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「野菜嫌い」もこれで卒業!こどもと楽しむベランダ菜園のススメ

掲載日: 2015年2月26日更新日: 2017年5月16日池邊 文香
野菜嫌いな我が子も、自分で育てた野菜だったら、野菜の美味しさに気づいてくれるかも?でも、家庭菜園ってなんだか難しそうだし、庭付きの一軒家じゃないと出来なさそう。そんな悩みにNHKテレビテキスト『趣味の園芸 やさいの時間』で連載を持ち、自らも自給自足生活をされている園芸研究家の畑明宏さんが答えてくれました。

野菜作りを親子で楽しむコツは、まず大人が楽しむこと

ご家族で畑や田んぼを耕し、自分たちで収穫した野菜やお米を食べて生活されている畑さん。自身も3児のパパであり、こども向けの家庭菜園のプログラムを全国で教えています。そんな畑さんは、子ども達に野菜作りを教える時は、まず自分が楽むことを心がけてると言います。

「子どもは素直なもので、説明書どおりに『まずは土に指を1cmいれて…』なんて理屈を説明しても全然興味を示しません。そうではなく、『種まきしたいよなー!でもまだやで〜まだやで〜。まずはこうやって指いれて〜、はい!種蒔こう!あ!!蒔き過ぎた〜(汗)』というように、 まずはこちらが楽しそうにやっていると子どもたちも『僕も!私も!』と、どんどん積極的にやり始めます。まずは大人が楽しむ。それが大切です。」 hata.jpg 楽しみながら野菜作りが出来ると、子どもは野菜に対して「私の野菜」「僕の植物」といった愛着が湧き、野菜作りにも夢中になるので自主的に野菜の世話をするのだそうです。

実際に畑さんが神戸の幼稚園で園児と共に野菜を育てた際に、ピーマンが嫌いだという子どもと一緒にピーマンを育てたところ、 自分が育てたピーマンを食べられたのをきっかけに、ピーマン嫌いを克服した子どももいたとのこと。「自分が育てた野菜」は野菜嫌いを克服するには効果がありそうです。

また、 育てる過程で大切にしたいのは、「毎日の変化を観察すること」。毎日、野菜に水をあげて、少しずつ出てくる芽の成長を見て「今日は芽がでたねー!」、「昨日よりこんなに育ったね」と親が一緒になって野菜の成長を楽しむことで、子どもたちが積極的に野菜を育て、観察していくようになるそうです。

室内で楽しめる!とっておきの野菜づくりはネギのグラス栽培

「家庭菜園」と聞くと、プランターや土に肥料、スコップや軍手を用意して…と用意するものがたくさんあって、始めるまでがすごく大変に感じる人も多いはず。
ところが、意外にもグラス1つと水があればできる野菜があるんです。「まずは小さな成功体験が大切」と畑さんがおすすめするのは『ネギのグラス栽培』です。

長ねぎの根っこの部分をコップにさすだけ

「スーパーで長ネギを買ってきて、 根っこの部分を水の入ったコップに指しておくだけ。 毎日コップの水をかえるだけでネギがグングン育ってきます。二週間したら収穫時期。きざみネギとして味噌汁やラーメンに使ってくださいね。」と説明しながら楽しそうに収穫したネギをハサミで切る畑さん。 CIMG0884.JPG
買ってきたネギに根っこがあまりなくてもガラスコップ栽培で育てることができるそうです。根っこがたくさん生えているネギと比べて水を吸い上げるスピードが遅いので目に見えて成長するまで3日ほどかかるとのこと。

キッチンバサミで簡単に収穫できるので、子ども達に収穫してもらうと、野菜に興味を持つきっかけになるかもしれません。 CIMG0881.JPG 筆者も畑さんに頂いたネギをただいまグラス栽培中。一日目の状態がこちら。
3日目になるとこんなに育ちました! 収穫が楽しみです。

畑さん直伝!野菜づくりの必需品とは?

野菜作りに子どもたちの興味が湧いて、パパママの自信もついたらいよいよベランダで家庭菜園!

