日本への海外からの旅行者が増えている中、世界からも注目されている“禅”の心。アメリカのIT業界では、座禅の考え方を取り入れた瞑想を、社員のメンタルヘルスのために取り入れている会社もあるようです。ですが、ビジネスマンだけでなく、子育てに奮闘するパパ・ママや子どもにも、プラスになる要素があるんですよ。
周りに気を取られてしまうことがしばしば。「このままでは集中力のない人になってしまうのでは…?」という一抹の不安がよぎります。
そんな私自身も、目の前にあることをこなすのに精一杯だし、余計なことを考えて心配してばかり…ということで、親子そろって雑念を捨て、集中力を高めるために「座禅」を体験してみました。
座禅…果たして息子が興味を持つのだろうか、と思いつつ「一休さんがしていた座禅、お母さんとやってみよ〜!」と努めて明るく誘ってみました。すると「一休さん」で心が動いたのか、意外にもあっさり「行ってみる」とOKしてくれたので、いざ、大仙院へ!
石で山や亀、船を表し、砂で流水や海を表現しているという説明を聞き、「あそこだけどうして水があるの?」「あれは何の形?」と息子も興味津々です。確かに「水を使わず水を表現する方法」は大人にも面白いので、これを機に子供目線で庭園もじっくり鑑賞しました。こうした案内がないお寺でも、早めに行って子どもとお庭や建物について話ができると、緊張をほぐせそうですね。
まずご住職の大和宗貴さんが、足の組み方と手の組み方から教えてくれます。座禅はあぐらと違い、一方の足をもう一方の太ももへ乗せる組み方で、両足を組む結跡朕座(けっかふざ)と、それが難しい場合、片足だけ反対の太ももへ乗せ、もう一方は折り曲げるだけの半跡朕座(はんかふざ)があります。
手は、親指以外の4本の指を足の上で重ね、親指同士を少し触れさせて手を組みます。視線は自分の1.5m先に落とし、目は閉じるのではなく半眼に。「ちゃんとできるんだろうか」と隣りを見ると、まさに一休さんのように半跡朕座で座禅をする息子がいました。股関節が硬く、半跡朕座もできない私よりむしろちゃんと座っていて、ちょっと悔しい…。
「しんどいことを一人でするのは難しい。仲間と切磋琢磨するから乗り切れます。座禅も同じ。お父さんやお母さんも警策で打たれるし、自分も頑張ってみようと思えるんです。一緒にできることが子どもにとって大事」とご住職。その後、休憩を挟んで後半もスムーズに終了しました。
「やってみた結果、お子さんの感想が『足が痛かった』でもいいんです。それ以上求めてあげないでくださいね。『やってみた』ということが子どもにとってはすごいことですし、やってみて感じた事が本物ですから。」
帰り道、息子に感想を聞いてみると「警策が痛かったけど、気持ち良かった!」と前向きな反応でした。
今回の座禅体験は、「あわよくば落ち着きのある子に」という思いもあって参加しましたが、実は親の私の方がちょっぴり救われたような気持ちになりました。
子どもが生まれてから、子育てや家事、仕事など、頭も心も常に一杯抱えた状態になっていましたが、座禅中、しんと静まり返った空間で姿勢を正し、自分の呼吸にだけ集中していると、スーっと頭が軽くなって、水中深くに沈んでいるような不思議な気持ちに。雑念・欲望だらけの私なので、少しの間だけでしたが、縛られているものから解き放たれたような気分です。
「何もせずじっとするのは、大人でも結構難しいと思います。最初は『吸息間(すうそくかん)』といって、自分が自然に吐く息を数えるといいでしょう。10まで数えたらまた1に戻ります。年長さんくらいの年頃ならできると思いますよ。」
「それから、実は座禅という形にこだわらなくても、掃除でもいいんです。掃除は『動の座禅』。頭を空っぽにして、掃除をする自分ひとつになるということで、座禅と同じ心の持ち方ができます。どちらをするにしても、何でもそうですが『やらされている』のではなく、『させていただく』という気持ちで取り組んでください。」
