大人が絵本の世界と触れ合うことで、疲れた心が癒されたり、心が豊かになるという絵本セラピー。そこで今回は、絵本セラピストとして活躍されている佐々木好江さんに、大人が癒される絵本と、家族での絵本の楽しみ方を教えていただきました。
「絵本セラピーとは、大人向けに行われるふれ合いと気付きのワークショップです。絵本セラピストが作成したプログラムに沿って、参加者が絵本を通じて感じたことを書き留め、語り合います。感じ方や考え方は100人いれば100通り様々な視点や価値観、幸福感などを分け合うことで視野が広がり、心の豊かさが増します。参加者同士の絆が深まることも多いんですよ」と佐々木さん。
例えば「育児」をテーマにワークショップを行い、「こんな愛し方があるんだ」「こんな素敵な考え方があるんだ」と気づいたり、友だち同士で参加し、お互い意外な一面を知ってさらに親近感が湧いたりと、前向きな気持ちを生み出すようです。
「 大人は、過去の自分と照らし合わせたり、その経験から絵本について感想を述べられますが、子どもは、絵本をそのまま受け止めます。子どもは感想を述べる視点で絵本を楽しんでいるのではなく、絵本の世界の中にどっぷり浸っているのです。楽しい本もあれば、悲しい本もあり、絵本を通して色んな感情を味わっています。そのため、子どもにはあまり感想を聞かず、絵本の世界に浸らせてあげるのがいいと思います」。
言葉が非常に少ない絵本ですが、絵が微笑ましく、赤ちゃんから大人まで楽しめる絵本。お子さんと一緒に「あはは」と声を出して読んでください。いつの間にかみんな笑顔になっているはずです。小学校高学年でも人気がある一冊です。
困っている人のために必死に頑張るやかんの姿が胸を打ちます。ストーリーに合わせて、息を吸ったり止めたりすると楽しいですよ。大人は「自分は誰かのために何かを一生懸命できているか」と振り返ることができます。
http://www.ehonnavi.net/ehon/940/はりがねハンガー/
ハンガーと絵を組み合わせて、ぞうや恐竜など動物や虫を作る絵本。ハンガーは写真で、文字の少ない絵本です。ご自宅のハンガーで親子で遊んでみてください。大人も頭を柔らかくして、子供のように想像力を働かせてみてください。普段と違う脳の使い方で、リフレッシュできます。
可愛らしい絵と斬新な発想で、読者を絵本の世界に惹き付けます。小学生でも「おお〜」と歓声があがることも多い一冊。これを読むと、限界を作らず、自由な発想を持ちたいという気持ちにさせてくれます。
ねこ好きにはたまらない迫力のある絵です。ねこのタンゲくんの気まぐれさが、人間関係にも通じるように感じます。甘えてくるけれど、無視することもある。そんなタンゲくんのすべてを愛おしいと思える少女の心が純粋で素敵です。人間関係に悩んだ時に、ぜひ開いてみてください。少し力を抜いて問題に向き合うことができるかも知れません。集団生活でお子さんが人間関係に傷ついた時にも読んであげたい一冊。
自分勝手(でも愉快)なねこたちにしっぺ返しがくるのですが、微笑ましいお話です。 常におおらかな態度で対応するぶたも素晴らしいです。理不尽に感じるような出来事があったときは、このぶたを思い出されてはいかがでしょうか。大らかな気持ちになって、柔軟に対応できるかもしれません。
繊細な色鉛筆画と充実したストーリーが魅力。虫たちの冒険は、お子さんの心を豊かにしてくれると思います。みんなと同じことができない仲間のために工夫する虫たち、助けてもらった虫にも素晴らしい特技があることなど、様々な個性を受け入れられる心を育みます。大人の世界でも一緒で、苦手な分野は周りがフォローし、フォローされた側も別の形で周りにお返しをする。そんな社会になるといいのにと、優しい気持ちにさせてくれます。
