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屋台でとった金魚の飼育は『どんぶり金魚』がおすすめ

お祭り屋台の定番、水槽に入れられた金魚をポイと呼ばれる枠ですくう「金魚すくい」。成功して金魚がとれたものの、いざ家に帰って金魚をどうすればいいのか慌ててしまうことも…。そこで、金魚の飼い方について、前東京海洋大学長、現トキワ松学園理事長の岡本信明先生に伺いました。

金魚にとってもストレスは大敵!

屋台でとってきた金魚は長生きしない印象がありますが、実際はどうなのでしょうか?

金魚すくいの金魚が短命というのは間違いです。屋台でとってきた金魚が40年以上生きた例を知っています」と岡本先生。

一般的な金魚の寿命は10〜15年。屋台でとってきた金魚の寿命自体に違いはなく、死んでしまう原因は人間が与えるストレスにあるのだとか。早く死んでしまう理由をいかにクリアするか、金魚の身になって考えればいいそう。

金魚すくいの金魚はものすごいストレスにさらされています。まずは、金魚すくいの網で追い回される。これは疲れますよね。次に、すくって空気にさらされると、人間で言う窒息状態になります。そして、持ち帰るときは、揺れるし目が回ります。その状態で家に持ち帰った金魚は怖いので水槽でじっとしています。すると、『なぜ動かない』と水槽をたたいたり、はしで金魚をつついたり…。金魚を死に追いやろうとしているようなものです。」

確かに子どもに金魚を持たせると、ぶんぶん振り回してしまうことも。金魚にとってははた迷惑ですよね。ストレスが溜まると金魚はどうなってしまうのでしょうか?

「ストレスによってコルチゾールというホルモンが増え、血糖値が上がり、白血球が極端に少なくなります。すると、体表についていた寄生虫やバクテリアが爆発的に増加。それを取り除こうとして全身から粘液を出します。結果として粘液が鰓をも覆うことになって呼吸が出来なくなり、死んでしまうのです。」

人間と同じで、金魚にとってもストレスは大敵。金魚すくいをしたら、なるべく早く静かに家に持ち帰ってあげましょう。

飼育開始は3日間の断食と2週間のトリートメントを

家に持ち帰ったらまず何をすればいいのでしょうか?

移動のストレスや弱った体力の回復を図るために、トリートメントを行いましょう。トリートメントとは、0.5%の塩水で行う養生期間のこと。通常、浸透圧の関係で、真水中では金魚は体内に入ってくる水を体外に出すためにエネルギーを使っています。0.5%の塩水は、金魚の体液濃度に近いため、体内に入ってくる水が少なく、その分エネルギーを体力回復に使うことができます。また、塩水はバクテリアや寄生虫が生きにくい環境なので、数が増えなくなります。人間でいう集中治療室のようなものですね。」

トリートメントの期間は2週間。最初の3日間は餌をあげてはいけません。金魚は野生の性でエサを食べてしまいますが、エサを消化するエネルギーを使うことで、体に負担をかけてしまいます。エサを与えず、いじらず、そっとしておきましょう。」

家に持ち帰った後のケアが金魚を健康に長生きさせるコツなのですね。それでは、トリートメントの方法を紹介します。

トリートメントのやり方

<用意するもの>
  • バケツ、水槽など
  • 水道水
  • 中和剤、なければビタミンCの飴(浄水器の水、汲みおきした水の場合、不要)
  • エサ(市販の「金魚のえさ」)

<やり方>
  1. バケツに水道水を入れ、中和剤で塩素(カルキ)を抜く。中和剤がない場合、市販のビタミンCの飴を水中で数回指でしごいてかき混ぜてもOK。
  2. 塩水の濃度が0.5%になるように塩を入れ、よくかき混ぜる。牛乳1パック(1000cc)に塩5グラム(小さじ1杯)と覚えておくと分かりやすい。
  3. 袋のまま10分〜20分、水に浮かべて袋とトリートメント槽の水温を合わせてから、袋の口を開け、金魚が勝手に出ていくまで見守る。トリートメント槽の水が冷たい場合は、あらかじめお湯を少し入れて調節する。
  4. 3日間の断食後、エサを少しずつ与える。水が汚れる場合は、新しい塩水に水換えする。
子どもはすぐにエサをあげたがりますが、ここはじっと我慢。金魚の気持ちを話してあげるといいですね。

金魚を長生きさせる飼い方『どんぶり金魚』

トリートメント期間が過ぎたら、どのように飼えばいいでしょうか?

