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子どもの夢応援企画 第10回:看護師 池田さん・平田さん

掲載日: 2016年5月18日更新日: 2016年5月19日宇都宮 薫

子どもたちのなりたい憧れの職業について、その道のプロからお話を伺い、子どもたちの夢の育みをサポートする『子どもの夢応援企画』。第10回は、小児科の「看護師さん」をご紹介! 神奈川県川崎市にある「北浜こどもクリニック」の看護師、池田麻知さんと平田明子さんのお二人にお話を伺いました。

看護学校に入学し、実習に明け暮れる日々

お二人とも子どもの頃からの憧れであった看護師になるために、高校卒業後、看護学校に入学した池田さんと平田さん。3年間の看護学校は本当に大変だったと口を揃えて言います。

池田さん:「1年生では医学の基礎知識を学んで、2年生の後半から実習が始まります。実習では実際に病院に行き、全ての科を3週間づつ順番に体験します。帰宅してからも、わからなかったことを勉強したり、次の日の検査の事前学習をしたりと、寝る間も惜しんで予習復習しないとついていけませんでした。」

平田さん:「実際の患者さんに検温や点滴などをするので、それまでの学生生活とは全く違う世界というか…。医師も看護師も真剣に仕事をしている現場にお邪魔させてもらうので、緊張感もすごかったです。」

診療の準備や介助のほか、入院期間の目標を立てて、それに沿った看護計画を考えるのも看護師の重要な仕事なんだそう。

平田さん:「患者さんに何が必要なのかを考えて、その人のためのプランニングをします。実習生も責任を持ってひとりの患者さんを担当して、2週間でクリアできる目標を立てていくんです。」

池田さん:「最初は病気を治すための計画を立てて、良くなってきたら退院に向けて日常生活の指導を含めた計画を立てていきます。患者さんの様子を見ながら他のナースたちと相談して、細かなタイムスケジュールを組んでいくんです。何度も先輩にダメ出しをされながら、経験を積んでいきました。」


0歳から15歳まで。幅広い年齢の子どもが来る小児科

3年間の看護学校を卒業して、看護師の国家試験に合格したお二人。着実に看護師への道を歩み始めます。

池田さん:「小児病棟に5年ほど勤めました。喋ることのできない小さな子どもは特に、こちらから変化に気づいてあげないといけないので、慎重に観察する必要があります。体臭で患者さんの状態がわかることもあるので、五感の全てを使いながらお世話することが大切です。」

平田さん:「私も卒業後は、そのまま付属の大学病院に7年間いました。小児科では0歳から15歳までの年齢をみるんですが、同じ病気だとしても、生まれたての子と中学3年生とでは身体的にも精神的にも全然違いますよね。ケアの仕方や接し方も相手によって変わってくるので、とても奥が深いんですよ。」

看護師として経験を積んでいくと、日々患者さんを間近で見ている立場として、時にはドクターに意見することもあるそう。

平田さん:「患者さんからの要望を先生に伝えたり、交渉するのも看護師のお仕事。あるベテランの先生は、『小児病棟はナースありきで成り立っているんだから、ナースが言うことにはきちんと耳を傾けなさい』と新米の先生に話していました。病院の仕事はチームワークなので、そういう関係は大事ですよね。」

朝の小児病棟はまるで戦場!おんぶして仕事をすることも

小児病棟は、入院している子どもたちが一斉に目覚める朝が一番忙しいんだとか。

池田さん:「起きたらママがいなくて寂しいとか、トイレに行きたいとか、ナースコールが鳴りっぱなし。点滴が入っているのに無理やり出て行こうとして、針が抜けて血の海になったこともありました。グズる子をおんぶしながら仕事したこともあります。」

平田さん:「入院している子に怪我をさせるわけにはいかないから、責任重大ですよね。最初は看護師に対して攻撃的だったご両親が、子どもが良くなってきた頃にはこちらの苦労をわかってくれるのか、感謝しながら退院していくこともありました。そういう時は、信頼関係を築くことができたのかなと思って嬉しくなりますね。」