座禅を通して心が穏やかになる、気持ちが落ち着く、我慢強くなるというベースには、「させていただく」という気持ちがあるからこそ。形だけでなく、そういった気持ちを伝えていければ、親子で穏やかに過ごせそうです。
【大仙院の座禅会スケジュール】
●週末座禅会
毎週土・日曜
3〜11月 午後5時〜6時
12〜2月 午後4時半〜5時半
参加費 1000円(別途拝観料)
※要予約
●禅寺体験教室
座禅を中心に、写経、作務、法話、経文唱和などを通した禅寺体験
毎年3月第4日曜日、8月第1日曜日に開催
※次回は2015年3月22日(日)10時〜12時半に実施。
子ども500円 大人1000円
予約:075−491−8346(午前9時〜午後4時半まで)
※小学生以下のお子さんは保護者同伴
親子で集中力を高めるために座禅会へ
小学1年生のわが息子、好奇心が旺盛なのか、大事な話をしている最中にも、周りに気を取られてしまうことがしばしば。「このままでは集中力のない人になってしまうのでは…?」という一抹の不安がよぎります。
そんな私自身も、目の前にあることをこなすのに精一杯だし、余計なことを考えて心配してばかり…ということで、親子そろって雑念を捨て、集中力を高めるために「座禅」を体験してみました。
画像提供:臨済宗大徳寺派大徳寺塔頭 大仙院
京都の由緒あるお寺でできる座禅体験
そもそも座禅は、姿勢を正して精神統一をする仏教の修行の一つ。体験したことはなくても、テレビやアニメなどで見たことがある人がほとんどではないでしょうか? 今回、息子と一緒に参加したのは、京都市北区にある臨済宗大徳寺派大徳寺塔頭 大仙院の「週末座禅会」。室町時代の代表的な枯山水の庭園があり、禅思想に基づいて建てられたものの中では最も古い、方丈建築の本堂が国宝に指定されている、由緒ある名刹です。座禅…果たして息子が興味を持つのだろうか、と思いつつ「一休さんがしていた座禅、お母さんとやってみよ〜!」と努めて明るく誘ってみました。すると「一休さん」で心が動いたのか、意外にもあっさり「行ってみる」とOKしてくれたので、いざ、大仙院へ!
始まる前に枯山水の庭園についてお勉強
長時間足を組むことを考えて、子どもの服装は生地が柔らかく、動きやすいものにしました。受け付けを済ませたら、まずお寺の方が庭園を案内して下さり、禅の心を表した枯山水について少しお勉強。石で山や亀、船を表し、砂で流水や海を表現しているという説明を聞き、「あそこだけどうして水があるの?」「あれは何の形?」と息子も興味津々です。確かに「水を使わず水を表現する方法」は大人にも面白いので、これを機に子供目線で庭園もじっくり鑑賞しました。こうした案内がないお寺でも、早めに行って子どもとお庭や建物について話ができると、緊張をほぐせそうですね。
最初に、足と手の組み方や、視線の位置など学ぶ
つかの間“禅の心”に触れたところで、いよいよ座禅の時間です。本堂にはご住職が座られる場所を中央に座布団が並んでいます。子どもが声を出したり愚図ったりすることを考え、出口に一番近い場所へ座りました。まずご住職の大和宗貴さんが、足の組み方と手の組み方から教えてくれます。座禅はあぐらと違い、一方の足をもう一方の太ももへ乗せる組み方で、両足を組む結跡朕座(けっかふざ)と、それが難しい場合、片足だけ反対の太ももへ乗せ、もう一方は折り曲げるだけの半跡朕座(はんかふざ)があります。
手は、親指以外の4本の指を足の上で重ね、親指同士を少し触れさせて手を組みます。視線は自分の1.5m先に落とし、目は閉じるのではなく半眼に。「ちゃんとできるんだろうか」と隣りを見ると、まさに一休さんのように半跡朕座で座禅をする息子がいました。股関節が硬く、半跡朕座もできない私よりむしろちゃんと座っていて、ちょっと悔しい…。
