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「ピアノを習うと頭が良くなる」って本当?

掲載日: 2016年1月29日更新日: 2018年1月22日岡本有紗

よく「ピアノを習うと頭が良くなる」と言われますが、これって本当なのでしょうか? ピアノを演奏することで、脳にどんな良い影響があるのか、ピアノと学習能力の繋がりについて教育の専門家にお話をうかがいました。

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ピアノを演奏すると高まる能力とは…

ピアノをすると脳のどういった部分が鍛えられるのでしょうか?

「私は脳の専門家ではありませんので、あくまで教育者としての考えでお話しさせていただきますが、ピアノのレッスンで特に高められる能力を挙げるとしたら、『ワーキングメモリ(作業記憶)』と『アウトプット力』ではないでしょうか。」

そう話すのは、子どもの教育・学習事情に詳しい、教育学者の陰山英男さん。

『ワーキングメモリ』とは、物事を行う際、情報を一時的にバックアップする記憶領域のこと。頭の中に、メモを書いた付せんを貼っておくようなものと考えるといいかもしれません。また、『アウトプット力』とは、記憶を瞬時かつ自在に思い出す力です。」

ピアノ演奏でワーキングメモリの能力&アウトプット力が高まる

ピアノを弾くと、なぜ、これらの能力が高まるのでしょうか。

「ピアノを弾くときには、目で楽譜を追い、両手の指をコントロールし、鍵盤からどんな音を引き出すかを無意識のうちに考えるといったように、複数のことを同時にこなしています。こうしたことをスムーズに行うには、進行しているたくさんの動作を、ワーキングメモリに次々とバックアップしていかなくてはなりません。従って、ピアノを弾くことはおのずとワーキングメモリの領域を拡大し、その能力を高めることにつながっていくと思います。」

また、ピアノの演奏は、「同時にアウトプット力を訓練していることになる」と陰山さんは続けます。

「ピアノを弾くのにはスピードが必要です。『えーと、次の音は何だったっけ』とゆっくり思い出しながら演奏するということはありません。曲のスピードに乗って次から次へと弾くことによって、記憶したことを正確に、すばやくアウトプットする能力が身についていくのです。」


脳の処理能力と思考力がアップする!

それでは、ワーキングメモリとアウトプット力が高まると、子どもたちはどのように変わるのでしょうか。

「ワーキングメモリの能力がアップすると、一度に取得・処理できる情報量が増えるので、ある物事について、瞬時にいろいろな判断ができるようになってきます。」

また、アウトプット力が上がると、思考力が高まる可能性があると陰山さん。

「人間の考える力とは、記憶したものを自在に、そして適切に出力できる力のことだと思います。アウトプット力の向上は、思考力の向上に直結するのではないでしょうか。」

反復練習が脳を鍛え、学習にも効果を発揮する

陰山さんいわく「子どもの学力を高めるには、反復学習することが重要」なのだそう。

ピアノは同じ曲を何度も繰り返し練習しますが、これが反復学習と同じ効果をもたらし、結果的に子どもの学力向上に繋がっていると陰山さんは考えます。

「私は子どもたちに漢字ドリルや計算を繰り返しやらせて、覚えたことをどんどんアウトプットする訓練をしています。すると、不思議と別の教科の成績が上がったり、絵がうまくなったりします。これもワーキングメモリが増えて、脳の処理能力が底上げされるからだと私は考えます。」

ちなみに、カシオ計算機で実施された意識調査では、ピアノの経験がある難関大生(東大、京大、早稲田、慶応の在学生・卒業生)300名のうち73%が、「ピアノは脳の機能の向上に役立つと思う」と答えたそう。「ピアノを習うと頭が良くなる」は、どうやら間違いではなさそうですね。

【参考】カシオ計算機プレスリリース

「ピアノは楽しい!」目指すのはこのひとつ

とはいえ、どんな習い事も、子どもがしっかり取り組んでくれなければ無意味です。やる気を引き出すために、家庭でできることはあるでしょうか?

面白い!楽しい!と子どもに最大限感じさせることが、成功の秘けつです。なぜなら、面白いと思うことに人は没頭し、集中するからです。一般的に子どもは勉強が嫌いだと思われていますが、勉強が面白ければ、遊びよりも勉強を選ぶんです。」

なるほど!では、ピアノを面白い!と感じさせるためには、どうすればよいのでしょうか。

「まず、長時間の練習を強要しないこと。長いこと練習しなさいといって、ピアノがつまらなくなってしまったら、どんなに練習させようとしても『やろう』というスイッチが入りません。もうひとつ、子どもが面白がってピアノを弾いているときに、親は絶対にそれを遮ってはいけません。なぜなら、子どもがピアノを面白がっているということは、ピアノに集中しているという証明だからです。すでに述べたように、人は面白いものに集中するのです。」

上手、下手にとらわれず、ピアノを弾くことが楽しいと思ってもらうこと。それができたら、子どもはピアノを繰り返し弾き、結果的にピアノの技術も脳の力も発達していくのかもしれませんね。

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お話を聞いたのは…

  • 陰山英男先生

    立命館大学教育開発推進機構教授・立命館小学校校長顧問。計算や漢字の反復学習により基礎学力の向上を促す「陰山メソッド」の創始者であり、小学館の通信添削学習「ドラゼミ」の総監修者。「陰山メソッド 徹底反復」シリーズをはじめとする小学生向けのドリルや、「人生にとって意味のある勉強法」(PHP研究所)、「親バカってすばらしい!」(講談社)など、多数の著書を出版している。

  • 陰山英男 Official Web Site
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ライター紹介

岡本有紗

2児と猫3匹を育てるライター。メディカル系専門の広告制作会社でライティングと編集業務を経験後、出産を機にフリーに。得意分野はやはりメディカル系だが、いろいろな分野を経験し幅を広げたいというのが現在の目標。趣味はあえてチープな手段で行く一人旅(休止中)、特技はハモリと絶対音感。

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