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音と絵で赤ちゃんもにっこり!オノマトペ絵本の魅力とは?

掲載日: 2016年7月20日更新日: 2017年5月16日宇都宮 薫

楽しい時には「わくわく」、すべり台を「すぅー」、転んだら「ドシン!」。動きや心の動向を直感的に表す言葉「オノマトペ」。普段の私たちの身の回りにも、さまざまなオノマトペがあふれていますね。

この表現を使った絵本は子どもたちにも大人気! そこで愛知東邦大学の古市久子先生にオノマトペ絵本の魅力を教えてもらいました。

短い言葉でイメージが伝わるオノマトペ絵本

子どもの好奇心を引き出す言葉として、近年注目されている「オノマトペ」。そもそもどういうものなのでしょうか?

「オノマトペというのは、擬態語、擬音語、擬声語、擬情語の総称です。たとえば、『雨が音を立てて激しく降っています』という長い文章も、『ザーザー』の一言だけで表現できるので、小さな赤ちゃんでも直感的に理解することができます。」

短い言葉だけで、その情景までイメージできるところが、子どもたちに人気なのですね。では、「オノマトペ絵本」とは?

「その名のとおり、オノマトペを中心に描かれた作品のことです。その内容にもいろいろなパターンがあります。ひとつは、ストーリーに意味はなくても、絵と音の響きそのものを楽しむようなオノマトペ絵本。」

「例えば、谷川俊太郎さん作の『もこ もこもこ』は、地面が突然『もこっ』と盛り上がり、そのとなりに変わった形が『にょきっ』と生えてくるという、オノマトペだけで展開される不思議な絵本です。」

もこ もこもこ

(作:谷川俊太郎 絵:元永定正 出版社:文研出版 本体価格1300円+税 発行日:1977年4月25日)

「また、ストーリーの中に巧みにオノマトペが組み込まれている絵本も多いですね。たとえば、ノルウェーの昔話『三びきのやぎのがらがらどん』。小さいやぎが橋を渡るときの音は『かた こと かた こと』、中ぐらいのやぎは『がた ごと がた ごと』、大きいやぎは『がたん ごとん がたん ごとん』。」

大きさによって音が変わることで、その情景が鮮明に伝わってきます。これは、原作では『trip,trap』と表現しているものを、日本語版ではやぎの大きさによって、オノマトペを小・中・大で変えているのです。」

三びきのやぎのがらがらどん

(絵:マーシャ・ブラウン 訳:瀬田貞二 出版社:福音館書店 本体価格:1200円+税 発行日1965年7月1日)

オノマトペの辞書のような絵本もあります。五味太郎さんの『言葉図鑑2 ようすのことば』は、動作の仕方やその程度を表すオノマトペを470語も集めています。いろいろなオノマトペを一度に学べる名作です。」

言葉図鑑2 ようすのことば

(監修・制作・絵:五味太郎 出版社:偕成社 本体価格:1400+税 発行日:1985年10月)

オノマトペだけで構成された絵本や、ストーリーの中にオノマトペが組み込まれたものなど、いろいろなパターンの「オノマトペ絵本」があるのですね。


動きや音などから自然に出てくるオノマトペで、言葉の基礎作り

大人から子どもまで、みんな大好きなオノマトペ。とくに赤ちゃんは、「わんわん」「ブーブー」など、日常でもよくオノマトペを使っています。なぜ赤ちゃんは、オノマトペに興味を示すのでしょうか?

「赤ちゃんが言葉を覚える最初の段階で、手足をバンバン打ちつけるような仕草をすることがあります。そしてその動作に合わせるように『あーあー ばーばー』などと言葉を発するようになります。」

「つまり、オノマトペには、体で感じた感覚をリズミカルな言葉に変えていくという発達的な意味合いもあるのです。簡単な言葉で記憶に残りやすく、相手にもスムーズに伝わるオノマトペは、赤ちゃんにとっても快感なのでしょうね。」

オノマトペは動きと連動して表れてくる言葉でもあるのですね。オノマトペとして発した言葉は、赤ちゃんの頭の中でどうやって記憶されるのでしょうか?