まずは家庭菜園に必要なものを準備します。園芸店などに行けば土やプランターだけでも驚くほど種類があり、どれを選ぶか悩ましいところ。

そこで、畑さんに必要なものと選ぶ時のポイントを教えてもらいました。

  • 園芸用土…25リットル入りで600円を一つの目安にします。安売りの土は避けましょう。
  • プランター…深さが30cm程度ある菜園用プランターを準備してください。
  • 苗… 昔から『苗半作』と言うように、野菜づくりは苗作りが重要です。初心者は種から育てるのは難易度が高いので、苗を購入するのが良いでしょう。 苗の購入ですが、園芸の専門店か産地直売所の苗コーナーでの購入をおすすめします。
  • 肥料…「醗酵油かす」をおすすめします。こちらも、専門店などで品質の高いものを選ぶと良いでしょう。説明書通り施します。与えすぎは禁物です。

畑さんが園芸専門店の苗をおすすめする理由は、一つひとつの苗が大切にされているケースが多いからだとか。

一見、量販店で売られている苗と園芸専門店で売られている苗は変わらないように見えますが、プロが見ると茎が細かったり、葉が小さかったり、双葉が付いていなかったり(生産過程で苗が水切れを起こすとみられる現象)することが多く、品質が良いとは言いきれないそうです。

畑さんは苗の管理されている状態も確認したほうがいいと言います。
「園芸専門店ではひと鉢ずつ水やりしますが、量販店では時間短縮のため強めのシャワーで一気に水やりすることが多く、結果的に苗が痛んでしまいます。また、苗の状態で強い日差しに合うと苗が痛んでしまうのですが専門店では寒冷紗などで遮光して苗を守っています。」

購入した時点で苗の状態が悪いと良質な野菜が育ちにくいようなので、失敗しない野菜育てのためにも良い状態の苗を選びたいですね。

春から栽培できるベランダ向きの野菜

畑さんがおすすめする、家庭菜園初心者が春から始めるのに最適な野菜は、サニーレタスやリーフレタスだそうです。

畑さんがおすすめする理由 】
1・苗がどこでも購入しやすい
2・プランターでも栽培できる
3・キク科の植物なので病害虫が少ない
4・必要な時に必要な分だけ収穫出来る
5・調理しなくても、生でそのまま食べれる
サニーレタス.jpg
幅60センチのプランターならサニーレタスの苗を3つ植えることができます。まず用意したプランターに土を入れて、説明書通りに肥料をまぜましょう。元肥入りの土なら、植え込み時の肥料は不要。土壌が完成したら苗を植えます。ポットの中の根が固まってしまっている場合は、少しほぐしてから植え付けるといいでしょう。また、植え付けるときは植える場所に水を入れてから植え付けるようにします。

植えてからも水やりするのですが、植え付け前も土に水を吸わせることを忘れないようにしましょう。最後に苗の土と植え付ける場所の土をしっかり密着させるようにする事が大切です。

苗を植えたら、水を与えます。水やりのコツは「鉢底から水がたれるくらいたっぷりと与える事。土の中の汚れた空気や根から排出された老廃物が水と一緒に流れ出ます。」
プランター栽培ならたっぷりあげても比較的根腐りの心配がないそうなので、子どもたちに水やりをお願いしても安心ですね。

サニーレタスは6月ぐらいまでに苗を植えれば育てやすいそう。他に、春以降の季節からでも育てられる初心者におすすめの野菜を教えていただきました。

  • 夏に収穫(5月植え付け)・・・ミニトマト、バジル
  • 秋に収穫(9月植え付け)・・・チンゲンサイ、シュンギク
  • 冬に収穫(11月植え付け)・・・タマネギ、ニンニク

意外と初心者でもベランダで簡単に始めることができる家庭菜園。畑さんの野菜作りのコツ、「親がまず楽しむ!」を忘れずにこの春から子ども達と美味しい野菜生活を過ごしてみてはいかがでしょうか。

お話を聞いたのは…

  • 畑明宏/はたあきひろさん(園芸研究家・樹木医)

    1967年生。宮崎大学農学部卒業後、1991年に積水ハウス株式会社に入社し、研究所、マンション事業、設計部などを経験。2014年7月退職。現在は人と人、人と自然の繋がりを大切にし、毎日丁寧に暮らすことを提案する『庭暮らし研究所』を主宰。奈良市で家族5人分のお米と野菜をつくり、自給生活を送る。NHKテレビテキスト「趣味の園芸やさいの時間」は連載4年目。NHK総合テレビ「ぐるっと関西おひるまえ」では、野菜づくり講師として毎月出演。著書「現役サラリーマンの自給自足大作戦」(家の光協会)が翻訳され台湾で発刊。

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ライター紹介

池邊 文香

子どもとおでかけ情報「いこーよ」編集部スタッフ。大阪府在住。1児の母。「日本らしさ」を感じるモノ・コトが好き。いこーよを通して、家族の心に残る思い出がたくさん生まれるように、情報を発信します!

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