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子どもは「耳に水が入りやすい」って本当? 理由&対処法も!

掲載日: 2018年12月10日更新日: 2018年12月10日近藤 浩己

プール遊びやお風呂の際に、耳に水が入ってしまうことってありますよね。水が入りやすい子と、そうではない子は何が違うのでしょうか。また、耳に水が入ったときの正しい対処法とは…? 気になる疑問について、慈恵医大第三病院耳鼻咽喉科の小森学先生に聞きました。

「耳に水が入りやすい人」っているの? 

まれに「耳に水が入ったことがない」という人がいますが、入りやすい・入りにくいは存在するのでしょうか。

単純に、耳の穴が大きな人は水が入りやすいですし、小さい人は入りにくいはずです。ですが、一般的に耳の穴の大きさには大差がなく、水の入りやすさもそこまで変わらないと思います

「男女の体格差が出てくる思春期くらいになると、男子の方が耳が大きい分、水が入りやすいかもしれません。とはいえ、それほどの差があるわけでもないはずです」

耳に水は誰しも入るし、入りやすさも多少の差なのですね。ちなみに、大人と子どもに差はあるのでしょうか。

子どもであれば、8歳頃までは外耳道があまり曲がっていないので、確かに水が入りやすいといえます。ですが、曲がっていない分、入っても出やすいので、トラブルになることはほぼないでしょう

つまり8歳頃までは、水が入りやすいけれども抜けやすく、成長するにつれ、水が入りにくくなる代わりに入ったら抜けにくくなるということですね。

耳に入った水はなぜ抜けにくいの?

なぜ耳に入った水は抜けにくいのでしょうか。

「耳の穴の入り口から鼓膜までの管を『外耳道(がいじどう)』と呼びますが、この外耳道はまっすぐではなく、耳の中で2回曲がっています。そのため、プールやシャワー程度では、そんなにたくさんの水が耳の奥に入ることはなかなかありません。ですが、一度入ってしまうと、迷路の奥に水が入ったような状態になるので抜けにくくなるのです」

画像は「日本耳鼻咽喉科学会」より引用(http://www.jibika.or.jp/citizens/daihyouteki/jika.html)

この「少ししか水が入らない」ことが、逆に水が抜けにくくなる要因の一つなのだとか。

「入った水は鼓膜まで届くのですが、鼓膜は外耳道という管に対して少し斜めに付いています。そのため、鼓膜の下の部分は、鋭角の水溜りのようになっています(参照:上記イラスト内の赤丸部分)」

ここに水が入り込むことで抜けにくくなるのですが、水が大量に入った場合は逆にするっと抜けるんです。そうではなく、一滴程度の少量の水が鼓膜の下に張り付いてしまったような状態になるので、なかなか抜けなくなるとされています

確かに、食器などについた水滴も、1〜2滴だと流れず留まっていることがあります。それが耳の奥で起こっているということなのですね。


正しい水の抜き方を紹介!

では、耳に水が入ったとき、正しい抜き方はあるのでしょうか。

『正しい抜き方』というのは特にないですが、以下の方法を試してみてください

  • 水が入った方の耳を下にして、左右どちらかの足だけでトントン跳ねる
  • 耳を下にして、寝返りするようにゴロゴロする
  • 横になって、口を開けたり閉じたりする(口を開けたり閉じたりすることで外耳道の形が少し変わり、水が抜けやすくなる可能性がある)
  • 水が入った耳に、片手で少しすくった程度の水を入れる(耳の奥に入り込んだ水滴が、入ってきた水と混ざるため抜けやすくなる)

ただし、最後の「水を入れる」という方法には注意点があるようです。

塩素消毒されたプールの水なら問題ありませんが、海や川の水は衛生的にも避けた方が良いですね。近くに水道があれば水道水でもいいですし、なければペットボトルの水で代用してもいいでしょう」

「また、20度以下の冷たい水を耳に入れると、三半規管が刺激されてめまいを起こします。できるだけ常温の水を使うようにしてください」

要注意! 綿棒の使用はNGだった!

