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子供に必要な1日の水分量は? おすすめ飲み物&適切な補給法も

掲載日: 2019年2月27日更新日: 2019年2月27日いこーよ編集部

寒い冬は飲み物を口にする機会が減りがちですが、子どもに必要な1日の水分量はどのくらいなのでしょうか。正しい水分の取り方を知ることで、風邪やインフルエンザ、乾燥などの予防にもつながることもありそうです。

そこで今回は、子育て両立・共育支援事業を行う「エスキッチン」で食育サポーター兼保育士として活躍する国際薬膳食育師の加野有美(かの・ゆみ)さんに、子どもの正しい水分補給の仕方や水分量などについて聞きました。

1日に必要な水分量は? 体重から導く計算式

今さらではありますが、そもそも人間にはなぜ水分が必要なのでしょうか?

「ヒトの身体の約60%は水分だと言われています。体内に水分が必要なのは、血液として栄養素を運ぶだけでなく、体温調節や老廃物の排出、筋肉を動かす際にも必要で、ヒトの生命維持に重要な役割を担っているからです

「体内の水分量は年齢とともに減少して、乳児が約70%、幼児は約65%、高齢になると50%〜55%まで下がるそうです。赤ちゃんや子どもの肌はピチピチでみずみずしいですが、成長するために新陳代謝を繰り返すので若いほど水分が多く必要になります
(参考資料:環境省熱中症環境保健マニュアルより)

体重が50kgの大人の場合、体内に30Lの水分があると考えるとなかなかの量ですね。では、一日に必要な水分量はどのくらいでしょうか?

「成人が1日に必要な水分量は約3Lと言われています。尿や便、呼気、汗などで失われる排出量がトータルで1日約2.5Lであるのに対し、体内で代謝によって作られる水分は約0.3Lしかありません。食事に含まれる水分が約1Lと考えると、残り1.2Lは水などの飲み物からとる必要があります
(参考文献:「食品と栄養の特性」/全国調理師養成施設協会、「尿トレ」/山西友典、厚生労働省)

「また、体重が重い人ほど多くのエネルギーが必要となるので、体重に乗じてより多くの水分を摂取する必要があります

1日に必要な水分量を知りたい時の簡単な方法があれば教えてください。

「年齢が25歳〜55歳の場合は、『体重×35ml』の計算式で、1日に必要な水分量をおおよそ知ることができます
(参考文献:「現場発!臨床栄養管理」/宮澤靖)

仮に、50kgであれば50kg×35ml=1,750ml(1.75L)となりますね。

「この計算式はあくまでも目安なので、日ごろの運動量や塩分の摂取量などによっても異なります。厚生労働省では、目覚めの一杯と寝る前の一杯に加えて、さらにあと2杯の水を飲む習慣をつけると良いと言っています


子どもに必要な水分量&正しい補給の仕方

赤ちゃんなど小さな子どもの目安の水分量も教えてください。

「子どもと大人の必要な水分量はもちろん違います。さらに子どもの場合は、年齢によっても異なります

【飲料水+食事からの一日に必要な水分量の目安】

新生児:1kg(体重)あたり約50〜120ml
乳児:1kgあたり約120〜150ml
幼児:1kgあたり約90〜100ml
学童:1kgあたり約60〜80ml
(参考文献:「水の健康学」/藤田紘一郎)

「例えば、幼児で体重15kgの子どもの場合、15kg×90〜100ml=1,350〜1,500mlとなります。幼児を例にとると、大人の倍の量の水分が必要ということになります

子どもへの正しい補給のやり方はあるのでしょうか。

「乳幼児の場合は、脱水状態でもうまく伝えられなかったり、喉の渇きを感じにくいことがあるので、大人が注意して見守る必要があります。水分補給の際は、一度にたくさんの水を飲むと体に負担がかかるため、できるだけこまめに摂取するのが理想です

風邪や下痢、熱中症などの場合には脱水症状になりやすいですが、脱水状態を見分けるポイントはありますか?

脱水症状が進行すると、おしっこの回数や量が少なくなり、尿の色が濃くなります。また、不機嫌になり唇や皮膚が乾燥します。このようなときは、速やかに水分補給を行ってください。吐き戻したり、ぐったりして口から摂取できないときは、すぐに病院へ受診しましょう」

体調不良の時は、一気に飲むのではなく、少しずつ飲ませるのがポイントだそう。1〜2口飲んだら休み、また1〜2口飲むことを繰り返すと良いそうです。

では、どんなものを飲ませたらよいのでしょうか?

「水やお茶(カフェインが入ってないもの)がオススメです。ジュースなど甘いものを欲しがることも多いと思いますが、ジュースは水分摂取としてではなく、おやつ時の特別な飲み物としてあげてください。また、大人のイオン飲料には多くの糖分が含まれています。風邪などで与えるときは、水で薄めるか子ども用のイオン飲料を飲ませてあげましょう」


水の飲みすぎってあるの? 季節にあった水分のとり方とは?

水分補給の大切さやポイントはわかりました。では、逆に「飲みすぎ」というのはあるのでしょうか?

「『水中毒』という症状があります。医学的には低ナトリウム血症といい、過剰な水分摂取で体液が薄まることによって、意識障害やめまい、頭痛、頻尿、吐き気、下痢などを引き起こすと言われています。ただし、水中毒になりやすいのは、一気に10L以上の水を飲んだりした場合とされており、健康な腎臓の働きで日常生活の水の飲み方であれば、まず問題ないと言われています

子どもが多く水を飲んでいても、特別心配する必要はなさそうですね。

最後に、季節にあわせた水分摂取の仕方があれば教えてください。

「日本には四季があるので、季節にあった水分摂取が好ましいですね」

<春>
気温が徐々に上がって、汗をかきやすくなる季節。環境の変化が多い時期でもあるので、体調管理が重要です。冬に減少した水分量を徐々に増やしていきましょう

<夏>
1年で一番気温が高く、最も汗をかく季節です。熱中症など水分不足に陥りやすい時期でもあります。ジュースや清涼飲料水はかえって喉が渇く場合が多いので、水やお茶を摂るよう心がけましょう。一気に多量の摂取をするより、少量で回数を多くすると良いでしょう。

<秋>
暑さが和らいで過ごしやすくなるこの時期は、水分摂取が減りがちです。とはいえ汗はまだかく時期なので、こまめに水分補給をするように心がけましょう

<冬>
外気の乾燥によりウイルスが活発化、蔓延しやすい季節です。寒い冬は水分摂取量が減りがちですが、体内の粘膜が乾燥すると、ウイルスに感染しやすく体調不良の原因になります。身体の乾燥を防いで潤いを保つために、意識して少しずつ水分補給をしましょう

子どもの健康には、適切な水分補給が必須だということがわかりました。大人と子どもに大きな違いがあることを意識して、こまめな水分補給を心がけたいですね。

お話を聞いたのは…

  • 加野 有美(かの ゆみ) エスキッチン食育サポーター

    大学卒業後より料理講師など食に携わる仕事を経て「食べること=生きること」をモットーに、多くの人が健康的でイキイキと過ごすことができる食の提案をしている。旬の野菜料理やパン、製菓を得意とする。調理師・食育インストラクター・国際薬膳食育師など食に関する資格を多数所持し、食育講座やレシピ提案、ライター業、イベント、出張料理と多岐にわたり活動中。保育士資格を保有し、子どもたちの食育にも力を入れている。

  • エスキッチン
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いこーよ編集部

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