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アメリカの子育ては日本とこんなに違う! 日米の育児事情&比較

掲載日: 2017年10月13日更新日: 2018年4月24日菊地貴広

文化や習慣が違えば、子育ての常識も変わるもの。今回は、アメリカと日本における子育ての「違い」を紹介します。子どもが小さなときから親子が別室で寝て、お風呂にも一緒に入らず、お金の管理を学ぶため株を運用する場合もあるというアメリカ。うなずけるものから、「なぜ!?」と驚くものまで、日米のさまざまな子育ての違いを見ていきましょう。

自立を促すアメリカと協調性を育む日本

アメリカでは、子どもに「どう思う?」と聞くことが多いそう

今回お話を聞いたのは、「AtoZ英語学校」の代表を務めるデイビッド・セインさん。アメリカから日本に移住して約30年、日本人の奥さんとの間に2人の子どもがおり、日本で子育てをしたセインさんに、日本とアメリカの育児の違いについて伺いました。

日本とアメリカの子育てで、大きな違いを感じることはありますか。

アメリカでは、育児の大きな目的は自立です。そのため、何かあると必ず子どもに『どう思う?』と聞きます。社会に出たときに困らないように、子どものうちから考える力や個性を伸ばすことを重視します」

「逆に日本では、周りの人と上手に付き合えることを大切にします。子どもが一番叱られるのは、誰かに迷惑をかけたときでしょう。勉強でも、クラスの仲間と進み具合が同じかどうかを気にしますよね」

ひとつの会社に務め続けることが多い日本と、転職に対してハードルの低いアメリカ。その差が子育てにも表れているのではないかとセインさん。そして、子育てにおいて母親の影響が強いのも日本の特徴なのだとか。

「日本の家庭では、お父さんはお金を稼いでくる人、お母さんは家で子どもを育てるというケースが多いです。だからお母さんの存在がとても大きくて、家の中ではお母さんの意見が通りやすいと感じます。アメリカでは、そこまで明確な役割分担はありません。何でも話し合って決めますし、意見が食い違ったときはお父さんが決めることが多いですね」

日本も変わってきてはいますが、いまでも「子育ては女性の仕事」という意識が残っているのは事実でしょう。日本のお父さんは仕事が忙しすぎて、家で子どもと向き合う余裕がないのも原因の1つだと言います。


日米の「子育ての常識」5つの違い

協調性と自立。子どもに求めるものが異なる日本とアメリカでは、子育ての方法も大きく異なります。代表的な例を5つピックアップしてもらいました。

1.両親と子どもは別室で寝る

「アメリカでは、1歳になったくらいから自分の部屋を持たせて、夜もひとりで寝かせる家庭が多いですね。子どものそばに置いたマイクやカメラで様子をチェックして、何かあればすぐに駆けつけます。子どもの自立をうながすほかに、夫婦の関係をキープする目的もあるようです。日本では、子どもが産まれると夫婦ではなく、お父さんとお母さんになってしまう気がします」

一方、日本では就学前の子どもは両親と同じ部屋で寝るのが一般的。ただし、アメリカでも、最近は日本のように親子が同じ部屋で寝る家庭が増えてきているそうです。

2.子どもと一緒にお風呂はNG

「赤ちゃんのときは別として、アメリカでは親子が一緒にお風呂に入ることはありません。1人でお風呂に入れない子どもには、親が服を着たまま一緒に入って手伝います。特に、父親が娘と一緒にお風呂に入ることは、虐待を疑われるほどのタブー。警察に通報されてもおかしくありません」

日本では、子どもと一緒にお風呂に入るのはごく普通のこと。パパがお風呂担当という家庭も多いでしょう。実際、日本で子育てをしたセインさんも、子どもと一緒にお風呂に入っていたそうです。

日本には『裸の付き合い』という文化があり、銭湯や温泉も昔から親しまれています。私も日本の文化を理解しているし、悪いものだとはまったく思いません。ただ、アメリカの友人に子どもと一緒にお風呂に入っていると言ったら、かなり驚かれたでしょうね」