では反対に、間違った水の抜き方があれば教えて下さい。

綿棒などを耳に入れる方法は絶対にやめてほしいですね。刺激を与えることで外耳を傷つけかねませんし、耳アカを奥に押し込んでしまう可能性もあるからです

「耳アカを押し込んでしまうと、耳アカで鼓膜に栓をしている状態になり、聞こえが悪くなります。そのような状態になると、病院で耳アカを取ってもらわないといけなくなります」

「そもそも鼓膜は、耳の入り口から4cmくらい奥にあり、そこまで綿棒を入れること自体も危険です」

気になるからといって、綿棒などを耳に入れる行為はよくないのですね。

健康な耳なら水が抜けなくても大丈夫

では、いろいろ試してみても水が抜けなかった場合はどうすればいいのでしょうか。

基本的には放っておいて大丈夫です。人間の体温は37度前後あるので、一晩もすれば水は自然と蒸発します

「まれに鼓膜に穴がある子の場合は中耳炎に、外耳に傷などがある場合は外耳炎につながる恐れがありますが、このようなケース以外なら心配はいりません」

「鼓膜に穴」とは?

鼓膜の穴が我が子にあるのか心配になりますが、「乳幼児ではまず見ません」と小森先生。子どもの頃に中耳炎を繰り返した場合に、中高生の年齢で鼓膜に穴がある子をたまに見かけるそうです。

ただ、そうした症状を持つ子は、医師からすでにプールに入る際の注意点を聞いているので、トラブルは少ないそう。

『耳に水が入ったら中耳炎になる』という人がいますが、通常ありえません。入った水は鼓膜がブロックしてくれるので、それより奥に入ることはないんですよ

鼓膜が健康であれば、少量の水が入った程度で中耳炎になる心配はないようです。

外耳に傷とは?

では、外耳の傷とはどのような症状でしょうか?

耳掃除のしすぎで外耳の皮膚が弱くなってしまったり、耳の中に湿疹ができてしまうことがあります。そのような状態で耳に水が入ると、傷からばい菌が入り、外耳炎になる可能性があります

「また、日本人は乾いたタイプ耳アカの人が多いですが、3人に1人は湿ったタイプの耳アカです。そうした人が耳掃除の際に、無意識に耳アカを奥に押し込んでしまっていると、水が入った際に耳アカが水を吸って膨らみ、痛くなったり、聞こえが悪くなったりすることもあります」

「ですが、耳アカは放っておいても勝手に出てきますから、耳掃除は本来しなくていいんです」

よかれと思ってしていた耳掃除が、外耳炎の原因になることもあるのですね。

「耳の水が抜けない場合はひとまず様子を見て、翌日になっても違和感があるとか、耳が痛い、聞こえが悪いといった症状があれば病院に行きましょう。そうした症状がなければ、そのまま放っておいても大丈夫なケースが多いです」

スイミングキャップや耳栓で水を防ぐ

最後に、プールやシャワーで耳に水が入らなくなる方法があれば教えて下さい。

「基本的には、スイミングキャップの着用や耳栓をすることです。よく水が入るという場合は、耳栓をするか、スイミングキャップを耳まですっぽりかぶりましょう。シャワーでも入ってしまう子なら、シャワーの際も耳栓をしておきましょう」

耳が健康であれば、水が入り込んでも特に問題はないようですが、耳に水が入った状態は気持ちのいいものではありませんよね。プール遊びの際には、スイミングキャップや耳栓を習慣化すれば安心ですね。

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ライター紹介

近藤 浩己

1974年生まれ。ライターズオフィス「おふぃす・ともとも」のライター。トラック運転手からネイルアーティストまでさまざまな職を経験。しかし幼い頃から夢だった「書くことを仕事にしたい!」という思いが捨てきれずライターに。美容・ファッション系ライティングが得意だが、野球と柔道も好き。一児の母。

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