間が少ないもの。そうした場合は、愛情確認の時間を補う意味でも、添い寝の期間が長くなってもいいと思います。でも、自立をスムーズにするためには、遅くても小学校の高学年くらいには1人寝デビューをさせてあげてほしいですね。」


慣れるまでは「寝つくまでの添い寝」

子どもの自立に大きく関わる1人寝。スムーズに1人で寝られるように、ママはどんなサポートをしてあげればよいのでしょうか?

慣れるまでは、寝つくまでの間だけ添い寝をしてあげてもいいですね。ベッドの隣に座って絵本を読んであげたり、その日のできごとを話したり。『1人で寝なきゃいけないけど、あなたのことを愛しているんだよ』という気持ちが伝わるコミュニケーションがあれば、子どもに安心感が生まれます。」

また、いつもと違う状況で不安そうなときは、無理をせず、一緒に寝てあげればいいと篠田さん。

「台風や雷、旅行のときなど、非日常な環境のときは、そんなに厳しくしないで一緒に寝てあげていいと思います。最初のうちは、週に1回くらい添い寝をする日を作ってもいいですね。そのうちに慣れて、ちゃんと1人で寝られるようになりますから。」

子ども同士の絆が深まる「きょうだい寝」

兄弟姉妹(以下、きょうだい)がいる場合は、子どもたちだけで寝かせるのもおすすめだとか。

暗闇の中、親から離れてきょうだいだけで寝ると、お互いに頼り合える良いきょうだい愛が育ちます。お兄ちゃんは弟を支えようとお兄ちゃんらしくなりますし、弟はお兄ちゃんを頼れる存在として認めるようになる。これは、性が違っても同じです。」

ベッドは別でも、同じ部屋で眠るだけできょうだいの絆がぐっと深まるのだとか。

親には話せないけど、きょうだいになら話せるといった信頼感も生まれますし、きょうだいだけで過ごした時間は、大人になってもいい思い出として残ります。そのうち、上の子の受験などで、必然的にそれぞれが1人寝になるときが来ますから、きょうだいだけで過ごせる貴重な時間を、ぜひ体験させてあげてほしいですね。」

親から離れて眠ることは、自立心や社会性を育てるためにも必要な行為。離れて寝るのが寂しいママもいると思いますが、子どもが社会でたくましく生きていけるように、ぜひサポートしてあげたいですね。

お話を聞いたのは…

  • 篠田有子さん

    教育学博士。東京大学教育学部卒。過去に、日本女子大学家政学部児童学科講師、日立家庭教育研究所教育研究委員、東京都武蔵野市教育委員会委員長などを務めた。日本と米国で3児の子育て経験をもつ。著書に『母と子のアメリカー幼児教育の未来をさぐる』(中公新書)、『子どもの将来は「寝室」で決まる』(光文社新書)など。セガトイズより発売された、ひとり寝を励ますぬいぐるみ「ウォーリーイーター(WORRY EATERS)」の公式HPにて、推薦者コメントを掲載中。

  • 「ウォーリーイーター(WORRY EATERS)」公式HP
  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • RSS
  • follow us in feedly
  • チェック

ライター紹介

近藤 浩己

1974年生まれ。ライターズオフィス「おふぃす・ともとも」のライター。トラック運転手からネイルアーティストまでさまざまな職を経験。しかし幼い頃から夢だった「書くことを仕事にしたい!」という思いが捨てきれずライターに。美容・ファッション系ライティングが得意だが、野球と柔道も好き。一児の母。

ライターの最新記事

あなたにオススメの記事