金魚を飼うのに特別な道具は必要ありません。屋台の金魚は小さいサイズがほとんどなので、『どんぶり』で飼うのがオススメ。毎日水換えをする必要はありますが、水槽と違って運びやすいどんぶりならそれほど負担にはなりません。水換えをすることで、酸素を供給することができるので、エアレーションを使わなくても大丈夫。フンやエサの食べ残しによる水質悪化も防ぐことができます。金魚を観察しやすいので、体調の変化にすぐ気が付けます。」

デスクの上やダイニングテーブルなど、いつでもどこでも楽しむことができる『どんぶり金魚』。早速方法を紹介します。

『どんぶり金魚』の飼育方法

<用意するもの>
  • どんぶり……深さは金魚の体高の2倍以上、面積は尾を含めた長さの2倍以上の直径があるものを選ぶ
  • 塩素抜きをした水
  • エサ(市販の「金魚のえさ」)
<飼育の方法>
  • 水換え……1日1回必ず行う。どんぶりを2つ用意し、一方に金魚、一方に水を入れておけば、翌日金魚を引越させるだけでOK。塩素除去と水温合わせが1度に済むのでオススメ。金魚をうつす時はけっして網を使わず、空気中に出さないよう、水ごと手のひらですくってうつす
  • エサやり……1日15〜20粒程度。1粒ずつ、食べ終わったらあげるようにすると、金魚がなつきやすい

病気になってしまった時のケア

万が一、金魚が病気になってしまった場合、どうすればいいのでしょうか?

体調不良を感じた際は、0.5%塩水トリートメントを行い、エサをあげるのをやめましょう。ひれをたたむ、ぶるぶる震える、体を水槽にこすりつけるといったサインを見逃さないようにしましょう。」

明らかに病気とわかる症状なら、市販薬による薬浴治療をはじめましょう。使う薬がわからない場合は、症状と合わせて金魚店などで相談しましょう。

生き物の世話をする経験が重要

今回、岡本先生にお話を伺ったのは東大赤門前の「金魚坂」という創業350年の金魚・錦鯉の卸問屋。金魚すくいや釣りができるスペース、レストランもあり、親子連れの姿も見られました。

そんな親子の姿を眺めながら「一般的に生き物を飼う機会が少なくなってきている」と岡本先生。

生き物の命について肌で感じるのに、金魚はいい材料です。『どんぶり金魚』は毎日お世話をしなければならないので、子どもの教育にもとても良いですよ。」

江戸時代は贅沢のシンボルだった金魚も、昭和に入ると貴族から庶民まで楽しめる観賞魚になったそう。今後は新しい金魚の飼い方『どんぶりで金魚』で、より身近な存在になりそうです。

今まで金魚すくいを躊躇していた方も、『どんぶり金魚』なら特別な準備もなく始められます。今度のお祭りで、金魚すくいに挑戦してみてはいかがでしょうか。

※参考書籍

お話を聞いたのは…

  • 岡本信明先生

    1951年愛知県生まれ。東京海洋大学長を経て、現在学校法人トキワ松学園理事長。研究分野は魚類病態生理学・魚類遺伝生理学。金魚博士の異名をもち、金魚の普及に努めている。最新著書に川田洋之助との共書『金魚 KINGYO ジャパノロジー・コレクション』(角川ソフィア文庫)、『どんぶり金魚の楽しみ方』(池田書店)がある。

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ライター紹介

平野 友紀子

ライター/エディター。温泉ソムリエの資格を持つ、大の旅好き、温泉好き。結婚をきっかけに、オーガニックアドバイザーを取得。0歳と2歳の年子育児をしながら、旅、ライフスタイル、オーガニック、女性の生き方、子育てをテーマに活動中。

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