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乾燥の季節こそ注意! 秋冬の乳児湿疹予防法

掲載日: 2015年9月29日更新日: 2017年5月16日衣山 泉
湿度の高い夏を乗り越えても油断は禁物! 実は秋から春先の乾燥した時期も、赤ちゃんの肌には湿疹ができやすいんだそうです。そこでわかばひふ科クリニックの野崎誠先生に、乳児湿疹のメカニズムや予防方法について教えていただきました。

乾燥性湿疹の多発シーズン到来

生まれて間もない赤ちゃんの肌はとても敏感。ちょっとした刺激でトラブルを引きおこします。その代表的な例が「乳児湿疹」。

しかし「乳児湿疹」という言葉は乳児の肌にできる湿疹の総称であり、疾患名ではありません。野崎先生によれば、下記のように、湿疹は原因によっていくつかの種類に分けられるそうです。

  • 脂漏性湿疹…皮脂が原因
  • 乾燥性湿疹…乾燥が原因(アトピー性皮膚炎も含む)
  • 接触皮膚炎…よだれやミルク、食べ残しが原因
  • 掻爬(そうは)性湿疹……摩擦や引っかくことが原因
  • そのほか、汗疹(あせも)やとびひなどが原因となることも

この中で、これから初めての冬を迎える赤ちゃんの肌に注意が必要なのが、乾燥性湿疹です。

乾燥性湿疹は、生後3カ月を過ぎた頃から出ることが多いです。できやすい場所は乾燥しやすいところ、そして引っかきやすいところ。傾向として皮膚の凸部に症状が強く出やすいです。最初は顔面、特に頬に出たり、耳切れとして現れます。体だと手足の外側などですね。手をよく動かせるようになる生後6カ月頃になると、引っかいて全身に広がっていくようになり、治療が必要になります。そうならないようしっかりと予防しましょう。」

秋編:暖房器具と一緒に加湿器の準備を

乾燥性湿疹を予防するには、とにかく乾燥対策ですよね。乾燥が激しくなる前、10月〜11月ぐらいにはどのようなケアが適切ですか?

「一般的に、湿疹が悪化するのは相対湿度が50%を割り込むとき、もしくは暖房を使い始める時期が多いです。常に赤ちゃんの周囲の気温と湿度に気をつかいましょう。また意外に大きな影響を与えるのが、布団とお風呂です。寒いから布団を追加する、お風呂のお湯の温度を上げる、その行動で湿疹が悪化するケースもあります。体のなかに熱がこもってしまい、よりかゆくなってしまうんですね。赤ちゃんは暑かったら布団を蹴飛ばします。布団を何度かけても蹴飛ばしてしまう場合は、逆にそっとしておくとよいでしょう。

またこれからの季節、加湿器は必須ですので、冬になる前に準備しておきましょう。赤ちゃんのいる家庭では気化式をおすすめしています。サイズが大きくて場所は取りますが、安全に使用することができますよ。」

加湿器には、スチーム式・超音波式・気化式、またそれらを組み合わせたハイブリッド式などの種類があります。いずれも長所・短所はありますが、気化式は蒸気の噴出部分が熱くならず、またアレルゲンになりうる水中の不純物や雑菌をまき散らすことがありません。ぜひ加湿器選びの参考に!

冬編:「加湿」と「保湿」を心がけて

乾燥が本格化する12月〜3月の時期は、どういった対策が必要ですか? この時期は湿度が10%台まで下がることも珍しくありませんが…。

「そうですね、この時期は湿度管理が重要になります。部屋の温度より、むしろ湿度を中心に考えましょう。加湿器を使って湿度は50%以上を保つようにしてください。お風呂の際には、保湿剤入りの入浴剤を入れるといいでしょう。それだけで明らかに皮膚の乾燥を緩和できます。保湿剤入りの石鹸を使うのもいいですね。タオルでゴシゴシこするとかえって乾燥してしまうので、手で塗ってあげるくらいにしましょう。」

服は、固くなくてゴワゴワしない、チクチクしない素材でできたものを。一番いいのは綿素材で、少し薄めのものを多めに用意し、気温を見ながら重ね着で調節してください。基本は大人が着ている枚数からマイナス1枚(寒がりな大人の場合はマイナス2枚)です。また、布団も大事です。かゆくて布団にこすりつけて湿疹を悪くする赤ちゃんがたくさんいます。シーツをタオル地のものに変えるか、シーツの上に柔らかいタオルを一枚敷くだけでも、こすった時の皮膚のダメージは大きく変わりますよ。」

保湿剤は、肌が乾燥し始める前から塗ると効果的だとか。乾燥していると感じたら、1日何回でも塗っていいそうです。クリームタイプだと冬でもあせもができることがあるので、伸びのよい乳液タイプがおすすめだそうです。

かゆみが出たら早めに受診を!

乾燥性湿疹は、どういった症状が出た時点で受診したらいいのでしょうか?

「まず最初に皮膚のざらつきが出てきます。かゆくないこともありますが、実はこの時点ですでに目に見えないレベルでの湿疹が始まっています。この状態でしたら、家で保湿剤をしっかり塗ることで抑えられます。しかしカサカサが悪化してかゆくなり、引っかく動作が始まったら、早めに受診を心がけてください

「この『早めに』というのがポイント! 悪化するのを待っていると、結果的に薬の使用量が増え、治療期間も長くなり、感染症(とびひやカンジダ、水いぼなど)を引き起こすリスクも高くなります。ですから早めに薬を使い上手に治療をしてあげることが、結果的に早く湿疹を治すことにつながります。」

野崎先生いわく、「赤ちゃんの肌にとって最初の冬は、一生のうちで一番大変な季節」だとか。加湿やお風呂の温度、服の素材など日常生活に気を配り、 乾燥という大敵から赤ちゃんの大事な肌を守ってあげましょう。

お話を聞いたのは…

  • 野崎誠先生

    山形大学医学部卒業後、国立成育医療研究センター皮膚科勤務などを経て、2013年に東京都武蔵野市吉祥寺にわかばひふ科クリニックを開業。専門は小児皮膚科で、アトピー性皮膚炎とあざの診断・治療に力を入れている。院内Websiteのブログにて、今、この時に気をつけるべき皮膚の病気について、情報を発信している。

  • わかばひふ科クリニック
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ライター紹介

衣山 泉

幼稚園児の娘、フリーライターの夫、2匹の愛猫と福岡在住。旅行も外出も大好きだが、平日は娘のお迎え以外はほぼ家にこもりっぱなしのインドア派なので、体力が追いつきません。ほしいものは、タフな体。余力のある週末には日帰り温泉や蚤の市、焼き物の里めぐりに出かけています。

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