高温多湿を好むカビ。雨の多い梅雨時は冬の5〜6倍にも増え、空気中をたくさんのカビの胞子が浮遊しています。カビは食べ物だけではなく、壁や床、衣類など、気づけばいろいろな場所に発生するもの。いったい、どれくらい健康に影響を及ぼすのでしょう。気になる子どもへの影響は? 家庭でできるカビ対策と合わせてお答えします!
花粉よりも吸い込みやすいカビの粒子
「カビは花粉よりも粒子が細かいため、口や鼻はもちろん、傷口や乾燥した皮膚などから侵入することもあります。そして体内に入ると、消化器や肺で炎症を起こしたり、皮膚炎になる可能性もあります」。
そう話すのは、日本アレルギー学会認定専門医・指導医であり、大和高田市立病院小児科部長の清益功浩さん。カビが人体に与える悪影響には、感染症とアレルギーの2種類があるといいます。
「カビが原因で起こる感染症には、カビそのものの感染による真菌性肺炎や水虫、カンジダ菌による胃腸炎などがあります。」
ただし感染症は、疲れや皮膚の乾燥などで免疫が低下した状態でなければ、それほど神経質にならなくてもよいそう。注意が必要なのは、カビによるアレルギーだと話します。
「カビによるアレルギーには喘息やアトピーなどがありますが、こうしたアレルギー症状は、免疫に関係なく健康な状態であっても起こりえます。このほか、子どもがかかりやすいアレルギー性の病気を引き起こす場合もあるので、カビが生えやすい梅雨どきなどは、特に注意してあげてほしいですね」。
子どもへの影響は? アトピーやおむつかぶれの原因にも…!?
では、子どもが注意したいカビによる病気とは、一体、どんなものがあるのでしょうか。
「『アレルギー性気管支肺アスペルギルス症』という病気があります。原因となるカビは、一般家庭に普通に生えるもので、吸い込むと気管支や肺に炎症が起こり、喘息のようなアレルギー症状が出ることがあります。小〜中学生くらいから発生する可能性があります」。
また、皮膚にも影響を及ぼすカビ。おむつかぶれやアトピーなども、カビが原因となることがあるそうです。
「乾燥や炎症などで皮膚の免疫力が弱っているときは、カビが侵入しやすい状態でもあります。弱った皮膚にカンジダやマラセチアというカビが侵入すると、アレルギー炎症を起こし、アトピーの原因になります。また、なかなか治らないおむつかぶれは、カンジダ性皮膚炎の可能性もありますね」。
免疫力が低いとされる乳幼児期から3歳くらいまでは、特に気をつけてほしいと清益さん。こうしたカビは、床などに発生する一般的なカビだけに、家庭での対策が重要となりそうです。
家庭でできるカビ対策
それでは、特にカビが生えやすいといわれる梅雨どき、家庭ではどんなカビ対策をすればよいのでしょうか。予防法を教えていただきました。
- 除湿機などを使って、部屋の湿度を50%前後に保つ
- 洗濯をするときは、殺菌効果もある漂白剤などを併用する
- クローゼットや押し入れは、定期的に換気する
- 風呂やキッチンなどの水回りは濡れたまま放置せず、拭く・換気するなどして乾燥させておく
- 布団は定期的に天日干しする。押し入れなどに収納したままの布団には、乾燥剤を使用する
生えてしまったカビはどう対処すればよいのでしょうか?
「生えたカビは、すみやかに除去することが大切です。皮膚や食物といった栄養と、高温多湿の環境がそろえば、どんどん繁殖するのがカビの特徴。根っこから殺菌できる塩素系洗剤が効果的です」。
水回りのゴムパッキンやスポンジなども、見落としがちなカビの発生ポイント。キッチン用の塩素系漂白剤などでこまめに殺菌するよう心がけましょう。また、パンや肉など、カビが生えやすい食材は、できるだけ火を通して食べるのも対策の一つ。
「抵抗力の弱い子どもさんのためにも、正しい対策を覚えて、快適な室内環境を整えてあげてくださいね」。
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