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【育児の新常識】注射当日もお風呂に入ってOK?

掲載日: 2016年1月7日更新日: 2017年5月16日近藤 浩己

昔は、「注射をした当日はお風呂に入るのを控えるように」と言われていました。しかし最近は、厚生労働省のサイトにも「予防接種後の入浴は差し支えありません」と書かれていて、特に禁止はされていないよう。なぜ、昔は禁止されていて、今は入浴しても大丈夫になったのでしょうか。専門家に聞きました。

理由1:昔はお風呂の衛生状態が問題だった

厚生労働省の発表する「予防接種ガイドライン」を見てみると、「即時型アレルギーが予想される注射後1時間を経過すれば、入浴は差し支えないと考えられる」と書かれています。どうやら現在は、基本的に予防接種当日の入浴は問題がないようです。

【参考】予防接種ガイドライン - 厚生労働省


では、なぜ昔は、お風呂に入らないようにと言われていたのでしょうか?

注射後に風呂に入れないと言われたのは、自宅に風呂がない家がほとんどだった時代に広まった考え方です。」

こう答えてくれたのは、小児科医で福岡新水巻病院周産期センター長の白川嘉継さん。白川さんは、当時の大衆浴場の衛生環境が、こうした考え方のベースになったと話します。

入浴と言えば大衆浴場という時代。いろんな人が入浴する上、当時の大衆浴場は、現代のように衛生環境が整ってはいませんでした。そのため、注射を打った傷口から雑菌が入る危険性も高く、注射をしたら風呂に入るなと言われるようになったようです。」

現代の日本のように衛生環境が整ったお風呂であれば、基本的にそうした心配はいらないと白川さん。自宅のお風呂を清潔にしておけば、なおさら安心ですね。


理由2:発熱時の冷えを心配した言葉が拡大解釈された

一方で、予防接種後の発熱を考慮して、大衆浴場での入浴を控えるようになったという話も。

発熱状態で大衆浴場へ行くと、その往復時間に疲れてしまい、体力を奪われるため『熱があるときは風呂に入るな』と言われ始めたようです。予防接種後は熱が出る可能性があるので、同様に考えられていたのではないでしょうか。」

大衆浴場に行く道中の冷えを心配して言われていたことが、時間の経過とともに「注射後の入浴はダメ」と拡大解釈されて広まったのですね。では本来、注射後の入浴そのものはOKということなのでしょうか?

「基本的には大丈夫です。今は昔と違って、ほとんどの家庭に内風呂がある。体を冷やす心配がありませんから、本人が元気そうなら普通に入浴してもらっていいですよ。」

注射した場所をこすらず、疲れない程度の入浴を

では、注射後の入浴時に気を付けたいことは何でしょうか?

「体を洗うときなど、注射を打った場所をあまりゴシゴシとこすらないこと。あとは、発熱時と同様に体が疲れるような入浴の仕方は避けてほしいですね。予防接種は、予防したい病気のウイルスを使った注射。普段、体の中にないものを入れられて、体は少し疲れています。体力を消耗しやすい長湯や熱いお湯の利用はやめて、体が疲れない程度の入浴時間に抑えたほうがいいでしょう。」

ちなみに、接種した場所に泡が付くのは問題ないので、石けんなどはいつも通りに使って良いそうです。


BCG接種後や発熱時は状況に応じて判断を

注射後にお風呂に入らないほうがいいケースもあるのでしょうか。

BCGの予防接種を受けた日は、注射を打った部位を観察してから入浴を決めた方が良いですね。BCGは、他の皮下に注射する予防接種とは異なり、9本の針を使用して2回、皮内に押し込むように接種します。一つひとつの傷口が大きいので、もし血が出ていたり、患部がじゅくじゅくしているようなら刺激を与えない方がいいですから。」

BCGの予防接種後は入浴する場合にも、接種した場所に触らないようにしたほうがよい、とのことです。

ほかにも、

  • しこりができる
  • 機嫌が悪くなる
  • 予防接種をした場所が腫れる

などの副反応が見られる場合も、入浴を控えた方が良いようです。 

また、微熱程度であれば入浴は問題ないものの、体がツラそうな発熱状態のときの入浴はやめたほうがいいと白川さん。

熱があっても体が元気なら入浴してもらっていいのですが、高熱で体がツラそうなときは話が別です。高熱とは、一般的に38度以上のことを指しますが、熱がそれより低くても、本人がしんどそうなら入浴は控えた方がいい。逆に言えば、38度でも、元気があるなら入浴してもらっていいということです。とはいえ、体温は一つの目安になりますから、しんどそうなら熱を測ってみて、まずはしっかり様子を見てあげてください。」

子どもが元気なら問題ないという注射後の入浴。予防接種当日は、熱めの湯温を避けて、体をゴシゴシこすらないように教えてあげれば安心ですね。

お話を聞いたのは…

  • 白川 嘉継(しらかわ よしつぐ)先生

    福岡新水巻病院周産期センター長、みずまき助産院ひだまりの家顧問。小児科医として新生児や未熟児、発達症児の医療に携わりながら、母子を長年支え続ける。5万人以上の新生児を健診、面接した家族は23000世帯を超える。著書「人生の基盤は妊娠中から3歳までに決まる:人生でいちばん大切な3歳までの育て方」

  • 福岡新水巻病院周産期センター
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ライター紹介

近藤 浩己

1974年生まれ。ライターズオフィス「おふぃす・ともとも」のライター。トラック運転手からネイルアーティストまでさまざまな職を経験。しかし幼い頃から夢だった「書くことを仕事にしたい!」という思いが捨てきれずライターに。美容・ファッション系ライティングが得意だが、野球と柔道も好き。一児の母。

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