子どもとお出かけ情報サイト「いこーよ」は親子の成長、夢の育みを応援します!

子どもが病気でも困らない!?「緊急サポートセンター」

掲載日: 2015年6月15日更新日: 2015年10月8日野々山 幸
「子どもが病気になったらどうするか」は、働く親であれば、一度は頭を悩ませる問題です。そんなパパ、ママの大きな助けとなっているのが、埼玉県の18市8町で行われている「緊急サポートセンター」。今回は、運営する「病児保育を作る会」の賀川祐二さんに、その仕組みや利用法などについてうかがいました。

「育児の手助けが必要な会員」に地域のサポーターを紹介

子どもが発熱したら、当然ながら保育園に預けることはできません。やむを得ず、パパかママが仕事を休んで子どものお世話をする、という家庭が多いはず。でも、子どもの病気はいつも突然です。繁忙期やどうしても外せない会議などとぶつかってしまうことも多々。仕事中の「呼び出し電話」で早退しなければならないのも気まずいですよね…。

そんなパパ、ママのために、埼玉県の18市8町で運営されているのが、「緊急サポートセンター」。子どもが病気の時、どうしても両親がみることが難しい場合に、サポーターさんを自宅に派遣してくれるのです!一体、どのようなシステムなのでしょうか?

「平成25年までに、全国の738市区町村で行われているファミリー・サポート・センターと、基本的には同じ仕組みです。緊急サポートセンターは、全国の132市区町村で導入されています。」

「まず、子育ての手伝いをしてほしい方(利用会員)と子育ての手伝いをしたい方(サポート会員)を地域で募り、会員になってもらいます。利用会員の方が育児の助けを必要とする際に、センターでサポート会員の中から条件に合う方を探し、ご紹介するという流れです。ただし、緊急サポートセンターの場合、対象が少し異なります。」

ファミリー・サポート・センターの場合は、定期的に依頼したい方が対象ですが、緊急サポートセンターの場合は、単発の依頼が対象となるのだとか。

「ファミリー・サポート・センターは、主に『毎週月曜日と水曜日に、子どもの保育園のお迎えに行ってほしい』といった、定期的な依頼を対象としています。入園から卒園まで6年間ずっと利用される、というような方も多いです。基本的には、サポート会員の自宅で預かりを行います。」

「それに対して、緊急サポートセンターは、子どもが病気の時、自分が病気で病院に行きたい時などの緊急時に利用される方が大半です。利用会員の自宅へサポート会員が出向いて、預かりを行うこともできます。また、宿泊を伴う依頼も緊急サポートで受けていますが、こちらはサポート会員のお宅での預かりとなります。」

緊急時のサポートのみを対象としているので、翌日以降の依頼であれば、8〜9割は対応できるそう!これは本当に助かります。ただし、冬場やインフルエンザが流行する時期など、タイミングによっては難しいこともあるそうです。

サポーターは育児経験者!保育、看護などの講習も実施

働くパパ、ママの救世主とも言える、緊急サポートセンター。でも、いくら困っているとはいえ、どんな方が我が子を預かってくれるのか、少し心配な気も…。

サポート会員は、主に『子育て経験のある方』もしくは『子ども関係のお仕事をしていた経験のある方』で構成されています。40代後半〜70代前半の女性がほとんどで、育児経験が豊富で子どもが好きな方々です。」

「また、サポート会員の方には、保育、看護、救命救急等の講習を24時間以上受けていただきます。今と昔では育児の常識が変わっていることもありますし、例えば『1日に何回ぐらいオムツを替えることが適当か』といった、日々の育児の細部にわたりレクチャーしています。」

実際の利用時には、どんな方にサポートをお願いしたいか、ある程度の希望を伝えることもできるそう。

また、病児を預けるということで、利用会員からの子どもの病状、既往歴などの詳しい情報提供は必須です。事前に必ず受診をして、医師からの診断内容を正確に伝えること。センター側からも発熱の有無、全身状態がよいかどうか、食事や水分、ミルクはとれているかどうか、下痢・嘔吐はあるか、薬は飲んでいるかなど、詳細に確認があります。利用の連絡の際には、これらの質問にしっかり答えられるように、子どもの状態をきちんと把握しておくことが大切です。

自治体の事業だから、「1時間1000円」という低価格が実現

 「せひ利用したい」と思っても、保育料金によっては難しいことも。緊急サポートセンターの料金設定は?

1時間1000円で、15分ごとに250円ずつアップしていきます。民間のベビーシッターさんを頼むと、会社にもよりますが、1時間1800円前後、病児の場合はそれ以上かかってしまいますよね。それに比べて、自治体の事業ということで運営費を補助してもらえるので、できるだけ料金は抑えるようにしています。」

「実は、いかに利用しやすい価格でサービスを提供できるか、ということは、設立当初からの課題。正社員として働く方だけでなく、派遣社員、パートで働く方にもぜひ利用してほしいので、今後は1時間1000円以下にすることも検討していきたいです。」

各地域でさまざまな子育てサポートが。まずは、知ることから!

 緊急サポートセンターは、現在、埼玉県の18市8町などで行われている子育て支援事業。「自分の住んでいるところにもこんなサポートがあったらいいのに!」と思う方も少なくないはず。

まずは、お住まいの自治体で、緊急サポートセンター、もしくはファミリー・サポート・センターを実施しているかどうか、確認してみてください。自治体への問い合わせの他、厚生労働省のホームページや、働く女性の支援を行う『女性労働協会』のホームページなどからも調べることができます。」

「緊急サポートセンターは、少しずつですが全国に広がりを見せています。自治体や民間の団体から、『始めたいのでシステムの作り方を教えてほしい』という問い合わせがあることも。こちらでも、そういったノウハウをまとめて、できるだけ多くの地域で実施されるようお手伝いをしていきたいと考えています。」

「また、これらのサポートがない場合も、例えば、東京都では、病児保育施設が充実している地区が多く、緊急の一時預かりも行っています。自治体にこういったサポートサービスがあっても、知らずに利用していない方が実は多いんです。まずは、自分の町の役所に足を運んだり、各自治体のホームページをチェックしてみてください。」

確かに、私自身(2児の母。川崎市在住)も、自分の町にはそんな親切な制度はないはず、と勝手に思い込んでいました…。育児と仕事の忙しさでついつい億劫になってしまいますが、子どもが病気になってからでは遅い、というのもまた現実。いざという時のために、調べておきたいですね。

お話を聞いたのは…

  • NPO法人病児保育を作る会 賀川祐二さん

    平成17年、育児と仕事が両立できる社会を目指して、病児・病後児保育を行う「NPO法人病児保育を作る会」を設立。東京都墨田区からスタートし、現在では埼玉県南地域、比企、入間部の一部で、地域の助け合いによる病児の預かりなどの活動を実施中。

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • RSS
  • follow us in feedly
  • チェック

ライター紹介

野々山 幸

1979年生まれ。ライター。芸能インタビューから美容・健康、恋愛、結婚、育児に至るまで、“女性が興味のあること”をテーマに書き続けて早15年。2歳の女の子と0歳の男の子の母でもあり、毎朝5時起床で目まぐるしい日々を送る。今最も知りたいことは、「帰宅して15分で作れる子どもごはんのレシピ」。

ライターの最新記事

あなたにオススメの記事