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「夜泣き」問題は日本だけ!?泣いても放っておけば治る…?

掲載日: 2016年4月18日更新日: 2017年5月16日近藤 浩己

あまり続くと、ママの方が泣きたくなる夜泣き。しかし欧米では、夜泣きをしてもそのまま泣かせておくと聞きます。さらに、一度放ったらかしにすると、翌日から夜泣きをしなくなるという話も…! 夜泣きは、どう対応するのが最適なのでしょうか? 専門家に聞きました。

睡眠リズムと寝かしつけ方が夜泣きの原因

そもそも、子どもはなぜ夜泣きをするのでしょうか。

「夜泣きの要因は大きく2つあります。まず1つ目は、睡眠リズムによるもの。そして2つ目は、睡眠リズムの関係で目を覚ました時の寝かしつけ方の問題です。」

こう答えてくれたのは、「赤ちゃんの眠り研究所」代表の清水悦子さん。

「人間は、浅い眠り(レム睡眠や浅睡眠)と、深い眠り(徐派睡眠)を繰り返しながら睡眠をとっています。ぐっすり眠っている徐波睡眠時に比べ、浅い眠りの時は、ちょっとした物音でも目を覚ましやすいのが特徴。そうして目を覚ましたときに、周りの状況を確認し、いつもと違ったり、安全じゃないと感じると泣いてしまうことがあります。」

「ママが近くにいること=安全」と感じている赤ちゃんであれば、ママが見当たらないと「危険な状況だ」と思ってしまうのだとか。そして、どんな状況を「安全」と感じるかは、目覚めたときの寝かしつけ方によって変わってくるそうです。

「例えば夜泣きで起きるたびに、おっぱいを飲ませて寝かしつけていたら、おっぱいが口の中にある状態が“安全”だと思ってしまいます。そうなると、おっぱいを含ませないと寝られないようになる子もいるのです。」

夜中に何度も目を覚ますのは睡眠リズムがまだ未熟だから

一晩に、夜泣きを何度も繰り返すことがつらいというママもいます。赤ちゃんが夜中に何度も目を覚ましてしまう理由は何なのでしょうか。

睡眠リズムがまだ未熟だからだと思います。浅い眠り→深い眠り→浅い眠り…といったリズムを自然に繰り返すには、睡眠機能の発達が必要。赤ちゃんはそこがまだ未熟なので、浅い眠りの後に、スムーズに次の深い眠りに移行できずに泣いてしまうのです。」


「すぐに抱っこ」は必要ない!?

それでは、夜泣きのたびに「すぐに抱っこ」は必要ないのでしょうか?

「私は、必要ないと思っています。特に生後5カ月〜6カ月頃を過ぎると、夜中に泣くことが増えることがあります。そして、赤ちゃんが夜中に泣く理由は、お腹が空いただけではありません。」

夜泣きには完全に目を覚ましたわけではなく、寝ぼけて泣いていることもあると清水さん。

「浅い眠りの時に、大人なら寝言を言うところを、言葉の代わりに泣いていることもよくあるのです。まさに寝ぼけている状態ですね。」

「ママはどうしても、『泣くのは、何かお世話が必要だからじゃないか』などと考えてしまいがちですが、実は、寝ぼけて泣いているケースも多いんです。そんなときは2分〜3分もすれば、次の深い睡眠リズムに自然に移っていくことも少なくないので、しばらく様子を見てあげれば良いと思います。」

清水さんによれば、寝ぼけて泣くたびに抱っこをすると、「わざわざ起こす⇒抱っこして寝かせる」というスタイルが癖になってしまうことがあるそうです。

見守れば、1週間で夜泣きがなくなる研究結果も

では、欧米のように、泣いても放っておくのが正しい対応なのでしょうか。

「確かに、欧米の研究では、『夜寝かせてから、翌日の朝まで一切対応しない』ことを続けた場合、1週間以内にほとんどの子どもが夜泣きをしなくなったという結果が出ています。」

「『訴えるのを諦めて泣かなくなった』だけではないかと、心への影響について議論も起こりましたが、最近になって、情緒の発達や愛着の形成にも問題はないという、5年程度の経過を追った長期的な研究結果も出てきています。」

また欧米では、夜泣き=「特定のことをしないと寝られない症状」なのだとか。親の過剰な夜の関わりによって夜泣きが起こるとして、赤ちゃんの眠りに悩むママたちをサポートする団体でも「子どもの成長のために自力で寝ることを覚えてもらおう」と、朝まで対応しないことを夜泣き対策の一つとして推奨しているところもあるそうです。


早寝早起きにするだけで夜泣きが収まる?