子どもの成長を感じるクリニック勤務。院内装飾も担当

その後、それぞれ様々な病院で経験を積んできたお二人。現在は、「北浜こどもクリニック」で看護師として活躍していますが、クリニックでは毎日どんな仕事をしているのでしょうか。

池田さん:「クリニックでは、先生がスムーズに作業できるように診察の準備や介助をしたり、採血、点滴、吸入などの処置をします。子供が泣いている場合には、なぜその処置が必要なのかをきちんと説明して、納得するまでお話することもあります。」

平田さん:「クリニックの外来は病棟よりも気楽に見えるかもしれませんが、ある程度の経験がないとやっていけません。病棟で入院している人をケアするのと違って、外来は家に帰ってしまった後に悪化したら取り返しがつかないですからね。実は一番難しい世界でもあるんです。」

池田さん:「ここで働いていると、抱っこされてた赤ちゃんが次に来た時には歩いてたりと、長期的に子どもが成長していく姿を見ることができるのが嬉しいです。常連さんも多いので、たまに会う親戚のおばちゃんみたいな感覚ですね(笑)。」

院内には、子ども達を喜ばせるために、色とりどりの掲示物やデコレーションが飾られています。

平田さん:「このスタッフ紹介は、私たち看護師が作りました。季節ごとにみんなで飾りものを切ったり貼ったり、楽しみながら作ってます。夏になると天井に天の川を吊るしたりしてド派手になりますよ(笑)。明るい雰囲気で、子どもたちが病院を好きになってくれたら嬉しいですね。」


子どもたちからの素朴な疑問にお答えします!

お二人に「看護師」の職業に対する子どもたちの素朴な疑問にもお答えいただきました!

どうして看護師になろうと思ったのですか?

池田さん:「小児科の看護師になろうと思ったのは看護学校の実習の時です。泣いている子どもが大勢いたので、お母さんの代わりにはなれないけど、自分が関わることで、なるべく笑顔で過ごす時間を増やしてあげたいなと思いました。」

注射するときは緊張しますか?

池田さん:「採血や点滴で針を刺す時、血管の位置がわかりづらいと緊張します。なるべくやり直しはしたくないですからね。特に手足がムチムチしている赤ちゃんは血管を探すのが難しいんです。」

夜勤は大変ですか?

平田さん:「クリニックに夜勤はないです。病棟時代に経験してますが、夜勤のあとは通常1日お休みが入るので、体が慣れれば辛くはないですよ。ただ、夜間はスタッフの人数が少ないので、緊急の患者さんが入ってきたり、予想外のことが起きるとやっぱり大変ですね。」


大変なことも多いけど「ありがとう」の笑顔で帳消しに!

最後に、将来看護師さんになりたい子どもたちへ向けて、メッセージをいただきました。

平田さん:「看護師は患者さんに『ありがとう!』と言ってもらえる非常にやりがいのあるお仕事です。私たちの後輩として、近い将来、一緒に働くことができたら嬉しいなと思います。」

池田さん:「大変なことも多いですが、患者さんの笑顔で全て帳消しになります。人と関わるのが好きで負けん気が強い子は、看護師に向いてると思いますよ。」

平田さん、池田さん、貴重なお話をありがとうございました。『子どもの夢応援企画』第11回は「教師」の予定です。お楽しみに!

「夢応援企画(将来なりたい職業紹介)」の記事一覧はこちら

お話を聞いたのは…

  • 池田麻知さん・平田明子さん

    神奈川県川崎市の「北浜こどもクリニック」にて、看護師として勤務。子どもたちが安心して受診できるよう、笑顔でサポートしています。

  • 「北浜こどもクリニック」ホームページ
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ライター紹介

宇都宮 薫

編集プロダクション勤務を経て、フリーランスの編集者・ライターとして活動。雑誌・ウェブメディアなどへの執筆のほか、単行本(ビジネス書・実用書)の編集・構成を手掛ける。得意ジャンルは、出産、育児、健康、おでかけ、芸能、グルメなど。まち歩きとバイクが好き。

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