3.お金の管理を自分でさせる

「日本では、子どもにお金の話をするのはよくないという風潮がありますね。反対にアメリカでは、子どもが小さなうちからある程度の金額を持たせて、お金を管理することを学ばせます。おもちゃやお菓子、学校で使う文房具、家庭によっては洋服まで、すべて自分で使い道を考えます」

日本にもお小遣いはありますが、勉強道具などは別に買い与えるのが普通です。ですが、アメリカでは、より大きなお金を渡して、すべてをその中でやりくりさせるそうです。

「前借りや増額は認められないことが多いため、足りなくなったら芝刈りなどのアルバイトをすることもあります。家庭によっては5歳くらいで株を始める子どももいますね。さすがに口座は親が管理し、運用は子どもに任せることが多いようです」

4.子どもをよく褒める

「アメリカ人は褒めるのが上手。褒めることで子どものやる気を引き出し、自発的に行動させようとします。アメリカでは『やりたいかどうか』が一番大切で、やりたいことを見つけるには物事を好きになるのが早道です。だから褒めるのです。でも日本では『やるべきかどうか』が大切で、そこに本人の意志はあまり関係ありません」

また、日本の文化である「謙遜」もアメリカにはない文化だそうです。

「子どもを人から褒められたら、『ありがとう、私もそう思います!』とアメリカ人は答えます。そうすることで、子どもは自分に自信を持てるようになります。自分の子どもに『愚息』なんて言葉は絶対に使いません」

5.受験戦争がない

アメリカの大学は、入るのは比較的簡単。ただし、進級や卒業をするのがとても難しい。テストで悪い点を取れば、すぐに落第です。落第者の数が少ないと『この大学は簡単に進級できるレベルの低い大学だな』と思われるので、大学もシビアに判断します。だからみんな必死で勉強します」

「入学さえすれば、勉強しなくても卒業できる日本の大学とは真逆」とセインさんが言う通り、入学自体はそれほど難しくはないため、受験戦争は起きにくいそうです。


セインさんから日本のママへ

ときには子どもを信じて手を離すことも大切

自身の奥さまも含めて、「日本のお母さんは、きめ細かく愛情を子どもに注ぐ」とセインさん。ただし、ときにそれが裏目に出てしまうとも感じているようです。

「日本では、子どもが3人もいるととても大変ですよね。僕は9人兄弟で育ちましたが、母が大変そうだと感じたことはありません。それは、ある程度子ども自身に任せていたからです。アメリカでは子どもに『自分でやりなさい』と教えます。家事の手伝いも当たり前。掃除、皿洗い、料理、何でも子どもにやらせます」

子どもは絶対に親の言いなりにはなりません。親の影響なんて、思ったより少ないものだし、時期がくれば自分で未来を決める力を子どもは持っています。親は愛情を持ってそれを見守り、必要ならサポートをするくらいでいいのではないでしょうか」

こんなにも違う日米の子育て。それぞれに文化や社会的な背景があり、どちらが優れているというものではありません。そして、子を思う親の気持ちは同じです。子どもの成長に応じて、ときにはアメリカ式の考え方を取り入れてもいいかもしれませんね。

お話を聞いたのは…

  • AtoZ英語学校代表 デイビッド・セインさん

    アメリカ合衆国アリゾナ州出身。カリフォルニア州アズサパシフィック大学で社会学修士号を取得した後、翻訳、通訳、証券会社勤務などを経て来日。日本で25年以上の豊富な英語教育経験を持ち、これまで数万人におよぶ日本人生徒に教えてきた、日本における英会話教育の第一人者。企業や学校でのセミナーや、英語関連の出版物の企画・編集を手掛けるほか、AtoZ 英語学校を運営する。『英語サンドイッチメソッド』シリーズ(アスコム)などの英語関連書籍も積極的に手掛け、累計300万部以上の著作を刊行している。

  • デイビッド・セイン英語ジム
  • デイビッド・セイン オフィシャルサイト

ライター紹介

菊地貴広

編集プロダクション・しろくま事務所(http://whitebear74.jimdo.com)代表。2014年に出版社から独立し、ファッション、グルメ、ビール、猫、タレント本など幅広く活動。2015年11月に男子が誕生し、息子に夢中。その成長を見るたびにフルフルと感涙する日々。

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