手足や口の中に発疹が出る「手足口病」。例年、初夏から秋にかけて流行する病気ですが、今年は大流行の年で、春先から増加していて、9月に入っても流行が続いているそうです。手足口病の特徴や予防法について、くろさわ子ども&内科クリニックの黒澤サト子先生に伺いました。
「手足口病はいわゆる『夏かぜ』の一種で、主にコクサッキーA6型,16型及びエンテロ71型などのエンテロウイルスによって起こされるウイルス性の感染症です。4歳~5歳以下の乳幼児に多く、初夏から秋にかけて流行します。3日~5日の潜伏期の後、患者さんの3分の1程度に発熱が見られます。そして熱が下がりかけた頃に、名前のとおり、手足(特徴的なのは手掌と足底)やお尻などに水疱性の発疹、口には口内炎ができます。」
一般的に手足口病は、2ミリ~4ミリくらいの小さめの水疱ですが、今年流行している手足口病は、水疱瘡に間違えるくらい大きな水疱性発疹が沢山出るタイプもあるそうです。
「口の中にできた口内炎が痛くて食欲が落ちることも多いですね。小さな子どもは、水分が摂れずに脱水症状を起こす場合もあります。口の中の痛みを伝えられない赤ちゃんの場合、いつもよりよだれがたくさん出たり、口の中に手を入れようとするので、注意して見てあげて下さい。ひどい場合は治癒するまでに一週間程度かかることもあります。」
成人でも、抗体がない場合には発症することがあるそうです。今年は流行のピークは過ぎたものの、引き続き注意が必要だといいます。
「口の中が痛くて水分が取れない時は、ゼリーやプリンなどの口当たりのいいものや、熱すぎず冷たすぎない温度で、刺激の少ない飲みものを与えて下さい。イオン水などがおすすめです。口の中が痛くて食べられないなら、無理に固形物を与える必要はありませんが、もっとも注意すべきは、脱水症状を起こさないようにすること。水分補給をしっかりと行い、おしっこがちゃんと出ているか注意して見てあげましょう。」
口の中に口内炎ができて痛むという点では、同じエンテロウイルスから発症する夏風邪のヘルパンギーナと症状が似ています。手足口病との違いは、手足に発疹が無く、喉の奥に紅暈で囲まれた水泡が複数できて痛いことだそうです。
「手足口病は軽い症状で済むことが多いですが、ウイルスの型(特にエンテロ71)によっては、脳炎、髄膜炎、心筋炎など重篤な合併症を起こすこともあるので油断は禁物です。熱が長期間続いたり、嘔吐や頭痛、ぐったりした様子がある時は、すぐに受診して下さい。」
また、後遺症のひとつとして、手足口病が治った後に、爪が剥がれ落ちることがあるそうです。これは、水疱が爪を作る細胞にもダメージを与えているため。意外に知られておらず、不安に思って尋ねてくる患者さんも多いそうです。
「飛沫感染、接触感染、糞口感染の3つが主な感染経路です。せっけんでしっかりと手洗いしたり、うがいの習慣をつけることで予防することができます。タオルの共用も避けたほうがいいですね。
ただ、発疹が出る前から感染力があり、症状がなくなった後も、便の中からウィルスが2~4週間排出されるので、集団の中での感染を完全に防ぐのは難しいです。手足に出た水疱が破れると、その液からも感染するので、新しい発疹が出ている間は登園せずに自宅でケアして下さい。解熱して、発疹が乾燥し、口の痛みが無くなったら登園してもいいでしょう。登園のまえに医師の診察を受けてください。」
発疹や発熱など小さな子供には負担が大きい手足口病。日頃からこまめな手洗い、うがいを心がけて、感染予を防しましょう。
手、足、口に発疹ができるウイルス性の感染症
手足口病とはどんな病気なのでしょうか?「手足口病はいわゆる『夏かぜ』の一種で、主にコクサッキーA6型,16型及びエンテロ71型などのエンテロウイルスによって起こされるウイルス性の感染症です。4歳~5歳以下の乳幼児に多く、初夏から秋にかけて流行します。3日~5日の潜伏期の後、患者さんの3分の1程度に発熱が見られます。そして熱が下がりかけた頃に、名前のとおり、手足(特徴的なのは手掌と足底)やお尻などに水疱性の発疹、口には口内炎ができます。」
一般的に手足口病は、2ミリ~4ミリくらいの小さめの水疱ですが、今年流行している手足口病は、水疱瘡に間違えるくらい大きな水疱性発疹が沢山出るタイプもあるそうです。
「口の中にできた口内炎が痛くて食欲が落ちることも多いですね。小さな子どもは、水分が摂れずに脱水症状を起こす場合もあります。口の中の痛みを伝えられない赤ちゃんの場合、いつもよりよだれがたくさん出たり、口の中に手を入れようとするので、注意して見てあげて下さい。ひどい場合は治癒するまでに一週間程度かかることもあります。」
成人でも、抗体がない場合には発症することがあるそうです。今年は流行のピークは過ぎたものの、引き続き注意が必要だといいます。
脱水症状対策にこまめな水分補給を
手足口病を予防するワクチンや治療薬などはありません。病院で手足口病だと診断されたら、水分補給に気をつけながら自宅で安静に過ごすことが第一とのことです。「口の中が痛くて水分が取れない時は、ゼリーやプリンなどの口当たりのいいものや、熱すぎず冷たすぎない温度で、刺激の少ない飲みものを与えて下さい。イオン水などがおすすめです。口の中が痛くて食べられないなら、無理に固形物を与える必要はありませんが、もっとも注意すべきは、脱水症状を起こさないようにすること。水分補給をしっかりと行い、おしっこがちゃんと出ているか注意して見てあげましょう。」
口の中に口内炎ができて痛むという点では、同じエンテロウイルスから発症する夏風邪のヘルパンギーナと症状が似ています。手足口病との違いは、手足に発疹が無く、喉の奥に紅暈で囲まれた水泡が複数できて痛いことだそうです。
「手足口病は軽い症状で済むことが多いですが、ウイルスの型(特にエンテロ71)によっては、脳炎、髄膜炎、心筋炎など重篤な合併症を起こすこともあるので油断は禁物です。熱が長期間続いたり、嘔吐や頭痛、ぐったりした様子がある時は、すぐに受診して下さい。」
また、後遺症のひとつとして、手足口病が治った後に、爪が剥がれ落ちることがあるそうです。これは、水疱が爪を作る細胞にもダメージを与えているため。意外に知られておらず、不安に思って尋ねてくる患者さんも多いそうです。
手洗い、うがいで手足口病を予防しましょう
手足口病は、幼稚園や保育園などの集団生活の場で感染が拡大しやすいといいます。「飛沫感染、接触感染、糞口感染の3つが主な感染経路です。せっけんでしっかりと手洗いしたり、うがいの習慣をつけることで予防することができます。タオルの共用も避けたほうがいいですね。
ただ、発疹が出る前から感染力があり、症状がなくなった後も、便の中からウィルスが2~4週間排出されるので、集団の中での感染を完全に防ぐのは難しいです。手足に出た水疱が破れると、その液からも感染するので、新しい発疹が出ている間は登園せずに自宅でケアして下さい。解熱して、発疹が乾燥し、口の痛みが無くなったら登園してもいいでしょう。登園のまえに医師の診察を受けてください。」
発疹や発熱など小さな子供には負担が大きい手足口病。日頃からこまめな手洗い、うがいを心がけて、感染予を防しましょう。