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【育児都市伝説】炭酸飲料が子どもの体に悪影響って本当?

掲載日: 2016年1月26日更新日: 2016年1月26日矢口 あやは

子どもの頃、コーラやサイダーなどの炭酸飲料を飲もうとすると「骨が溶けるからやめなさい」と大人たちに叱られた記憶はありませんか? 炭酸飲料は本当に子どもの骨に悪影響を与える飲み物なのかどうか、ウワサの真相に迫ります。

コーラに浸けたら骨が溶けた…その根拠ちょっと待った!

炭酸飲料とは、水に二酸化炭素を圧入したもので、甘味料や酸味料、フレーバーなどを加えた飲料のこと。成分だけ見ると、人体に害はなさそうに思えますが、「骨が溶ける」という説の真偽は一体? 子どもの栄養教育に詳しい帝京科学大学教授・上田玲子先生に伺いました。

「このウワサの出どころは、コーラに骨を数日間浸しておいたら、骨がグズグズに脆くなったというデモンストレーションのようですね。しかし、口から摂取する場合と、炭酸飲料水の中に直接漬け込む場合では、話がまったく別なのです。」

炭酸飲料は、酸性の飲み物。酸には骨の成分であるカルシウムやマグネシウムを溶かす性質がありますが、酸性の食べ物といえば、調味料である「お酢」もその一つ。

「お酢を使った料理『南蛮漬け』も、お酢に魚を浸しておくことで骨まで軟らかくなって食べやすくなりますよね。でも、お酢を摂ったからといって体内の骨が溶けるわけではありません。同じように、コーラに長時間漬け込めば骨は脆くなりますが、口から飲んだだけで骨は溶けません。炭酸飲料を飲むと骨が溶けるという話に科学的な根拠はないんですよ。」

同じく「溶ける」といわれている「歯」についても、炭酸飲料が歯に触れている時間はほんのわずかで、さらに唾液が中和したり、薄めたりすることを考えると「溶ける」という心配はないそうです。


炭酸飲料に含まれる“リン酸”も疑惑の一因に…

「骨が溶ける」というウワサが広まったもう一つの原因とみられるのが、“リン酸”です。リン酸は、コーラを始めとする炭酸飲料で、しばしば酸味づけのために使われています。

このリン酸を過剰に摂取すると、血液中のカルシウムと結びついて尿として排出されてしまうんだそう。すると、血液中のカルシウム濃度が下がるため、体は濃度を元に戻そうとして骨や歯を構成するカルシウムを利用するんだとか。

ただし、炭酸飲料に含まれるリン酸の量はごくわずかで、摂り過ぎになることはまずないとされ、血中のカルシウム濃度を下げるほどではない、というのが一般的な見解です。「骨が溶ける」説は、甘い炭酸飲料を飲み過ぎないようにしたい親心ゆえだったのかもしれませんね。

炭酸飲料を楽しむときは、「酸」より「糖分」にご用心!

ところで、数日間ずっと浸けていた結果とはいえ骨が脆くなるほど、炭酸飲料が酸性度の高い飲み物だったとは…。体への悪影響はないのでしょうか? 

「口から摂取する場合、胃に入ると消化液である胃酸がありますね。この胃酸は濃い塩酸で、炭酸飲料よりもずっと酸性度が高いのです。だから、食べ物や飲み物の酸性度はあまり心配しなくて大丈夫ですよ。」と上田先生。

ただし、『糖分』の摂り過ぎにはご用心を! 炭酸飲料は、独特のシュワシュワ感があり、冷やして飲むことから甘味を感じにくい飲み物なのです。そのため、含まれている糖分量が多くなりがちです。」

調べてみると、350mlのコーラ1缶には9個〜10個の角砂糖と同じ量の糖分が含まれているのだそう。

「幼児の1日の砂糖の目安は5g程度であり、一般的な炭酸飲料の糖分は約10%といわれていますから、子どもにあげられる炭酸飲料は50mlくらいまでが目安になりますね。糖分は虫歯の原因になりますので、歯磨きも忘れないでくださいね。」

ちなみに、甘くないミネラルウォーターの炭酸水の場合、酸性度や糖分を摂り過ぎる心配はないものの、ミネラルを多く含むものは体内で濾過する際に腎臓に負担がかかるともいわれます。こちらも、飲み過ぎにはご注意を!

お話を聞いたのは…

  • 上田玲子先生

    帝京科学大学こども学部幼児保育学科教授ほか、山梨大学、東洋英和女学院大学の非常勤講師など、多くの顔を持つ。専門分野は 母性・小児栄養、栄養教育。『健康教育 ヘルスプロモーションの展開』『新版 子どもの食生活』、『よくわかる離乳食』『はじめての離乳食と幼児食』など著書多数。ヘルシーな食事と豊かな時間を提案するブログ「れいこのあったかサロン」やフェイスブックを更新中。

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ライター紹介

矢口 あやは

1983年生まれ。大阪府出身。フリーライターとして活動する傍ら、生き物の世界に魅せられて、狩猟免許を取得。沖縄から北海道まで、国内の自然と動物を訪ね歩いています。現在は、世界一周を目指して貯金の日々。

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