子どもとお出かけ情報サイト「いこーよ」は親子の成長、夢の育みを応援します!

子どもの遊具事故は5月が最多…注意すべきはココ!

掲載日: 2016年5月25日更新日: 2016年5月25日笹谷 優

春から初夏へと移り変わるこの時期は、子どもを外遊びに連れ出したい季節。しかし、消費者庁が2016年2月に発表したデータによると、子どもの遊具事故は3〜5月が多く、GWを含む5月は最多になるそうです。実際にどういった事故が起きているのか、また親が注意すべき点について専門家に伺いました。

遊具別の事故では滑り台が最多

消費者庁の発表では、遊具別の事故では滑り台が最多で440件を数え、遊具からの転落が原因となる事故が約6割という報告も。

滑り台の事故の例では、3才の妹を滑り台で遊ばせているときに、6才の兄が遊具で高いところに登り、家族に「みてーっ、たかいよー」と声をかける。両親が兄の方を見た“その瞬間”に、妹が滑り台の階段から落下してしまう…。

「ちょっと目を離す、という言葉がありますがこの場合の“ちょっと”は想像もできないほど一瞬。子どもは思いもがけない行動に出るということを、保護者が十分に理解していないと事故は未然に防げません。」と、一般社団法人日本公園施設業協会・専務理事の角南勇二さんは語ります。

「一瞬の隙に起こる事故」を考えると心配は尽きません。親としても、子どもたちには公園などでのびのびと遊ばせてあげたいものですが、保護者はどうやって事故を回避したらいいのでしょうか?


遊具遊びのリスクとハザード(危険の原因)を知る

「それを知るためには、遊具遊びの“リスクとハザード”を正しく知る必要があります。」と角南さん。

「子どもは遊びを通して身体や心を発育させ、創造性や主体性を育みます。また、ほかの子どもと遊ぶことで情緒や社会性を身につけます。つまり、遊ぶことは子どもの成長に欠かせないものなのです。」

角南さんはそのうえで「遊具遊びは、挑戦する心や事故を回避する判断力、予知力を育む大切な機会である」と教えてくれました。

子どもの挑戦心や予知力を育み、体力をつける楽しさに伴う危険を「リスク」と呼びます。つまり、年齢に応じて「上がってみよう!」「渡ってみよう!」「こわい! やめておこう」といった、成長の糧となる「挑み」と表裏一体の「危険」を指します

角南さんは「リスク」は保護者の見守りなどで適切に管理することにより、事故を回避できると話しています。

そして「ハザード」とは、遊具自体や周囲の環境が原因で発生する、遊びの楽しさと無関係の危険を指し、取り除かれなければならないものと教えてくれました。

3つの「位置」を意識してリスクから子どもを守る

では、最初の兄妹の例で、両親はどう事故を防ぐことができたのでしょうか?

「子どもの年齢や遊具の難易度に応じて、“目が届く位置” 、“声が届く位置”、 “手が届く位置”を、保護者が意識し続ける事が必要です。」

具体的には、兄が「みてーっ」と呼んだ瞬間に、3才の妹の手を瞬時に握ってから、お兄ちゃんを振り返る…といったリスク管理が考えられるそう。

「簡単なことと思われるかもしれませんが、適切な見守りが本当に大きな事故から子どもを守ることになります。」

こういった日頃の注意が、大事故を防ぐことにつながるのですね。


安全性の確認で「ハザード」を取り除く

一方「ハザード」を除去するために注意すべきこととはなんでしょう。

1つは、遊び場の安全性。国土交通省の調査によると、都市公園の遊具は設置後20年以上経過しているものが約50%もあるそうです。古い遊具は、長年の利用や風雨により、老朽化が進んでいます

古い遊具で遊ぶ時には、穴が空いていたり、はずれたり、壊れたりしていないか、親が事前によく確認しておいたほうがいいでしょう。

子どもが挟まる可能性のある「スキマ」に注意

角南さんは、国土交通省が定めた「安全指針(※都市公園における遊具の安全確保に関する指針/平成14年3月発表)」に沿って、日本公園施設業協会が遊具の安全規準を定めた、平成14年以前に設置された遊具に潜んでいるかもしれない「ハザード」として、次の項目を教えてくれました。

その1つが「遊具のスキマ」。幼児の体型は頭部が胴体より大きいのが特徴で、遊具から落ちたときに胴体が通っても頭がひっかかる大きさの隙間があると、挟まれた際に首に致命傷を負うことがあるそうです。

平成14年に 安全規準を定めてからは「こういった点も考慮した安全な遊具の製造・設置を進めている」と角南さんは話します。

子どもの頭部が挟まる隙間がないことを目で見て確認することは難しいですが、安全規準に適合した遊具には“SPマーク”が貼ってあるので、事前に確認しておくと、さらに安心できるのではないでしょうか。

一般社団法人日本公園施設業教会のホームページより

そのほか「遊具の下がコンクリートで固められていないか?」「周囲に放置された障害物はないか?」「ガラスのかけらなどが落ちていないか?」など、遊び場の安全性を大人が事前に確認することが大切です。

子どもの安全な服装を事前確認

もうひとつの「ハザード」として気をつけてほしいのが「子どもの服装」です。昨今の公園の事故でとくに多いのが「ヒモ」の事故。縄跳びやマフラー、肩掛け水筒、パーカーなど、子どもにはさまざまな「ヒモ」があります。

それらが遊具にひっかかり、体勢を立て直す際の邪魔になったり、落下の際に首に致命傷を負う危険性があります。これは、子どもが首から下げる携帯ストラップも同様です。

また、サンダル型の靴をはいていると、足から脱げやすいためにバランスを崩しやすく、それによる事故も報告されているそう。高い位置でバランスを崩したら…いうまでもなく大きな事故につながります。携帯ストラップやサンダル型の靴など、今や日常生活に当たり前となっているアイテムにも気をつけなければいけません。

適切な見守りと確認で子どもの遊びをサポートして

「子どもの身体づくりのためには遊具を始めとする外遊びは欠かせないもの。遊具遊びは、危険は伴っても、事故を回避することはできる。だから、子どもが遊具遊びをする機会を奪わないで欲しい。」と角南さん。

遊ぶことは子どもの成長につながります。「ハザード」を取り除き、パパやママが適切に見守りながら「リスク」を管理することで、心身が育まれる遊具遊びを思いっきり楽しませてあげてくださいね!

お話を聞いたのは…

  • 角南勇二さん

    一般社団法人日本公園施設業協会・専務理事。公園施設の安全性・耐久性・快適性等を考慮した製品開発のために、技術開発や調査研究、需要調査、国際交流、普及啓発などについて積極的な活動を展開。特に、子どもにとって大きな魅力である遊具の安全について注力。遊びはすべての子どもの成長の糧とする「遊びの価値」を提唱する。

  • 一般社団法人日本公園施設業協会公式ページ
  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • RSS
  • follow us in feedly
  • チェック

ライター紹介

笹谷 優

フリーランスのライター・プランナーとして活動中。フードコーディネータとしても活動しており、「食」との関連から歴史・文化・経済・農業・育児・シニア・健康など、幅広く執筆。約20年間の京都・大阪在住を経て、名古屋に拠点を変えたばかり。

ライターの最新記事

あなたにオススメの記事