幼稚園や小学校などで集団生活をおくる子どもたちに「発熱」はつきものですよね。「発熱」は、あらゆる感染症に伴う症状のひとつです。子どもに「熱」の症状がある時、どんな病気の可能性が考えられるのでしょうか? 過去に「いこーよ」で掲載した記事の中から「発熱」に関する病気をピックアップし、それぞれの特徴を北浜こどもクリニックの北浜直先生に解説していただきました。
▼この記事で紹介する病気
- インフルエンザ
- 溶連菌感染症
- おたふくかぜ
- プール熱
- 風邪
突然の高熱と全身症状が強く現れる「インフルエンザ」
「インフルエンザは、38度以上の高熱が出ることから始まり、咳や鼻水、喉の痛みなどのほか、倦怠感、頭痛、関節痛などの全身症状が強く現れるのが特徴です。」
「突然の高熱で慌てて病院に行く人もいますが、熱が上がってから半日以上経過していないと、インフルエンザの確定診断が付かないこともあるので注意が必要です。感染後48時間以内に抗インフルエンザ薬(タミフル、リレンザなど)を服用すれば、症状を軽くすることができます。」
「インフルエンザはワクチンを接種すると、もしかかってしまった場合にも症状を和らげることができます。毎年流行前の秋頃に予防接種が開始されるので、ぜひ検討してみてください。」
次は、発熱とともに喉の腫れがみられる「溶連菌感染症」です。
発熱と喉の腫れや痛みが特徴の「溶連菌感染症」
「溶連菌感染症は、5歳〜15歳くらいの子どもに多く、その症状は多岐にわたります。38度〜39度くらいの急な発熱のあとに、喉が赤く腫れて痛み、嘔吐を伴うことも。さらに、舌がイチゴのようにブツブツになったり、体にサンドペーパーのような、針の頭くらいの細かい発疹が出てかゆみを伴うこともあります。」
「溶連菌感染症は年間を通してある病気ですが、特に冬場や春から初夏にかけて発症のピークを迎えます。溶連菌は、簡易検査ですぐに診断することができるので、気になる症状があれば、お医者さんに相談してみましょう。」
続いては「おたふくかぜ」です。
耳の下がぷっくり腫れ上がる「おたふくかぜ」
「おたふくかぜは、ムンプスウイルスにより起こる感染症で、4歳〜5歳くらいの子がかかりやすいと言われています。発症すると耳の下が痛み、おたふくのお面のように腫れ上がることがあります。そして同時に発熱などの症状がありますが、熱は出ない場合も。」
「通常は1週間〜2週間ほどで自然に治りますが、重症化すると、髄膜炎や脳炎、難聴などの合併症を引き起こします。おたふくかぜは、かかった場合の特効薬はありませんが、子どもの頃に予防接種で免疫を獲得すれば、生涯にわたって予防できる病気です。重い後遺症を残さないためにも、流行前にワクチン接種をしましょう。」
「おたふくかぜ」の記事はこちら次は、じつはプールに入らなくてもうつる「プール熱」です。
喉の痛みと目の充血が特徴的な「プール熱」
「プール熱とは、正式名称を『咽頭結膜熱(いんとうけつまくねつ)』といい、高熱が4日〜5日続くほか、喉の痛みや目の充血などの症状が特徴的です。さらに吐き気や下痢を伴うこともあります。」
「夏にプールを介して子どもたちの間で流行しやすいので、『プール熱』呼ばれていますが、プールに入らなくても、飛沫感染や接触感染で広がります。また、プール熱は『アデノウイルス』が原因の感染症なので、夏以外の季節でもみられます。」
最後は、一番発症回数が高いだろう「風邪」です。
膨大な種類がある「風邪」は手洗い・うがいで予防を!
「日常生活をおくる中で感染する可能性のあるウイルスは膨大な種類がありますが、ウイルスによる上気道感染症をまとめて『風邪』と呼んでいます。」
「感染経路は、ウイルスのついた手や物を触ることで感染する『接触感染』、咳やくしゃみなどで感染する『飛沫感染』などがあり、いずれも予防に効果的なのは『手洗い・うがい』です。空気が乾燥しやすい冬はとくにウイルスが蔓延しやすいので、手洗い・うがいの習慣をしっかりつけましょう。」
発熱はウイルスや細菌の増殖を抑えるための体の防御反応です。高熱が続いて体力の消耗が激しい場合以外は、安易な解熱剤の使用は避けたほうがいいとのこと。いずれの場合も、子どもに気になる症状がある場合は、必ずお医者さんに相談してみてくださいね。