「子どもは基本的に毎日イビキをかかないもの」だそう。子どものイビキがひどいときは、病気が原因の場合があり、注意が必要です。そこで、子どものイビキの原因と、どんな弊害があるのか、中部いびき睡眠障害研究所代表の岩永耕一先生に伺いました。
子どものイビキの原因は?
岩永先生によると、子どものイビキの原因として考えられるのは、大きく以下の3つとのこと。
- 扁桃腺(へんとうせん)が大きくなる
- 鼻と咽(のど)の間にあるリンパ組織「アデノイド」が大きくなる
- 鼻炎などの鼻の疾患
中でもとくに注意が必要なのが、扁桃腺の肥大。「睡眠時無呼吸症候群」の原因になることがあると岩永先生は言います。
子どもの「睡眠時無呼吸症候群」は大人と違う!
睡眠時の気道が確保できず、無呼吸状態になるというのが「睡眠時無呼吸症候群」です。メディアなどを通じて大人の睡眠時無呼吸症候群やイビキ治療の大切さが知られるようになりましたが、「子どもの睡眠時無呼吸症候群はまだまだ認知が浅い」と岩永先生。子どもと大人では診断基準も症状も大きく異なるため、注意が必要だそうです。
「子どもの(閉塞型)睡眠時無呼吸症候群の発症頻度は1%〜3%と言われています。大人の場合は肥満などが原因となりますが、子どもは扁桃腺の肥大による場合が多いです。さらに、子どもの場合、ピタッと呼吸が止まる『無呼吸』ではなく、イビキを伴った不十分な呼吸『低呼吸』の症状が多いため、発見が遅れるケースもあります。」
気になる「睡眠時無呼吸症候群」の症状って?
睡眠時無呼吸症候群になると、充分な睡眠が得られないことによって下記のような症状が現れるそう。
- 昼間のいらつき
- 無気力感
- 集中力の低下による多動
さらに「深い睡眠の時期に成長ホルモンが分泌されるので、成長ホルモンの分泌低下により発育・学力の遅れにつながる」場合もあるそうです。
大人と違って気づきづらいという、子どもの「睡眠時無呼吸症候群」。ママやパパは子どものどんな様子に注意したらいいのでしょうか。岩永先生から注意ポイントを伺いました。
睡眠時の子どもの様子をよく観察して
子どもの睡眠時無呼吸症候群でもっともわかりやすい症状が「イビキ」。もちろん、イビキをかく子どもの全てが睡眠時無呼吸症候群であるとはいえませんが、多くの睡眠時無呼吸症候群の場合、「イビキ」という症状が現れることを知り、注意する必要があります。
また、睡眠時無呼吸症候群のサインはイビキだけではなく、息苦しさから自然と子どもの寝相に変化が出る場合もあるそう。具体的に注意すべき状態は以下の3つです。
1.毎日のようにイビキをかく
「子どもでも疲れていればイビキをかくことがあります。でも、毎日ともなると睡眠時無呼吸症候群を疑ってください。」
子どもが毎日イビキをかくときは、専門医院で一度検査をしてみることをおすすめします。
2.横向きで寝ることが多い
「横向きで寝るのは気道を確保するための場合があります。もしイビキをかいていなくても、横向きで寝ることが多かったら要注意です。」
イビキをかいていないからといって安心はできません。身体は自然に「呼吸ができる体勢」を求めるそうで、横向きの寝相は注意サインかもしれません。
3.うつぶせで寝ることが多い
「うつぶせで寝るのも気道を確保するための場合があります。ただ、この場合はイビキがおこりにくいため、最も睡眠時無呼吸症候群に気づきにくい危険な状態です。」
実際の症例で、「うちの子はイビキをかかない」と安心していた保護者のお子さんが、毎晩「うつぶせ」で寝ていたというケースもあったそう。イビキをひとつのサインとしてとらえながら、親は常に子どもの状態に気を配ることが大切ですね。
気になる症状があれば、睡眠を専門とする病院を受診して
では、子どもの様子に疑問を感じたら、どんな専門医院に相談したらいいのでしょうか?
「睡眠を専門とする医院であれば、専門の検査ができます。4歳〜5歳から可能と言われている肥大した扁桃腺切除の手術ですが、実際には2歳から受けられる場合もあります。気になる症状があれば1日でも早く専門医を受診して、子どもの呼吸を楽にしてあげて欲しいです。」
子どもと大人は診断基準も症状も大きく異なるため、「小児科」「睡眠障害」のどちらもカバーする専門医院に診てもらうことが大切です。子どもは自分で訴えることができません、その分ママとパパがしっかり観察して、早く気づいてあげてください。そのためにも「イビキ」には要注意です!