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年末やお正月に餅つきをするのはなぜ?餅は何歳から食べられる?

掲載日: 2015年12月25日更新日: 2017年12月19日佐藤葉月

毎年、正月になると当たり前のように餅を食べている私たち。でも、正月に餅をついたり食べたりするのはなぜなのか、知っていますか?今回はそんな素朴な疑問を解決すべく、餅つきパフォーマンス団体「祝い組」の代表で、「日本もちつき普及協会」の事務局長でもある大西登輝さんに話を聞きました。

正月や結婚式などおめでたい日に餅つきをするのはなぜ?

写真提供:餅つき“笑”パフォーマンス団体「祝い組」

正月はもちろん、家を新築した際や結婚式の際などに紅白の餅を振る舞う習慣がありますよね。このようにおめでたい日に餅つきをするのはなぜなのでしょう?

餅つきをする臼(うす)と杵(きね)の形はそれぞれ女性と男性を表し、子孫繁栄、家の繁栄の象徴として、各家庭で大切にされてきました。昔は、家を新築する場合、大工さんは臼と杵も作り、その家に納めていたのです。結婚式は自宅で行われることが多かったですから、その際に餅つきを行い、子孫繁栄、家の繁栄を願っていました。」

そこから、餅つきは縁起の良いものとされ、さまざまなハレの日に行われるようになったそうです。

苦餅、一夜餅…餅つきをしてはいけない日があるの?

年末は、お正月用のお餅を用意する家庭も多いもの。

12/29は「苦」を連想させる「9」が付くことから縁起が悪いと言われ、餅つきはしない方が良いという説がありますが、大西さんに聞くと「確かに縁起が悪いと言う人もいますが、「29」で「福」が付くから縁起が良いと言う人もいて。だから、一概に29日は餅つきをしてはいけないとは言えません。それぞれの価値観で決めていいと思いますよ」とのこと。

また、大晦日も餅つきには適さないと言われることもありますが、「新年を迎える準備を大晦日にするのは普通のこと。こちらも気にしなくていいと思います」

しめ縄・輪飾り・門松など正月飾り同様に、29日は「苦餅」、大晦日は「一夜餅」として嫌う傾向もありますが、基本的には各家庭の年末のスケジュールで都合の良い日を選んで大丈夫なようです。


餅を食べるのは日本だけ…!? 餅の名前の由来は?

「餅は日本が誇るべき伝統的な米食文化です」と大西さん。

穀物を茹でて杵でつく餅つきの文化は、弥生時代に始まったと言われていて、これは日本独特のものだそうです。

餅は主に北国で保存食として作られ、長く「持つ」というところから「もち」という名前になったと言われています

その他にも、餅の名前の由来には
・「持ち」歩ける
・丸い形が「望月」に似ている
・粘りが樹木の「モチ」に似ている

など、さまざまな説があるそうです。

そして、「長く持つ」「粘りがある」「丸い形」といった餅の特徴はどれも縁起が良いものであることから、人々に親しまれ、今日まで途切れることなく継承されてきたのです。

餅の形は地方によって違う?

「基本的に、丸は角がなく縁起の良い形であることから、鏡もちとしてお供えに使われます。また、ついた餅を薄くのばした「のしもち」を切った四角いものは保存しやすく、食べやすいことから食用に用いられています。」

一般にお正月にお雑煮に入れる餅は、東日本では四角、西日本では丸のことが多いですが、一概には言えないとのこと。東日本で四角の餅が多いのは、寒い地方特有の保存食の文化により、保存しやすい形として四角が好まれていたからではないかなど、諸説あるそうです。

お雑煮は東日本ではすまし汁、西日本では味噌仕立てが基本のようですが、具材や味付けは 地方それぞれで違います。なかには、甘いあんこ入りの餅「あんころ餅」が入ったお雑煮(香川県)や、きな粉を付けて食べるお雑煮(奈良県)などもあるようです。

出身地が異なる人と、お雑煮の餅の形や具材、味付けなどの話をしてみるのも楽しいですね。


コミュニケーションが餅つき最大の魅力!

