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「身長は遺伝ですべて決まる」はウソ?【育児都市伝説】

「身長は遺伝で決まる」「親の背が高いから子どもも大きい」と聞いたことがある人も多いと思います。これは、医学的に見て本当なのでしょうか? そこで、『身長は「9歳までの生活習慣」で決まる』の著者で整形外科医の飛田健治先生に噂の真相を聞いてみました。

「身長は遺伝ですべて決まる」とは言い切れない

そもそも、遺伝はどのくらい身長に影響するものなのでしょうか?

身長が決まるのは、遺伝が80%、環境因子が20%」と飛田先生。

80%ということは、やはり遺伝要素が強いということでしょうか?

「いいえ、違います。睡眠、運動、食事、ストレスなど、環境因子による身長への影響範囲を全て足すと、男の子はプラスマイナス9cm、女の子はプラスマイナス8cmの差が出ることがわかっています。遺伝以外の要素は20%しかないですが、実は環境を整えることで10cm近く身長を伸ばせる可能性があるのです。」

身長には遺伝だけでなく、生活習慣などの環境が大きく影響しているのですね。それならば、親の心掛けで、子どもの身長を伸ばすこともできそうです。

女の子は9歳9カ月、男の子は11歳6カ月までに身長が決まる

ただし、身長が伸びる時期は決まっていると飛田先生は言います。

背を伸ばすために重要なのが、睡眠中に分泌される成長ホルモンです。しかし、思春期が来ると成長ホルモンよりも男性ホルモン、または女性ホルモンで伸びる要素の方が強くなります。」

「今の日本人は思春期を迎えるのが、女子が平均で9歳9カ月、男の子が11歳6カ月。そこから思春期が終わるまでに女子はプラス25cm、男子はプラス25cm〜30cmほど伸びるのが一般的で、それ以上大幅に伸びる可能性はほとんどありません。つまり、思春期が来ると、最終身長はだいたい決まってしまうのです。」

身長を伸ばすために重要な思春期までの生活習慣。具体的にどんな点に注意すべきか、飛田先生に伺いました。


【睡眠】「寝る子は育つ」は本当。量と深さがポイント

生活習慣の中で一番大切なのは「深い睡眠を十分な時間取ること」と飛田先生。

睡眠は量と深さが重要で、この2つが揃わないと身長は伸びません。なぜなら、骨や骨を支える筋肉を作る成長ホルモンは睡眠中に分泌されるため、子どもの背が伸びる=骨が育つのは、寝ている時だからです。たとえ骨折しても、起きているときは回復せず、寝ているときにしか骨は成長しません。」

下記の睡眠時間を目安に、子どもの成長にあわせて十分な睡眠をとることが大切です。

  • 1歳〜3歳頃:12時間〜14時間
  • 4歳〜6歳頃:10時間〜13時間
  • 7歳〜12歳頃:10時間〜11時間
  • 13歳〜18歳:8時間〜9時間

成長ホルモン分泌のポイント1:「睡眠リズム」を作る

成長ホルモンは、眠りが深い「ノンレム睡眠」時に分泌されるのだとか。とくに、就寝後最初に訪れる「ノンレム睡眠」が深い睡眠であることが大切です。

「睡眠は浅い眠りの『レム睡眠』と、脳が完全にお休みし、眠りが深い『ノンレム睡眠』があります。寝始めてから約2時間後に一番深い『ノンレム睡眠』が来ます。その後、2種類の睡眠が一定のリズムで繰り返され、だんだん浅くなり、朝に目が覚めます。つまり、最初に深い睡眠がとれないと、浅い睡眠が続いてしまいます。」

深い睡眠をとるためにはどのようなことに気を付けたら良いのでしょうか?

