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子どもに良い影響をもたらす夫婦喧嘩とは? 方法&対策を紹介

2017年8月18日高柳涼子

どこの家庭にも起こりうる夫婦喧嘩は、子どもにとって悪影響と言われています。ですが、向き合い方によっては子どもにプラスの影響を与えることもできるそう。All About「子育て」ガイドで、育児相談室でカウンセリングなどを行う子育て心理の専門家・佐藤めぐみさんに、子どもへの影響や注意したいポイントを教えていただきました。

パパとママの喧嘩は子どもにどう影響する?

「夫婦喧嘩は子どもに悪い影響を与えるから、子どもの前でしてはいけない」とよく言われますが、実際にどんな影響があるのでしょうか? 佐藤さんによると、親の喧嘩を頻繁に見て育った子どもには、後々まで続く悪影響が見られるそうです

「アメリカの大学で1,000人以上の子どもを対象に0歳〜5歳までの5年間にわたり調査を行い、家庭環境と発達過程や精神状態など、さまざまなデータを収集した研究があります。その研究から、両親の喧嘩が子どもにもたらす影響の傾向が見えてきました」

  1. 両親の「暴力的な喧嘩」を見て育つと、他人の感情を読む能力に欠ける
  2. 両親の「激しい口論」を見て育つと、他人の感情を読みすぎる
  3. 両親の「夫婦喧嘩」を長期間見て育つと、自分の感情をコントロールする能力に欠ける

ということ。具体的には、どのような様子や行動が見られるのでしょうか?

「感情を読むというのは、たとえば『顔が真っ赤だから、きっとこの人は怒っているのだろう』『今にも泣き出しそうな顔をしているから、何か不安なことがあるのだろう』というように、相手の表情や様子から気持ちを想像する能力を示します。同じ夫婦喧嘩でも、(1)と(2)が対照的な結果になったのは、(1)の「暴力タイプ」の場合は、怒りを「たたく」などの暴力に転化してしまうために、子どもがそこにある感情を読み取りにくく(2)の「口論タイプ」では、そのときの気持ちが言語化されるため、子どもが感情を読み取りやすいのではと言われています

また、長期間にわたって両親の喧嘩を見続けた(3)の場合、見られる影響はとくに深刻です。

夫婦喧嘩の絶えない家庭で育った子どもには、困った状況に置かれたときに自分自身でトラブルを乗り越える力に欠ける傾向があります。寂しいときや怖いときなど、困った状況での対応は人によって異なりますが、(3)の子どもの場合は、自身で負の感情をやりくりして問題を解決する能力が低いそう。このような状況は、後々の精神状態にも影響を及ぼし、うつ症状や不安症状の引き金になりかねないと指摘されています。これらのデータから考えても、やはり暴力的・感情的な夫婦喧嘩は子どもにとって悪影響ということがわかりますね


見せても大丈夫な夫婦喧嘩ってあるの?

一方で、子どもに見せても問題のない「夫婦喧嘩」もあるそうです。

「辞書では、喧嘩を『言い合ったり殴り合ったりして争うこと』と定義しています。つまり、感情的な言い争いやトゲのある言い回しでの会話、大声で怒鳴る、叩くなどの荒々しさを伴うものがそれに当たります。そういったものではなく、問題点を論理的、かつ冷静に話し合い、解決策を見つける、いわば『スマートな喧嘩』であれば、子どもに見せても大丈夫です

子どもに伝わる「裏メッセージ」

子どもに見せてNGな喧嘩とOKな喧嘩は、子育て心理学的に見ても大きく違うんだそう。

「親の態度やふるまい、行動が子どもに伝えるのが『裏メッセージ』。子どもにとって、パパとママの喧嘩には重要な裏メッセージが含まれています

「まず、感情的・暴力的な夫婦喧嘩が伝える裏メッセージは『困ったときは、パパとママみたいに、怒鳴ったり、叩いたりして解決すればいい』というもの。子どもは、自分が困ったときにも真似するようになり、友達との喧嘩でも怒鳴ったり叩いたりするようになっていきます」

「一方、スマートな喧嘩が伝える裏メッセージは『困ったときは、パパとママみたいにきちんと話し合って解決すればいいんだ』です。その考え方や対処法は、子ども自身が問題にぶつかったときにもいいお手本になるのです」


普段からしておきたい喧嘩対策

夫婦といえども独立した大人同士、意見が合わないこともあります。また、日頃から積もり積もった不満が、小さなキッカケで爆発してしまうこともありますね。そのような場合でも感情的・暴力的な喧嘩をしないために、普段からできる対策はあるのでしょうか。

子どもへの影響をシェアしておく(冷静なときに!)

「子どものいる場所で喧嘩が始まってしまったら、一旦停戦して見せない努力をしましょう。時間を置くことで冷静になれる効果も期待できます。とはいえ、喧嘩の渦中にはなかなか難しいこと。そこで、今回お伝えした子どもへの悪影響について、冷静なときに夫婦間でシェアしておくのがおすすめです。お互いに対しては我慢できなくとも、子どものためであれば、気持ちを抑えやすいのではないでしょうか」

ママ自身の毎日の過ごし方を工夫する

「人間には、『攻撃的に言われれば攻撃的に反論する』『穏やかに言われれば穏やかに返答する』『丁重に謝られれば、許す気持ちになる』というように相手のモードに同調して行動する傾向があります。そこで、『もう感情的な喧嘩をしないぞ』と決めたら、パパと普段話すトーンはもちろん、子どもたちへの接し方、ママ友との会話、そして自分自身に対しても穏やかな気持ちで過ごすよう心がけましょう。ママは家庭内のキーパーソンなので、ママが穏やかなモードでいると、家庭内やパパにも良い影響を与えることができます

思考グセをコントロールする

「積もり積もった不満が喧嘩で爆発…というのはよくあることですが、それは火種となった出来事に加えて、過去の出来事や未来への悲観まで一緒にふくらませて、怒りで頭を満たしてしまうのが大きな理由。怒りはあっという間に10倍、100倍になり、パパのちょっとした発言をきっかけに爆発してしまうのです。これを回避するには、平常時にこの思考グセをコントロールするように意識します。『この間も〇〇したくせに』『また〇〇している』『きっとまた〇〇するだろう』と、物事をひとかたまりで捉えそうになったら、『今のことだけ』『あれこれ話を一緒にしない』『目の前のことだけ考えよう』と自分に言い聞かせましょう

「一緒に生活している以上、喧嘩をしないというのはやはり無理な話。とはいえ、子どもにとって悪影響になる夫婦喧嘩のやり方は改めたいですよね。少しずつでも前進していればOKとし、ゆっくり改善を図るのがいいと思います」と佐藤さん。小さな工夫から始めて、笑顔の時間を増やしていきたいですね。

お話を聞いたのは…

  • 佐藤めぐみさん

    All About「子育て」ガイド。オランダ心理学会(NIP)認定心理士。欧米の大学、大学院で学んだ心理学を、日本のママたちが取り入れやすい形にした「ポジティブ育児メソッド」を考案。現在は、ポジティブ育児研究所の代表を務めるほか、育児相談室でのカウンセリング、メディアや企業への執筆活動などを通じ、子育て心理学の専門家としてママを元気にする活動をしている。

  • All About「子育て」ガイド 佐藤めぐみ
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ライター紹介

高柳涼子

雑誌編集部勤務を経てフリーランスに。ライティングと校正を中心に、ときどき編集もやる3児の母です。これまでに関わった分野は、求人、進学、ウェディング、アート、手芸、田舎暮らし、食育、仏教、料理など。

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