写真提供:餅つき“笑”パフォーマンス団体「祝い組」

「江戸時代、長屋の火消し衆たちが年の瀬に集まって餅をつき、各家々に火の用心を伝えながら配っていたと書いてある文献があります。みんなでついて、みんなに配る。そんなコミュニケーションの一つとして餅つきが行われていたようです。」

また、米が餅になっていく過程も餅つきの面白さ

「ふかしたもち米をこねると、粒だった米がつぶれてまとまり、粘りが出てくる。それをさらにペッタンペッタンとつくことで、つるんと大きな一つの大きな餅になります。餅つきは代わる代わるみんなでつくのが楽しい。みんなの気持ちが入ったものを、みんなで分け合って食べることができるのは、餅つきの最大の魅力。そういう経験は子どもにとって大切だと思いますよ。」

子どもと楽しむ餅つき!餅を食べられるのは何歳から?

写真提供:餅つき“笑”パフォーマンス団体「祝い組」

「毎日米を食べているのに、餅つきをしたことがある人が少ないというのはさみしい。小さい子どもから年寄りまでできる、こんなに親しみやすい伝統文化は他にはないですから、ぜひ体験してほしい」と大西さん。

とは言え、餅つきがどんなものか知らない子どもも多いですよね。だから、「まずは餅つきを見て、餅つきは楽しいものだということを知ることから。楽しいものだとわかれば、子どもは自然とやってみたいと思うものです」。

餅つきパフォーマンス団体「祝い組」の代表である大西さんは、普段、結婚式やさまざまなイベントの場で餅つきを披露しています。よいしょ!よいしょ!と大きな掛け声で盛り上げ、迫力のある餅つきを見ると、自然と周りに人の輪ができ、みんなが笑顔になるそうです。

保育園や児童館などでも、年末に向けて餅つきのイベントがあるところも多いようなので、ご自宅の近くで餅つきがないか調べてみてもいいかもしれません。

そして、見る体験をしたら、次は自分でやってみる番。もち米や米をふかす鍋、臼と杵を用意します。とは言え、素人だけではなかなか難しいもの。

「プロからアドバイスをもらうのも一つの手。餅つきの継承のためにできることはしたいと思っています。何かあればぜひ問い合わせください。」

餅は3歳くらいから、小さく切って食べさせましょう

最近は、定番の雑煮、磯辺焼きなどの他、チョコソースをかけたり、チーズを乗せてピザのようにして食べるなど、子ども好みのレシピもたくさん出ているとか。

一つ注意したいのは、噛む力も飲み込む力も弱い子どもが、餅を喉に詰まらせないようにすること。一般には3歳を過ぎたくらいから食べさせている家庭が多いよう。1センチ角くらいに小さく切って、「良く噛んでね」と声かけしながら、食べている最中は親が目を離さないでいてくださいね。

この正月は家族で餅つきにチャレンジして、自分たちでついた餅をおいしく食べてみませんか?

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お話を聞いたのは…

  • 大西登輝さん

    餅つき“笑”パフォーマンス団体「祝い組」の代表として、仲間と共に結婚式やさまざまなイベントで餅つきを披露。今年の夏にはイタリアで行われたミラノ万博に招かれ、日本文化を知ってもらうためのイベントとして餅つきパフォーマンスを行った。また、「日本もちつき普及協会」の事務局長として、餅つき文化の継承のため日々活動している。

  • 餅つき“笑”パフォーマンス団体「祝い組」
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ライター紹介

佐藤葉月

宮城県生まれ。タウン誌の記者、ブライダル雑誌の編集者を経てフリーランスに。東京オリンピックを含め、子どもたちに夢を与えるスポーツ関連の記事を書くことが目標。月に1回はライブを見に行く音楽好き。海外一人旅にはまり、アジア圏制覇を目論んでいる。

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