とはいえ、欧米のこのスタイルを、そのまま真似するのは待ってほしいと清水さんは言います。

「欧米は、大人と子どもの生活をしっかりと分けていて、たとえ親が夜遅くに寝ていたとしても、子どもは夜の7時〜8時には寝かせています。太陽と共に寝て起きる早寝早起きの習慣が付いているからこそ、朝まで対応しないという方法もうまくいきやすい環境なのです。」

日本の場合は夜遅くに寝ている子どもも多いそう。そのような生活を送っている子どもは、朝が来れば目覚めようとする体内時計の影響で、睡眠不足に陥りやすく、睡眠の量も質も安定しにくいのだと言います。

「日本の場合は欧米と違って、大人の都合に合わせて子どもの就寝時間が遅い場合が多くあります。睡眠リズムが整わないまま、欧米式の『朝まで相手をしない』という方法を試すと、何時間でも泣き続けることがあります。」

早寝早起きのリズムを整えるだけで、夜泣きが改善する子もいます。まずは、夜になれば自然と眠くなるように、生活リズムを整えてあげてくださいね。」

「手のかからない」なだめ方がポイント

生活リズムを整える以外に、赤ちゃんの夜泣きをなくすために、親ができることはあるのでしょうか?

「赤ちゃんが泣き出したら、まずは2分〜3分、様子を見てください。そのまま寝そうであればそっとしておいて、ヒートアップして泣き出したら、あまり手のかからない方法でなだめてあげてください。」

ポイントは、泣きやませようと抱っこしたり、おっぱいをあげたり、ベランダに出てみたりと、あれこれなだめ方を変えないこと。

「赤ちゃんは、起きて泣きながら、状況を確認しています。そして、『ここはいつもと同じ。安心して寝ていい場所なんだ』と思えば眠りにつける。これを繰り返しながら、夜に目覚めても安心して寝られるようになっていきます。」

泣くたびに毎回違う方法でなだめていると、安心を感じるタイミングがわかりにくくなります。最初は時間がかかっても、夜に泣いたら『いつも同じ』対応を心がけてみてください。いつも同じ対応にするということは、それがママにとって大きな負担になる方法だと、ママが疲れてしまいます。ママはなるべくお布団の中でできるくらいの楽ななだめ方にしましょう。」

大変なのは初日だけ!1週間見守って

最後に清水さんは、こうした「手をかけない」対策は、1週間は続けてほしいと話します。

“いつもと同じ状況”が、赤ちゃんが安心感を覚えるためには必要です。赤ちゃんの夜泣きを直そうと決めたら、方法を変えることなく、1週間は毎日同じように対応をしてほしいですね。そうやって続けることで新しい安心感が子どもの中で生まれていきます。」

赤ちゃんには、こだわりが強くなる月齢もあるので、もし1週間続けても新しい寝方に慣れてくる様子がないようであれば、また時期を改めて再度チャレンジするといいそう。夜泣きに困っているママは、ぜひ早めに対策をしてみてくださいね。

お話を聞いたのは…

  • 清水悦子さん

    2010年に保育士の国家資格を取得。現在は、東京大学大学院・博士課程にて乳児の睡眠研究を行いながら、ママや支援者に向けた講座などを通して、子どもの睡眠や夜泣きのサポート活動を行っている。2014年1月に任意団体「赤ちゃんの眠り研究所」設立。2015年、NPO法人化予定。著書「赤ちゃんにもママにも優しい安眠ガイド」

  • 赤ちゃんの眠り研究所
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ライター紹介

近藤 浩己

1974年生まれ。ライターズオフィス「おふぃす・ともとも」のライター。トラック運転手からネイルアーティストまでさまざまな職を経験。しかし幼い頃から夢だった「書くことを仕事にしたい!」という思いが捨てきれずライターに。美容・ファッション系ライティングが得意だが、野球と柔道も好き。一児の母。

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