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入園までにできないとダメ? コップ飲みの練習法

掲載日: 2016年3月9日更新日: 2017年3月7日高柳涼子

保育園入園を控えたこの時期、「入園までにコップで飲めるようにしてください」という指示に戸惑ったり焦ったりするママも多いよう。そこで、子どもの教育や栄養にくわしい帝京大学の上田玲子先生に、練習の進め方や効果的な方法を教えていただきました。

コップ飲みの練習をスタートするタイミングは?

「入園までにコップで」と指示されるのは0歳後半以降が多いと思いますが、実際にコップが使えるのはどれくらいからなのでしょうか。

一般的には7カ月〜8カ月頃でしょうか。5カ月〜6カ月頃に離乳食をスタートした場合、慣れてくるとスプーンからとろとろ状のものを唇を使って取り入れ、唇を閉じてゴックンとできるようになります。その次に絹ごし豆腐状のものを上下の唇で取り込み、唇を閉じてモグモグしながら食べられるようになりますので、そのような様子が見られたら、練習をスタートしてみましょう。」

同じ月齢でも個人差が大きい乳児期。離乳食の進み方で判断すれば、早く始めすぎてうまくいかず空回り…ということも避けられそうですね。

練習にはどれくらいの期間を考えておくとよいのでしょうか。

「最初は『ひと口分を口に入れてはゴックン』の1回飲みですが、1カ月〜2カ月すれば連続してゴクゴクと飲めるようになる子が多いですね。赤ちゃんにとって、容器のふちを唇ではさんだり、上唇で飲む量をコントロールするのは大変なこと。最初はうまく飲めないことも多いですが、気長にチャレンジしてみましょう。」


赤ちゃん用のマグは練習に必要?

スパウトやストローパーツ、コップパーツなども用意されている赤ちゃん用のマグ。これらはコップ飲みの練習の前に用意しておいたほうがいいのでしょうか。

上田先生にお尋ねすると「実はスパウトやストローマグ、コップパーツの必要性は特にありません」という意外な答えが。

「マグはこぼれにくい、おとなしくしているなど、子どもより親など周囲の大人にとってのメリットが大きいのです。ストローも吸うことを覚えるのには便利ですが、食べる機能の発達を促すなどのメリットは特にありません。」

お出かけなどにはとても便利な赤ちゃん用のマグですが、コップ飲みの練習だけのために準備する必要はなさそうですね。

また、ストローマグは、1歳を過ぎたら卒業するのが基本だとか。

1歳以降でもコップ飲みを覚えず、ストローマグだけを使い続けていると、舌の発達が遅れて発音(言葉)の支障が生じることが問題になっています。舌は奥から前方に向かって発達しますが、ストローだと舌の先端や唇を閉じたり開いたりする動きで水分量を調節する練習ができないため、1歳を過ぎたらなるべく使わないほうがいいでしょう。」

「それでもこぼされるのはイヤだから使いたいという場合には、ストロー部分を切ってだんだん短くし、最終的に段差がなくなるようにすればストローなしで飲めるようになります。こうすればコップ飲みも自然にできるようになりますよ。」


コップ飲み練習の進め方

コップ飲みの基本的な進め方やコツを上田先生にお聞きしてまとめてみました。
※月齢は5カ月〜6カ月頃に離乳食をスタートした場合の目安です。

準備:まずはコップに慣れさせる

コップの練習を考え始めたら、まめにコップを持たせて慣れさせてあげましょう。

「自分は飲まずに花に水をあげたり、ぬいぐるみにあげたり、こぼして喜んだりすることもありますが、コップを持つことや、飲むだけでなくいろいろな用途に使うことも学習なので、子どもの自由にさせてあげてください」と上田先生。

お風呂場や屋外など濡れても大丈夫な場所なら、ママの負担も少ないですね。

「コップに慣れてきたら『飲んでみようか』と『飲ませてくれる?』などと声をかけたりして、飲むことに興味を持たせるのもいいですね。口に入れる水分の量は、最初は親が調節し、慣れきたら自分でさせてみましょう。」

ステップ1:コップの縁を唇ではさむ練習(7カ月〜8カ月頃から)

スプーンに慣れてきていたら、容器の厚さに合わせて上唇と下唇ではさむことを覚えさせます。スプーンと同じく最初は親が口に流し入れますが、少しずつ自分で唇を使って飲めるようになります。

ステップ2:飲む量を調節できるように(9カ月〜11カ月頃から)

コップのふちを下唇に軽くのせてから傾けてあげると、上唇で飲み物を止め、1回の量を調節しながら飲めるようになります。慣れてくると何度も続けてリズミカルに止めて調節し、連続でごくごくゴクゴクと飲めるようになっていきます。


コップ飲みのコツや注意点、効果的なサポート方法は?

スムーズにコップ飲みを覚えるには、用意するコップの形など、親のサポートも大切。上田先生に伺ったコップ飲みのコツや注意点は次の通りです。

コップは軽く小さく、少量から始める

最初はおちょこやワンショットグラスなど、鼻や顔が隠れない浅めの容器が最適。ミニサイズの乳酸菌飲料の空き容器も、ほどよい大きさと軽さが小さな手にも持ちやすく、練習のスタートにおすすめです。

慣れてきたところで連続飲みの練習に向く幅広のコップにステップアップするとスムーズです。身体が大きい場合や持つのが上手な場合は最初からコップサイズでもOK。軽くて両側に取手がついたものがおすすめです。

容器に入れる量は少なめから。たくさん入れるとむせてしまうこともありますし、少ないほうが「全部飲めた!」という達成感が味わえます。

自分で持てたら顔を下に向けて飲む

自分でコップを持てるようになったら、顔を下に向けて飲み始めるようにさせましょう。コップの傾け加減と口に入る量の感覚がつかみやすく、連続で飲むのも意外と簡単。一度コツをつかむとぐーんと上手になるので、1歳を過ぎている場合は1日でマスターする場合もあります。

最初こそ親のきめ細かいサポートが必須ですが、じょうずに飲めればきっと本人の意欲も増して、どんどん自分でやってみたくなりますね。上手に飲めたらたくさんほめてあげましょう。


最後に少しだけ筆者の経験をお伝えしておくと、コップ飲みができていなくてももちろん入園はできます(笑)。入園したとたん、“サポートのプロ”である保育士の声かけに励まされたり、同年代のお友だち、お兄さんやお姉さんにつられたりするおかげか、「家ではあんなに苦労したことがあっさりできちゃった!」ということが、コップ飲みに限らず多いように思います。

入園を控えた時期は、子ども関連の準備はもちろん、復職に向けた準備も多くてとても大変なもの。焦ったり気張ったりせずできる範囲でコップの練習に取り組んで、残り少ない入園前の親子のひとときを少しでもゆったりした気持ちで過ごしてくださいね。

お話を聞いたのは…

  • 上田玲子先生

    帝京科学大学こども学部幼児保育学科教授ほか、山梨大学、東洋英和女学院大学の非常勤講師など、多くの顔を持つ。専門分野は 母性・小児栄養、栄養教育。『健康教育 ヘルスプロモーションの展開』『新版 子どもの食生活』、『よくわかる離乳食』『はじめての離乳食と幼児食』など著書多数。ヘルシーな食事と豊かな時間を提案するブログ「れいこのあったかサロン」やフェイスブックを更新中。

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ライター紹介

高柳涼子

雑誌編集部勤務を経てフリーランスに。ライティングと校正を中心に、ときどき編集もやる3児の母です。これまでに関わった分野は、求人、進学、ウェディング、アート、手芸、田舎暮らし、食育、仏教、料理など。

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