「昨日は20時に寝て今日は22時に寝た、いつもはしない昼寝をした、など寝る時間や日中の生活がバラバラだと、睡眠のリズムができません。少なくても食事の時間や朝起きる時間、寝る時間はきっちりと決めましょう。日中の行動をある程度習慣化することで、睡眠リズムを作り、深い睡眠をとってあげることが大事です。」

成長ホルモン分泌のポイント2:寝る前2時間はリラックス

また、深い眠りをとるためには、寝る前の2時間の過ごし方が重要だそう。

「寝る前にゲームやテレビなど、電化製品を使っていると脳が興奮したり、寝る前の2時間以内に食事をすると胃腸が活発に動いたりするので、深い睡眠が妨げられます。寝る前の2時間はリラックスするようなことをすると、眠りの導入が良くなります。お風呂に入るとリラックス効果があるので、おすすめです。」

昔から「寝る子は育つ」と言われていましたが、これは本当だったのですね。寝る前にお風呂に入り、ゆっくりと過ごす習慣をつけると良さそうです。


【運動】子どもにストレスがない種目、頻度で習慣づける

成長ホルモンは、少量ですが食事を食べた後や運動をした後にも分泌されると言います。

日中に成長ホルモンを分泌させたり、睡眠リズムを作ったりするのに必要なのが食事と運動。とくに運動は、筋肉がついたり、心肺能力が高くなるほか、ストレスの発散や程よい疲労感が熟睡にもつながります。」

ただし、この運動をすれば背が伸びる、といった医学的根拠はないそう。

「本人が好きな運動をやらせましょう。頻度も子どもにストレスがない程度が良いでしょう。逆に疲れすぎてしまうのも良くないです。」

継続して運動することが大切。好きな運動を見つけ、楽しんでできるようにサポートしてあげたいですね。

【食事】炭水化物が5割になるよう、バランスを考える

運動と同じく、重視したいのが食事です。中でも0歳〜3歳の乳幼児にとっては、成長ホルモン以上に栄養状態が身長を伸ばす要因になるそう。

0歳〜3歳までは、ホルモンの影響というよりも、栄養状態で背が伸びていきます。3〜4歳頃、脳が発達してくると、そこから成長ホルモンが出始めます。」

食事は栄養をバランス良く取ることが大切で、炭水化物が50%、他の食品を50%摂るのがベストです。けれど、日本の食卓に並ぶ食品の90%以上は炭水化物。米やパン、麺類だけでなく、野菜、海草類、魚・肉・卵・大豆といったタンパク質、牛乳・乳製品などを食べるようにしましょう。とくに、骨、筋肉の源になるタンパク質や骨に必要なカルシウムは積極的に摂取した方がいいでしょう。」


子どもの低身長が気になったら、早めに受診を

自分の子どもが低身長かどうか判断するためには、成長曲線をつけることが重要です。

「成長曲線には、『+2.0SD』『+1.0SD』『平均』などと表記された曲線が引いてあります。『−2.0SD』より低い場合、電車のつり革に届かないなど、将来の生活に支障が出てしまうことがあります。割合的には100人にいたら、1人から2人程度です。」

治療を開始するなら、早ければ早いほど良いと言います。

成長ホルモンが身長に大きく影響する3歳〜4歳以降、成長曲線などを確認し、『-2.0SD』以下が続く場合は、すぐに専門の医師に相談しましょう。成長曲線を見れば分かる通り、年齢があがるに連れてどんどん標準成長曲線との差が広がっていきます。手遅れにならないよう、低身長が気になったら早めに受診しましょう。」

定期的に子どもの身長を計り、成長曲線を描くことが重要なのですね。

親の心掛けや気付き次第で、子どもの身長を伸ばすことができるとは驚きました。生活習慣を見直し、家族みんなで取り組んでいきたいですね。

お話を聞いたのは…

  • 飛田健治さん

    とびた整形外科クリニック院長。1999年東京医科大学卒業。日本でも有数の外傷病院を遍歴し、整形外科医として数千例におよぶ骨延長・変形矯正や難治骨折の治療を行う。うち、東大病院では小児先天性骨系統疾患や低身長を来す小児疾患の診療を行い、小児科と整形外科、ふたつの領域を横断する医療を展開。現職では小児の身長相談や治療をはじめ、数少ない身長の専門医として、日本の医療の重責を担っている。

  • とびた整形外科クリニック
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ライター紹介

平野 友紀子

ライター/エディター。温泉ソムリエの資格を持つ、大の旅好き、温泉好き。結婚をきっかけに、オーガニックアドバイザーを取得。0歳と2歳の年子育児をしながら、旅、ライフスタイル、オーガニック、女性の生き方、子育てをテーマに活動中。

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