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ママはみんな悩んでる!子どもにイライラするのは悪いこと?

掲載日: 2016年2月15日更新日: 2017年2月16日衣山 泉

どんなに子どもを愛していても、ついイライラして怒鳴ったりきつく当たってしまうことってありますよね。でもできればイライラせずに子育てがしたい! そこで子育てにまつわるイライラの原因、イライラの受け流し方など、現役ママでもある心理学博士の山本ユキコ先生にお話を伺いました。

ママがイライラするのは当然!


できることならイライラすることなく、笑顔で楽しく心穏やかに子どもに接したいものですよね。でも毎日、家事や仕事、お付き合いなどの雑事に追われ、さらにご飯をひっくり返されたり、急いでいるときに限ってグズられたりすると、つい子どもに対してイライラ。それで子どもに怒鳴ってしまった後に、「私ってダメ母だなあ」と落ちこんだりして…。

「うんうん、よーくわかります。そうですよね、私もしょっちゅうイライラしていますよ(笑)。というより、子育て中のママがイライラしてしまうのは当たり前なんです。」

山本先生曰く、ママがイライラするのは、たいていは複数の理由が合わさって起こるものだそう。

「ひとつは、生理的な、ホルモンの影響です。母乳で子育てをしている母親は、そうでない時に比べると倍の攻撃性があるというデータがあります。子どもを守ろうとする本能のせいなんでしょうね。」

「さらに、女性にはPMS(月経前症候群)で自分の気持ちをコントロールしにくい時期が必ずあります。これも女性にもともと備わっている性質ですから、もはや仕方がないと受け入れるしかありません。その時期がいつ来るのか、カレンダーなどで前もって把握しておくと気持ちとしては楽だと思いますよ。」


産後は特にイライラしがち

「さらに疲労、ストレスです。特に産後は、子どものいなかったそれまでの生活とガラリと変わってしまうわけですから、それがストレスになるんです。育児中の女性にうつ病のスクリーニングテストをすると、一般的に危機的といわれるレベルを3倍超えたぐらいのストレスをみんな持っています。びっくりですよね。産後の生活の変化量が、自分の許容量を越えているわけです。」

そんな過酷な状況の中、ママたちはみんながんばっているわけですね。

「そうなんです。もともとこれまでの日本は、地域で子どもを育てていたわけですよ。生まれてから1カ月間、お母さんは床でおっぱいだけをあげて、赤ちゃんのお世話はおばあちゃんとか周りの人たちが全部してくれて。産褥期を過ぎた後は、労働をするお母さんの代わりに、兄弟姉妹やお父さんが赤ちゃんの面倒をよく見ていたのです。」

「つまり、母親が子どもを一人でずっと世話するという状況自体が、ここ数世代の異常な状況なんですよ。だから基本的に現代の育児はすごく無理があるわけです!ママがイライラするのは当然なのです。」

責任感の強い人ほどイライラしやすい

そのほか、ママ自身の性格によるところもあるそうです。

「よく言われていることですが、子どもに対しての責任感が強すぎる人は、子どもにイライラしやすいです。『うちの子はこうしなくちゃいけない』『できないのは私のせいだ』と思い込み、『なぜちゃんとできないの?』『なぜうちの子ばっかりこうなの?』と理想とのギャップに苦しみ、自分を責めることがイライラにつながるんでしょう。」

「しかし、そもそも子どもの性格や、夜寝ないなど、子どもの気質の半分以上は生まれつき持っているもの。育て方のせいではないんです。だからそれを理解したうえで、『うちの子はこういう子なんだ』『こういう性格を持って生まれたんだろうね』と考えるしかないですね。」


「イライラ」が教えてくれること

それでも湧き上がってくるこのイライラ、どうやって抑えたらいいのでしょう? 

「イライラしてしまったら抑えることはできません。10秒数える、とか無理でしょ?(笑) だからまずは『イライラしてしまったらコントロールできない』ということを受け入れるべき。あとは子どもに危険が及ばないようにだけ気をつけて、壁を蹴ろうが物を投げようが、気が済むならそれでいいと思います(笑)。」

怒ったり当たり散らしたりしてもいいんですか!? 子どもに悪い影響は?

『怒っちゃいけない』ってみんな当たり前のように刷り込まれていますが、そんなことないんですよ。怒りたいなら怒っていいんです。先ほども言ったように、子どもの性格や知能を形作る半分以上は、生まれつきの遺伝的な素因です。感受性が高くビクビクしちゃう子も中にはいますが、それは生まれつきであって、ママが怒ったせいではない。ママが多少イライラして怒ったことが子どもの性格に影響を及ぼすかどうかなんて、あまり気にしなくていいと思いますよ。」

イライラはいわばアラーム(警報)なんです。ストレスが自分のキャパの範囲を超える危機的状況だというのを教えているわけです。だから日頃からできるだけ人に頼って息抜きをした方がいいですね。」

山本先生のおすすめの息抜き法

「特別なことではなくて、例えばカフェでコーヒーを飲むとか、30分間のウィンドウショッピングとか本屋の立ち読みとか、誰にも邪魔されない自分だけの時間を持つことです。息抜きっていうと男の人は『旅行に行こう』とかよく言いますが、実際に子連れでの旅行ってきついですよね。準備は誰がするの? 帰ってきた時に誰が片付けるのよ? って(笑)。」

「そうじゃなくて、短時間でいいから昔当たり前だったことをちょっとだけするんです。コレが大事。そうして、子どもがいなかった頃の日常を少しでも体験することができれば、かなり大きな気晴らしになると思います。」

子育ては消耗戦です。長く続くものだからこそ、パパでも祖父母でも行政でも保育園の一時保育でも、なんでもいいから人を頼って、少しずつストレスを発散して何とかして乗り切っていくほかないですね。」

現代の子育て中のママがイライラするのは、ママの心が狭いわけでも、忍耐力が足りないありません。心と体がSOSを求めているのです。イライラがピークに達して自分で制御が効かなくなってしまうその前に、できるだけ人を頼り、少しずつ息抜きをしましょうね。

お話を聞いたのは…

  • 山本ユキコさん

    北九州大学文学部卒、九州大学人間環境学研究科で博士号を取得、研究職へ。結婚・出産を経て退職後、自分の子育てに悩み、救いを求めて保育学や発達心理学、認知行動学など子育てについて学ぶ。そこで学んだことをもとに「こそだてフィロソフィー」を開講、子育てに悩むママのために各地で講演などを行っている。女の子2人のママ。2016年2月に初の著書『出産・育児ママのトリセツ~「子どもができて妻が別人になりました」というあなたへ』(亡羊社)を出版。

  • こそだて心理学博士 山本ユキコさん 公式サイト
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ライター紹介

衣山 泉

幼稚園児の娘、フリーライターの夫、2匹の愛猫と福岡在住。旅行も外出も大好きだが、平日は娘のお迎え以外はほぼ家にこもりっぱなしのインドア派なので、体力が追いつきません。ほしいものは、タフな体。余力のある週末には日帰り温泉や蚤の市、焼き物の里めぐりに出かけています。

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