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うちの子、髪の毛が薄いけど…これって大丈夫!?

掲載日: 2016年1月15日更新日: 2016年1月15日飯田友美

同じくらいの月齢なのに、どうしてこんなに髪の毛の量が違うの? 子どもの頃に髪が薄いと、将来も薄いの? 背中の産毛が濃い気がするけど… など、赤ちゃんの髪の毛や体毛についての不安や疑問のあれこれを、新潟大学医学部皮膚科学分野の准教授・下村 裕先生に伺いました。

子どもの髪の毛、いつ頃までに生え揃うの?

そもそも、赤ちゃんの髪の毛はいつ頃から生えてくるものなのでしょうか。

おなかの中の赤ちゃんに髪の毛が作られはじめるのは、妊娠3カ月から4カ月頃からです。そして生後約3カ月ではじめの毛ができあがりますが、またすぐに抜けてしまいます。これが『新生児脱毛』です。『新生児脱毛』を経て、生後6カ月くらいで新しい毛に生え変わっていきます。」

生後の髪の毛には毛周期というものがあり、毛の成長が止まる「退行期」→毛が抜けやすくなる「休止期」→毛が成長する「成長期」の3つの時期を一生涯繰り返していくのだそうです。胎生期〜新生児期にかけて作られた髪の毛は、一旦一斉に退行期→休止期に移行するために「新生児脱毛」が起こります。その後は成長期に移行するので、再び毛が作られて伸びてきます

「新生児脱毛後に生えてくる髪の毛は、一般的に生直後の髪の毛よりも太く、長く伸びることが可能です。そしてこの新しい髪の毛に生え変わった後、ある程度しっかりした髪の毛が生え揃うのは、4歳から5歳頃です。」


子どもの頃に髪の毛が薄いと、大人になっても薄毛なの?

では、4歳から5歳頃に髪の毛が薄い場合は、大人になってからもそのままなのでしょうか。

子どもの頃の髪の毛の量と大人になってからの髪の毛の量には、まったく相関関係はありません。しっかりとした髪の毛が生え揃うのは、いわゆる第二次性徴期と言われる小学校高学年から中学生の頃ですので、まだ小さいうちは薄毛を心配する必要はないですよ。」

大人になってからの髪の毛の量が予測できるようになるのは、だいたい高校生くらいとのことです。それまではまだ成長の途中ですので、神経質になることはなく、育毛剤や特別なシャンプーなどは必要ありません。

薄く見えるのは毛の太さや生え方の影響も

髪の毛の量や太さには個人差があり、小さい子どものうちはそれほど気にすることはないと下村先生。

「日本人の髪の毛は大体10万本といわれていますが、1割くらい個人差があると考えるとおよそ9万本から11万本くらいでしょうか。同じ本数でも、髪の毛1本1本が細ければ薄く見えますし、太ければ多く見えます。子どもによって髪の毛の量が違って見えるのはそのためです。」

また生え方にも個人差があり、前のほうが薄かったり、サイドが薄かったりといろいろですが、それは自然なこと。4歳から5歳になり、ある程度しっかりとした髪の毛が生えてきたときでも、ボリュームに差があると感じるのは、毛の太さや生え方などに個人差があるためなのですね。

ただし、5歳から6歳頃になっても頭皮がはっきり見えるほどの薄毛の場合は、早めに専門機関を受診したほうがいいそうです。

なお、髪が伸びる速さもそれぞれですが、1カ月にだいたい1cmから1.5cmほどは伸びるので、1年間で10cm以上伸びているようなら正常であり心配ないとのこと。

ついついよそのお子さんと比べてしまう毛髪ですが、その量や太さ、成長のスピードなどはそれぞれですので、決して過剰な反応はせずに、お子さんの成長と共に見守ってくださいね。


赤ちゃんの背中の産毛が濃いけど、将来毛深くなる?

生まれたばかりの赤ちゃんには、髪の毛は薄くても背中に濃い産毛が生えている子もいますよね。とくに女の子の場合は、「この子、もしかして大人になっても毛深いのかしら?」と心配になる親御さんもいるのではないでしょうか。

「赤ちゃんは、おなかの中にいるときから全身毛で覆われています。これは、羊水から身体を守るためとも、猿の名残とも言われています。この濃い産毛ですが、生後2ヵ月から3カ月で自然に抜け落ちていきます。ですから、生まれたときに産毛が濃いからといって大人になるまでずっと毛深いというわけではないのです。」

その後も背中の産毛は、成長とともに薄くなっていくため気にすることはないとのこと。体毛も髪の毛と同じように、その量が多いか少ないかは高校生くらいになってからわかるそうですよ。

産後の抜け毛がすごい!こんなに抜けて大丈夫?

出産後、ご自分の抜け毛が気になっているママも多いと思います。こんなに抜けてしまって大丈夫なの? と思うほどの抜け毛を経験した方もいることでしょう。ではなぜ、出産すると抜け毛が増えるのでしょうか。

産後の抜け毛には女性ホルモンの減少が関係しています。妊娠中は女性ホルモンの分泌が促進されるため抜け毛は少ないのですが、出産で女性ホルモンが急激に減少することにより、抜け毛が起きるのです。この産後2ヵ月から3カ月に起こる脱毛を、産後の『休止期脱毛』と呼んでいます。おおよそ2割くらい減るのは正常ですので安心してください。産後半年くらいは抜け続け、その後新しく生え変わっていきます。」

妊娠中に抜けなかった髪の毛も合わせて抜けるため、かなりの量の抜け毛にショックを受ける方もいると思います。でも、徐々に抜け毛も少なくなるとのことですので、あせらなくてもいいそうですよ。

初めての出産では、些細なことも不安になってしまうと思いますが、赤ちゃんの髪の毛が薄いのも、背中の毛が濃いのも、ママの抜け毛も、すべて一時的なものであることが多いので、安心してくださいね。

お話を聞いたのは…

  • 下村 裕さん

    平成11年3月に新潟大学医学部を卒業し皮膚科医になる。平成15年3月に医学博士を取得後、平成18年4月~平成22年3月に米国コロンビア大学医学部皮膚科に留学。現在は、新潟大学医学部皮膚科学分野の准教授として、毎週月・水の午前中に、新潟大学医歯学総合病院皮膚科で毛髪疾患の専門外来を担当している。

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ライター紹介

飯田友美

出版社、編集プロダクション勤務を経て、フリーランスのライターに。好きなものは猫とパンダ、趣味はライブに行くこと、お芝居を観ること。杉並区在住。2児の母。

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