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花粉が舞う季節。それでも元気に外遊びしたい!

掲載日: 2015年1月16日更新日: 2017年5月16日門馬 聖子
鼻がずるずる、くしゃみが止まらない、目がかゆい… 花粉症の人にとって、恐怖の季節がまもなくやって来ます。子どもの花粉症って増えてるの? 外出する際のポイントは? 気になっていた疑問を耳鼻咽喉科の先生にお聞きしました。

子どもの花粉症はどんどん増えている

春の足音が聞こえてくる2月後半から3月中旬。外遊びが楽しくなる一方で、花粉の飛散が気になる時期でもあります。「鼻水やくしゃみが止まらないけど、どうも風邪じゃないようだ」と耳鼻咽喉科を訪れる親子も少なくありません。JCHO(ジェイコー)東京新宿メディカルセンター耳鼻咽喉科の石井正則先生は、子どもの花粉症は増えていると話します。

「花粉症の要因は、遺伝と環境。両親が花粉症だったら、かなりの確率で子どもは花粉症になります。小さい子だと5歳くらいから受診しています。今、戦後に植林した杉が大きく成長し花粉生産能力の高い状態になっています。また、温暖化の影響で花粉の産生が増えているという話もあり、花粉の総量はどんどん増えている。環境を変えるには転地するしかありませんが、場所が変われば別の花粉があります」

主に、北海道なら白樺、東京なら杉とヒノキ。最近は、空き地の雑草に多いイネ科の花粉症が増えており、「雑草の中を走り回って症状が出る子もいます」と石井先生。また、家のホコリやダニ、ペットなど他のアレルギー症状と花粉症が重なっている人も多く、約6割にのぼるとか。今のところ子どもに花粉症が見られない親も、「今年は大丈夫だろうか…」と身が引き締まります。

こんな日は外遊びに要注意!

花粉がどの程度飛んでいるかを知るには、ニュースや天気予報の「花粉情報」チェックが欠かせません。

「雨が降った翌日の風の強い日」が大量飛散のキーワード

雨が降った後、地面に落ちた花粉が風に吹かれて飛び散ります。雨を含んだ花粉は弾けて中身が出て、さらに細かい花粉を発散するんです。一日のうち、最も花粉が飛ぶピークは朝、次に夕方と言われています。つまり、日の出と共に出始めた花粉が風に乗って飛んできて、また夕方の風が落ちつく凪の時間に花粉が地上へ降りてくるわけです

どの程度の飛散状況なら外遊びできるの?

「花粉が大量飛散する日は、残念ながら外出は控えたほうがよさそうです。大量飛散の時に外出するともっと症状は悪くなり、軽症だった花粉症が重症化する可能性もあります。重症化して長期化すると、鼻にうみがたまる蓄膿症(慢性副鼻腔炎)になり投薬や手術などの治療が必要になります」

それでも遊び盛りの子どもたちとずっと家の中、というわけにはいかないですよね。花粉が舞い散る季節には、外遊びを短時間にとどめるか、室内の遊び場へ行くなどの工夫が必要なようです。

最大限にブロック!外出時のポイント

では外出の際、基本対策のマスクや帽子着用のほか、どんなことに気をつけたらよいでしょうか。外出時に着る衣服と花粉の相性についてお聞きしました。

花粉がつきやすい衣類って?


「基本的に、静電気の起こるものには花粉が付きます。ダントツはウール。そしてフリース。ダウンジャケットはコーティングしてあるので大丈夫ですが、襟元やフードのファーにこびりつきます。意外だったのが革靴。電子顕微鏡で見ると、まるで毛髪のように薄いひだがたくさんあって花粉がそこへ入り込みます。女性のストッキングも要注意。静電気防止スプレーをし、帰宅時には花粉をしっかり払い落して玄関に持ち込まないようにしましょう」

衣類の素材別花粉の付着度とは?

付きやすい   ウール、ファー、フリース、革靴
やや付きやすい スーツ、ストッキング、ジーンズ、綿シャツ
付きにくい   ダウンジャケット、表面がつるつるした生地のもの

家の中に花粉を持ち込んでしまった場合のケアとは?

「この時期、洗濯物は外に干せません。掃除をマメにして、特に寝具はダニの除去にも関係しますから念入りに。ふとんを干せない代わりに、ふとん乾燥機やふとんクリーナーを使いましょう。床掃除は、フローリングなら水拭きを、じゅうたんならワイパーなどで表面の花粉をとった後、念入りに掃除機をかけるといいでしょう。空気清浄機は、家の中に飛んでいる花粉を除去するので効果的です」

花粉症に負けない体を作るために

花粉症に効果的な食品とは?

「花粉症にはこれが効く!という食品はいろいろ言われています。ヨーグルトを食べると腸内細菌のバランスを整えるからいいとか、カテキン茶は抗アレルギー作用があるからいいとか。気休めながら効果が出たという話もありますが、一つの食品に頼るのは間違い。いくつか組み合わせて多面的なアプローチをしていく必要があります。バランスのよい食事は免疫力を上げるための基本です。花粉症対策は、まず幅広く情報収集し、症状がつらい時には医療機関を受診するのがいいでしょう」

花粉症の人にオススメの対処療法とは?

石井先生が花粉症に効く!とオススメするのが「鼻うがい」。対処療法ですが、医学的にも効果を示すデータがあり、先生ご自身もその「すっきり感」を実感済みとか。

「鼻うがいは、自分で鼻をかむことができる年齢から始められます。自律神経のバランスがとれていない朝に症状が出るモーニングアタックや、風邪で鼻がつまった時にも効果的です。真水で鼻うがいをすると溺れたように鼻がツーンとしますから、鼻うがい専用の器具と専用の粉末を溶かした生理食塩水で行なってみてください。鼻うがい用の器具や粉末は、通販やインターネット、全国のドラッグストアで手に入ります」

これからの季節、花粉情報から日々の対策までさまざまな情報にアンテナを張りながら、ムリせず、アクティブに過ごしたいですね。

お話を聞いたのは…

  • 石井正則先生

    JCHO(ジェイコー)東京新宿メディカルセンター(旧東京厚生年金病院)耳鼻咽喉科部長。医学博士。東京慈恵会医科大学耳鼻咽喉科准教授、岐阜大耳鼻咽喉科臨床教授、JAXA(宇宙航空研究開発機構)の宇宙飛行士医学審査会委員などを併任。著書に『鼻の病気はこれで治せる』(二見書房)などがある。

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ライター紹介

門馬 聖子

1975年生まれ。書籍編集、建築インテリア誌編集を経てフリーに。双子の娘を出産後、計2年間、韓国・ソウルに滞在。娘が4~5歳の時、1年半のカナダ親子留学を決行。外国へ行くたびに「日本の美」への慕情を募らせる。学生時代からの趣味「地方の祭り巡り」をいつか娘たちと…と楽しみにしている。

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