20分×2回の座禅、警策で打たれる経験も
参加者が全員座禅を組んだら、それ以上の説明はなく、ご住職の拍子木を合図に座禅に入ります。時間は休憩を挟んで20分×2回で、息子にとっては初めて「何もせず」じっとしている長い時間。さらに一人ずつ順番に警策で肩を打っていただきます(木の棒で肩をパーンとするアレです)。嫌がるんじゃないかとハラハラしましたが、ご住職が息子の前に立つと、半眼のままスッと合掌し、教えられた通り深く頭を下げて肩を打ってもらい、合掌したままお辞儀、という一連の作法ができていて、まるで修行僧のような落ち着き…。「しんどいことを一人でするのは難しい。仲間と切磋琢磨するから乗り切れます。座禅も同じ。お父さんやお母さんも警策で打たれるし、自分も頑張ってみようと思えるんです。一緒にできることが子どもにとって大事」とご住職。その後、休憩を挟んで後半もスムーズに終了しました。
画像提供:臨済宗大徳寺派大徳寺塔頭 大仙院
座禅の意味を考えるより、まずやってみること
「お釈迦様と同じところに身を置き、目一杯になっている頭の中を空っぽにして、本来の自分に向き合うのが座禅です」とご住職。なぜ座禅をするのかと理由や結果を考える前に、30分でもいいから座ってみることが大切なんだそう。「やってみた結果、お子さんの感想が『足が痛かった』でもいいんです。それ以上求めてあげないでくださいね。『やってみた』ということが子どもにとってはすごいことですし、やってみて感じた事が本物ですから。」
帰り道、息子に感想を聞いてみると「警策が痛かったけど、気持ち良かった!」と前向きな反応でした。
今回の座禅体験は、「あわよくば落ち着きのある子に」という思いもあって参加しましたが、実は親の私の方がちょっぴり救われたような気持ちになりました。
子どもが生まれてから、子育てや家事、仕事など、頭も心も常に一杯抱えた状態になっていましたが、座禅中、しんと静まり返った空間で姿勢を正し、自分の呼吸にだけ集中していると、スーっと頭が軽くなって、水中深くに沈んでいるような不思議な気持ちに。雑念・欲望だらけの私なので、少しの間だけでしたが、縛られているものから解き放たれたような気分です。
自宅で行うなら、自然に吐く呼吸を数えることから
お寺に行かず、家ですることも可能だそうですが、やはり日々暮らしている環境の中で精神統一するのは大人でも難しい事。家で行うコツを聞いてみました。「何もせずじっとするのは、大人でも結構難しいと思います。最初は『吸息間(すうそくかん)』といって、自分が自然に吐く息を数えるといいでしょう。10まで数えたらまた1に戻ります。年長さんくらいの年頃ならできると思いますよ。」
「それから、実は座禅という形にこだわらなくても、掃除でもいいんです。掃除は『動の座禅』。頭を空っぽにして、掃除をする自分ひとつになるということで、座禅と同じ心の持ち方ができます。どちらをするにしても、何でもそうですが『やらされている』のではなく、『させていただく』という気持ちで取り組んでください。」
座禅を通して心が穏やかになる、気持ちが落ち着く、我慢強くなるというベースには、「させていただく」という気持ちがあるからこそ。形だけでなく、そういった気持ちを伝えていければ、親子で穏やかに過ごせそうです。
【大仙院の座禅会スケジュール】
●週末座禅会
毎週土・日曜
3〜11月 午後5時〜6時
12〜2月 午後4時半〜5時半
参加費 1000円(別途拝観料)
※要予約
●禅寺体験教室
座禅を中心に、写経、作務、法話、経文唱和などを通した禅寺体験
毎年3月第4日曜日、8月第1日曜日に開催
※次回は2015年3月22日(日)10時〜12時半に実施。
子ども500円 大人1000円
予約:075−491−8346(午前9時〜午後4時半まで)
※小学生以下のお子さんは保護者同伴