「新しく覚えた言葉は、まずは大まかに分類された感覚ごとのファイルに収められ、体験が増える度に細かい語彙のファイルに分類し直されます。オノマトペは、小さな子どもにとって、身体感覚を言葉にした最初のファイルになるのだと思います。」

積極的にオノマトペを取り入れて、言葉の基礎を作ってあげたいですね。

情景をイメージしながらリズミカルに読もう

オノマトペ絵本を読み聞かせするときのポイントを教えてください。

「オノマトペ絵本はリズミカルに読むのがポイントです。たとえば、『おおきなかぶ』の『うんとこしょ どっこいしょ』も、実際に引っ張っている様子をイメージしながら力を込めて読むと、自然にリズムよく読めますよ。」

「オノマトペは、同じ言葉でも読み方ひとつでまったくイメージが違ってくるのがおもしろいところです。『くるくるくる〜』も、早口になればなるほど高速で回転しているイメージが浮かびますね。」

早く読んだり遅く読んだり、声色を変えてみたり、抑揚をつけることでさまざまな感情表現ができるんですね。

「日本語はとくにオノマトペが豊富だと言われています。『回る』だけでも『くるくる』『ぐるぐる』『ごろん』『びゅんびゅん』と、たくさんの表現がありますよね。遊びの中で回る動作をしている子どもに『くるくるくる〜』と声かけするなど、動きに言葉を添えてあげることでとても良い刺激になりますよ」

絵本をきっかけに、オノマトペを日常に取り込んでみるとおもしろそうですね。それでは、古市先生おすすめのオノマトペ絵本を年齢別にご紹介します。


0〜1歳向け絵本

『どんどこ ももんちゃん』

どんどこ ももんちゃん

(作・絵:とよたかずひこ 出版社:童心社 本体価格:800円+税 発行日:2001年9月10日)

ももんちゃんが「どんどこどんどこ」走っていく様子が、やさしい言葉とオノマトペで語られます。「ももんちゃん あそぼう」のシリーズには、ほかにも「すりすり ももんちゃん」「こちょこちょ ももんちゃん」など、いろいろなオノマトペを使ったものがあります。

『コトコトでんしゃ』

コトコトでんしゃ

(作・絵:とよたかずひこ 出版社:アリス館 本体価格:800円+税 発行日:2007年10月20日)

電車が「コト コト コトン」、踏切が「カン カン カン カン」。赤ちゃんが大好きな乗り物をシンプルなオノマトペで表します。同じ「あかちゃんののりものえほん」シリーズで「ポンポンおふね」「ブップーバス」「ブーンブーンひこうき」などもあります。

1〜3歳向け絵本

『ころ ころ ころ』

ころ ころ ころ

(作:元永定正 出版社:福音館書店 本体価格:900円+税 発行日:1984年11月22日)

いろんな色の玉がひたすら「ころころころ」。坂道や階段を転がっていきます。玉がころころ転がって、一体どこに行くんだろう? と想像がふくらみます

『オー・スッパ』

オー・スッパ

(作:越野民雄 絵:高畠純 出版社:講談社 本体価格:1600円+税 発行日:2003年12月19日)

動物たちがレモンをかじって「スッパ」と叫びます。馬が食べると「ヒースッパ」、カエルが食べると「ゲロゲロ スッパッ」。いろんな「スッパ」の表現が楽しい絵本です。


4歳以降に向けた絵本

『カニ ツンツン』

カニ ツンツン

(作:金関寿夫 絵:元永定正 出版社:福音館書店 本体価格:800円+税 発行日:2001年10月31日)

さまざまな民族の言葉や創作語が混ぜ合わさった、呪文のようなリズミカルなオノマトペが並びます。鮮やかな色彩と形で意味はわからないのに、とにかく楽しい気分になる絵本です。

『ぽぱーぺ ぽぴぱっぷ』

ぽぱーぺ ぽぴぱっぷ

(作:谷川俊太郎 絵:おかざきけんじろう 出版社:クレヨンハウス 本体価格:1200円+税 発行日:2004年11月1日)

「ぴぴぴー ぴぴーぷ ぷーぺ ぴぷぺぺぺ」宇宙人が『ぱぴぷぺぽ語』を喋っているような、電子音のような不思議な音が向きを変えてページに踊ります。

リズミカルに発するだけで楽しい気分になるオノマトペ。オノマトペ絵本を取り入れて、読み聞かせタイムをもっともっと充実させたいですね。

お話を聞いたのは…

  • 古市久子先生

    愛知東邦大学 教育学部 子ども発達学科教授。「幼児における身体表現の発達」をテーマに研究している。

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ライター紹介

宇都宮 薫

編集プロダクション勤務を経て、フリーランスの編集者・ライターとして活動。雑誌・ウェブメディアなどへの執筆のほか、単行本(ビジネス書・実用書)の編集・構成を手掛ける。得意ジャンルは、出産、育児、健康、おでかけ、芸能、グルメなど。まち歩きとバイクが好き。

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