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お花見で話したい桜雑学・なぜ開花予測にソメイヨシノを使うの?

掲載日: 2016年3月22日更新日: 2017年5月16日岡本有紗

いよいよ東京でも桜が開花し、お花見シーズン到来!「さぁ出かけるぞ」とウキウキの皆さん、桜には面白い特徴がいっぱいあること、ご存じですか? 桜に関する著書をお持ちの井筒清次さんに、桜の雑学をいろいろ教えていただきました。

この記事で取り上げる「桜雑学」

  1. すべての桜の木に「さくらんぼ」はなるの?
  2. なぜ開花予測に「ソメイヨシノ」を使うの?
  3. 桜の葉には毒がある…!
  4. 緑の桜や、冬に咲く桜もあるの?

すべての桜の木に「さくらんぼ」はなるの?

「桜の木にさくらんぼがなるの?」。花開いた桜を見た子どもから飛んできやすい質問がこれ。はたして、すべての桜の木に、さくらんぼはなるのでしょうか。

「実は、さくらんぼがなる桜と、ならない桜があります。桜は、植物の分類上、バラ科サクラ属のサクラ亜属に属します。さくらんぼをつけるのは、そのなかの『ミザクラ』という品種です。」

桜の品種はとても豊富で、しかもその大半が交配で作られた栽培品種。なんと250〜300種もあるそうです。ところが、これらはすべて、食用のさくらんぼがなる木ではなく、花を楽しむ観賞用の木。一方、ミザクラは観賞用ではなく、果物のなる木です。

つまり、私たちがよく目にする桜の木と、さくらんぼをつけるミザクラでは、そもそも木の種類が違う、というわけです。

では、咲き終わった桜の枝になる、あの小さな赤い実は何なのでしょうか。井筒さんによると、これはあくまで「桜の実」。さくらんぼという果物とは違うので、食べてもおいしくないそうです。残念。


なぜ開花予測に「ソメイヨシノ」を使うの?

桜にはたくさんの種類があるのに、開花予想に使われる木の大半はソメイヨシノ。それはなぜでしょうか。

ソメイヨシノは一本の原木から接ぎ木か挿し木で増やされたので、遺伝的な性質が全部同じ『コピー(クローン)』なのです。ある気温、同じ日照時間というように、条件がそろうといっせいに開花するため、標準とするのには最適な桜なのです。」

ソメイヨシノはもともと、幕末の頃、江戸の染井(ソメイ)村の植木屋・伊藤伊兵衛政武が開発した桜、と言われています。たった1本だけ開発されたものが、どんどんコピーされて日本全国に広がっていったのです。

あんなにたくさんあるソメイヨシノが、全部1本の木から生まれたコピーだったとは驚きです! 

でも、なぜコピーしかないのでしょう。他の増やし方はできなかったのでしょうか。

「多くの桜は、自分の花粉だけでは種を作ることができないという性質(自家不合和性)を持っています。ある桜が自分の子孫を作るためには、同じ種類の別の桜から飛んできた花粉を受粉しなくてはならないのです。しかし、ソメイヨシノはそもそもたった一本しかないので、子孫を作ることができません。このため、挿し木などのコピーで増やすしか手段がなかったのです。」

そんなソメイヨシノが地道に増やされ、「桜といえばこれ!」というほど広まったのはすごいですね。


桜の葉には毒がある…!?

桜餅に巻かれている桜の葉からは、いい香りがふんわり。あの香りはいったいなんでしょう。

クマリンという芳香成分です。ふつう桜の花や葉は香らないのですが、塩漬けにされて糖分が分解されるとクマリンが生まれます。」

リラックス効果や抗菌効果を持つというクマリン。ところが、一方で、肝臓に害をもたらす「肝毒性」を持つという報告もあるのだとか…!

でも、桜餅に巻いてある葉は食べることも多いですよね。毒であるクマリンが含まれているのに、食べても大丈夫なんでしょうか?

「どのくらいの量を食べていいかどうか具体的なことは言えませんが、桜餅は昔から、葉の芳香を含めて賞味されてきたもの。他にも花を塩漬けにした『桜漬け』、桜漬けにお湯を注いで飲む『桜湯』など、日本には桜を食してきた歴史があります。」

なるほど。少し楽しむ程度なら、そんなに心配しなくていいのかもしれません。

実は、クマリンは桜だけではなく、シナモンやミカン、セリなどにも含まれているとか。桜とは全然違う匂いに思えるのに、クマリンという共通の芳香成分が含まれているなんて、毒性より、そちらの方が驚きかも?


緑の桜や、冬に咲く桜もあるの?

桜の花って、基本ピンクだと思いますよね。
でも実は、変わった色の桜もあるとか?

「実は、緑の桜があります。代表的な品種は『鬱金』(うこん)と『御衣黄』(ぎょいこう)のふたつ。江戸時代、変わった色の桜を開発しようという流れの中で生み出されたそうです。」

「鬱金」は淡い黄緑、「御衣黄」はかなり緑に近い黄緑の花だとか。ぜひ一度見てみたいものですね。

ちなみに、ソメイヨシノが咲くのはおおむね3月下旬から。ということは、桜はもちろん春の花?

「いいえ。日本では一年中、どこかで桜が咲いているといっても過言ではありません。」

井筒さんによると、沖縄のカンヒザクラが開くのは1月中旬から。北海道のタカネザクラは雪解けの後、6月くらいに咲き始めるそう。

さらに、秋冬にシーズンを迎える桜も!?

「ほんの一例ですが、冬桜は10月頃からがシーズンです。サトザクラという品種のひとつである不断桜にいたっては、秋に開いて春までずっと咲き続けます。紅葉と桜を同時に楽しみたいと、近年は10月を心待ちにする人も多いようですね。」

桜の季節に終わりはないのですね!

以上「お花見で話したい桜雑学」でした。意外と桜のことを知らなかったという方も多いのでは? 今年のお花見では、お子さんやご友人に、ここで学んだ桜雑学を教えてあげてくださいね!

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お話を聞いたのは…

  • 井筒清次さん

    早稲田大学政治経済学部卒。百科事典、歴史雑誌等の編集を経て、歴史、宗教、食文化などをテーマに執筆および出版プロデュース活動を行う。著書に「おもしろくてためになる桜の雑学事典」(日本実業出版社)、「童謡 唱歌の故郷を歩く」(河出書房新社)、「日本宗教史年表」(同前)など。

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ライター紹介

岡本有紗

2児と猫3匹を育てるライター。メディカル系専門の広告制作会社でライティングと編集業務を経験後、出産を機にフリーに。得意分野はやはりメディカル系だが、いろいろな分野を経験し幅を広げたいというのが現在の目標。趣味はあえてチープな手段で行く一人旅(休止中)、特技はハモリと絶対音感。

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