子どもとお出かけ情報サイト「いこーよ」は親子の成長、夢の育みを応援します!

流行してからじゃ遅い!?妊娠前に「風疹」の抗体値チェックを

掲載日: 2016年6月23日更新日: 2016年6月23日宇都宮 薫

近年、大人の間での流行が問題になっている「風疹」。平成24年から25年にかけて大流行したのも記憶に新しいですね。この時、流行の中心となったのが、20代〜40代の男性です。風疹は予防接種で防げる病気ですが、どうして今、大人の間での流行が問題になっているのでしょうか? 北浜こどもクリニックの北浜直先生に伺いました。

感染経路は? 症状は? 風疹とはどんな病気?

最近大人の間でも広がっているという風疹ですが、どんな病気なのでしょうか?

風疹は “風疹ウィルス”による感染症です。咳やくしゃみなどで飛沫感染し、昔は子どもがよくかかる病気として知られていました。“三日はしか”とも呼ばれていて、赤く細かい発疹が全身に出て、発熱やリンパ節の腫れなどが3日〜4日続きますが、その症状は軽く済む場合がほとんどです。」

現在の子どもたちは、1歳代と小学校入学前の2回、麻疹風疹混合ワクチン(MRワクチン)を接種する機会があるので、子どもの間で風疹が流行することはほぼなくなったのだそう。今問題になっているのは、風疹に対する免疫のない大人の間での流行だといいます。

「風疹がもっとも怖いのは、妊婦さんに感染した場合です。妊娠20週頃までに風疹にかかると、“先天性風疹症候群”といって、生まれてくる赤ちゃんに、心疾患や白内障、難聴などの障害が生じることがあるのです。妊娠初期に感染するほどその確率は高くなると言われています。」

風疹は、かかった場合の症状そのものよりも、妊婦さんへの感染が問題なのですね。では、なぜ風疹の免疫がない大人が多いのでしょうか?


世代や性別によって異なる風疹ワクチンの接種状況

風疹の予防接種制度は、対象者や接種時期、回数などがこれまで何度か変更されているため、世代によっては一度もワクチンを打っていない人がいるのだそう。

「幼児期のワクチン接種が制度化される前までは、自然に風疹に感染する子どもも多くいました。一度風疹に感染すれば、生涯続く免疫を獲得するのですが、風疹にかかることなく、ワクチンも打たずに大人になった人も大勢いるのが現状です。」

過去には、接種の対象が“中学生女子のみ”だったり、中学生の時に個別に医療機関で接種する制度だったので、20代〜40代の男性は、接種率が低くなっているそうです。

「また、子どもの頃に予防接種を受けていても、すでに免疫が低下している場合もあります。20〜40代の女性でも、約14%は十分な抗体を持っていないと言われています。第一子妊娠の時には風疹の免疫を持っていても、第二子の時には抗体値が下がっているということもあり得るんですよ。」

過去に予防接種をしていても、必ず安心というわけではないのですね。そのため、妊娠を考えている人は、妊活前に抗体値検査や予防摂取を受けることが大切とのこと。


予防接種は妊婦さんはNG。妊活前に夫婦で接種を

さらに、抗体値検査や予防接種を受ける場合には、女性だけでなく、パートナーの男性も一緒に受けることが大切だと北浜先生はいいます。

「妊婦さんに風疹をうつさないために、男性も積極的に風疹の予防接種を検討して欲しいですね。女性の場合、予防接種をしてから約2カ月間は妊娠を避ける必要があります。妊娠後の血液検査では風疹の抗体値を調べますが、ワクチンは、妊娠してからでは打てません。ですから、妊活前の接種が大事なのです。」

抗体検査や予防接種は、内科など身近な医療機関で受けることができますが、いずれも金額は5,000円台〜6,000円ほど(医療機関により異なる)。

風疹ワクチン接種、抗体検査の費用助成をしている自治体も多く、例えば東京都では、19歳以上の妊娠を希望する東京都在住の女性に対して、無料で風疹抗体検査を実施しています。また、東京23区の各自治体では、風疹の予防接種の全額または一部補助も行っています(一部補助の金額は自治体により異なる)。

風疹ワクチン接種、抗体検査の費用助成の有無は自治体によって異なるので、妊娠を希望している人は、地域の保健所に問い合わせてみるといいですね。これから生まれてくる赤ちゃんたちを守るためにも、ワクチンで風疹を予防しましょう。

お話を聞いたのは…

  • 北浜 直 先生

    北浜こどもクリニック院長。「地域に密着したママの駆け込み寺」を目指し、「どんな些細な相談でもウェルカム」という理念で多くの患者を受け入れている。

  • 「北浜こどもクリニック」ホームページ
  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • RSS
  • follow us in feedly
  • チェック

ライター紹介

宇都宮 薫

編集プロダクション勤務を経て、フリーランスの編集者・ライターとして活動。雑誌・ウェブメディアなどへの執筆のほか、単行本(ビジネス書・実用書)の編集・構成を手掛ける。得意ジャンルは、出産、育児、健康、おでかけ、芸能、グルメなど。まち歩きとバイクが好き。

ライターの最新記事

あなたにオススメの記事