プロ登山家といえば、身体的な能力だけでなく、判断力、集中力など、様々な精神的な能力をも駆使して頂上に挑む非常に過酷な職業です。それらの力は、子どもたちがこれからの世の中をたくましく生きて行くことに通じる部分も多くあるのではないでしょうか。そこで、プロ登山家の竹内洋岳さんに、自身の経験を通して感じた「子どもにとって必要な生きる力の育て方」を聞きました。
しかし、竹内さん自身は、今現在も決して体が強いわけではないのだとか。それよりも、登山において大切なのは「想像力」とのこと。まだ登ったことが無い山を想像して計画を立てたり、何が危険なことが起こっても対処できるようにするために大切なのも「想像力」だそう。
確かに想像力は、私たちが仕事をしたり日常生活を支障なく送る上でも大切です。想像力を鍛えるには、どういった方法があるのでしょうか。
想像力を発揮できる場は、何も自然の中だけに限ったことではありません。「 物事はすべて想像力からスタートしていますからね。」と竹内さんが言うように、絵を描く、音楽を演奏するなど、想像力を発揮できる場は人によって様々です。
ちなみに、日常生活の中で竹内さんがもっとも想像力を必要とするシーンは何かを尋ねてみると「人と会うこと」とのこと。
「どんなことを聞かれるのかなとか、それに対して自分がどう答えようかなど、色々想像しますよね。」子どもも、普段あまり会わない人との出会いの機会を作ることによって、想像力を刺激されるかもしれません。
また、どんな環境で子どもの能力を伸ばせるのか、その子の適正を見極めることが大切なことなのではないか、と竹内さんは言います。
「子どもって、同じ親から生まれても、兄弟で性格や資質がまったく違いますよね。だから、 その子の適正を見極めて、その子に合った環境を見つけてあげることが、想像力なり好奇心を伸ばすために、親としてもっとも大切なことなのかなと最近思います。」
「ある程度の年齢になったら、 怖い、辛い、心細い、恥ずかしい、悔しいなどの体験をたくさんしてほしいと思っています。そういう体験って、自分でも大人になるまでよく覚えていますし、そういう経験こそが、生きる上での力になるのではないでしょうか。」
さらに、そのために必要なのが、登山で言うと「ベースキャンプ的な場所」だと言います。
「人生も同じで、外でストレスを感じるような経験をしても、心のベースキャンプ的な場所、人によっては家庭かもしれないし、家庭ではないかもしれませんが、そんな 心を休める場所があれば、さらに強いストレスにも耐えられるようになるのかな、と思います。子どもたちは、そういう場所を持つことで、強い心を育めるのではないでしょうか。」
子どもの適正を見極め、その子に合った環境を見つけること。また、安心して困難にチャレンジできる心のベースキャンプのような場所を、周りの大人が作ること。それらが、子どもがたくましく生きる力をつけるためには、大切なんですね。
参考書籍
『 標高8000メートルを生き抜く 登山の哲学 (NHK出版新書 407)』
『頂きへ、そしてその先へ』
生きるためにもっとも必要なのは「想像力」
日本人として初めて、地球上の8000メートルを超える14座の山すべてに登頂したプロ登山家の竹内洋岳さん。しかし、竹内さん自身は、今現在も決して体が強いわけではないのだとか。それよりも、登山において大切なのは「想像力」とのこと。まだ登ったことが無い山を想像して計画を立てたり、何が危険なことが起こっても対処できるようにするために大切なのも「想像力」だそう。
確かに想像力は、私たちが仕事をしたり日常生活を支障なく送る上でも大切です。想像力を鍛えるには、どういった方法があるのでしょうか。

想像を掻き立てられる環境での経験が、想像力を鍛える
「想像力も、好奇心などと同様に誰もが持っている力だと思うんですよね。発揮できるかどうかは、 発揮しなければならない環境にいるかどうか、だと思うんです。例えば、都会の道路を歩くだけなら、何も想像することはありませんが、ゴツゴツした山道を歩くなら、安全に次の一歩を踏み出すにはどうしたらいいのかを、想像しながら歩きますよね。そういう環境に身を置き続けることで鍛えられるのだと思います。」想像力を発揮できる場は、何も自然の中だけに限ったことではありません。「 物事はすべて想像力からスタートしていますからね。」と竹内さんが言うように、絵を描く、音楽を演奏するなど、想像力を発揮できる場は人によって様々です。

「どんなことを聞かれるのかなとか、それに対して自分がどう答えようかなど、色々想像しますよね。」子どもも、普段あまり会わない人との出会いの機会を作ることによって、想像力を刺激されるかもしれません。
また、どんな環境で子どもの能力を伸ばせるのか、その子の適正を見極めることが大切なことなのではないか、と竹内さんは言います。
「子どもって、同じ親から生まれても、兄弟で性格や資質がまったく違いますよね。だから、 その子の適正を見極めて、その子に合った環境を見つけてあげることが、想像力なり好奇心を伸ばすために、親としてもっとも大切なことなのかなと最近思います。」
「人生のベースキャンプ」を見つければ、子どもはたくましく育つ
子どもたちには、辛い体験こそたくさんしてほしい
プライベートでは、2人の息子の父親でもある竹内さんですが、現代の子どもたちに、どんな経験をしていってほしいかを訪ねると「厳しい体験をたくさんしてほしい。」という答えが返ってきました。「ある程度の年齢になったら、 怖い、辛い、心細い、恥ずかしい、悔しいなどの体験をたくさんしてほしいと思っています。そういう体験って、自分でも大人になるまでよく覚えていますし、そういう経験こそが、生きる上での力になるのではないでしょうか。」
さらに、そのために必要なのが、登山で言うと「ベースキャンプ的な場所」だと言います。
子どもが成長するためには、安心できる環境が必要
高所登山では、ベースキャンプから出発して、酸素が薄い中、苦しみながら登り、一度ベースキャンプに戻ってきて、身体を休めてから、さらに高いところを目指すのだそう。そうすると、身体が環境に順応し、さらに高いところまで行くことができるのだそうです。「人生も同じで、外でストレスを感じるような経験をしても、心のベースキャンプ的な場所、人によっては家庭かもしれないし、家庭ではないかもしれませんが、そんな 心を休める場所があれば、さらに強いストレスにも耐えられるようになるのかな、と思います。子どもたちは、そういう場所を持つことで、強い心を育めるのではないでしょうか。」
子どもの適正を見極め、その子に合った環境を見つけること。また、安心して困難にチャレンジできる心のベースキャンプのような場所を、周りの大人が作ること。それらが、子どもがたくましく生きる力をつけるためには、大切なんですね。
参考書籍
『 標高8000メートルを生き抜く 登山の哲学 (NHK出版新書 407)』