それでは、家族で絵本を楽しむ時に、絵本セラピーの視点から、どんな点に注意すればいいのか、またおすすめの楽しみ方を伺いました。
「絵本セラピーではないですが、同じように 数冊の絵本を組み合わせて、読み聞かせをすると楽しいですよ」と佐々木さん。普段、読み聞かせをしているご家庭でも、お子さんが「読んで」と持ってきた絵本を読んでいると思いますが、時には大人が組み合わせを考えてセレクトするのも良いそうです。
「楽しい絵本だけでなく、考えさせられる絵本やハラハラドキドキする絵本、悲しい事実も教えてくれる絵本など、様々なものを読んであげた方が、お子さんの感性を豊かにしてくれ、視野も広げてくれます。 楽しい絵本と考えさせられる絵本、科学絵本とストーリー性のある絵本など、異なるジャンルの絵本を組み合わせ、子どもの価値観の幅を広げてあげましょう。ただ、大人セレクトの絵本を与えられることが多いと、お子さんが読み聞かせの時間を楽しめなくなってしまうことも。時には、親が読ませたい絵本とお子さんが読みたい絵本を数冊バランス良く組み合わせてみてください」。
「 大切なのは、刺激のあるお話を読む時にはお子さんを抱いて、安心してお話を聞くことができる状態にしてあげること。守られている安心感の中で聞く刺激的なお話は、お子さんの心を成長させてくれます。寝る前なら腕枕などで、お父さん、お母さんに包まれて『自分は絶対大丈夫』という中で、怖い体験をするというのがとても大事なんです。そうすると、実体験でいざという時の度胸が違ってきます」。
そして最後は、子どもが悲しい気持ちや不安な気持ちを引きずらないように、楽しい・心地よい状態で終われる絵本を選ぶと良いそうです。子どもの年齢に関わらず、赤ちゃん絵本でもいいのでスッキリさせてあげましょう。
「お話によっては、声を変えて読む時間があっても楽しいように思います。また、お子さんの『読んで読んで』は最高のほめ言葉。何度でも読んであげてくださいね。また、お子さんが嫌がるものを無理に読む必要もありません。一番大切な事は、お子さんが絵本を楽しむ事です」。
パパ、ママも一緒に楽しむ気持ちで読み聞かせをすると、絵本をもっと楽しめるかもしれませんね。

感想を共有することで、視野が広がり心が豊かに
まず 絵本セラピーとは、大人が絵本を介したコミュニケーションを通じて心を豊かにする気付きとふれあいのワークショップなのだそう。「絵本セラピーとは、大人向けに行われるふれ合いと気付きのワークショップです。絵本セラピストが作成したプログラムに沿って、参加者が絵本を通じて感じたことを書き留め、語り合います。感じ方や考え方は100人いれば100通り様々な視点や価値観、幸福感などを分け合うことで視野が広がり、心の豊かさが増します。参加者同士の絆が深まることも多いんですよ」と佐々木さん。
例えば「育児」をテーマにワークショップを行い、「こんな愛し方があるんだ」「こんな素敵な考え方があるんだ」と気づいたり、友だち同士で参加し、お互い意外な一面を知ってさらに親近感が湧いたりと、前向きな気持ちを生み出すようです。
大人と子どもでは絵本の楽しみ方が違う
絵本セラピーと聞いて、子どもに向けたセラピーのひとつだと思っていましたが、実は大人向けのものなのですね。「 大人は、過去の自分と照らし合わせたり、その経験から絵本について感想を述べられますが、子どもは、絵本をそのまま受け止めます。子どもは感想を述べる視点で絵本を楽しんでいるのではなく、絵本の世界の中にどっぷり浸っているのです。楽しい本もあれば、悲しい本もあり、絵本を通して色んな感情を味わっています。そのため、子どもにはあまり感想を聞かず、絵本の世界に浸らせてあげるのがいいと思います」。
大人が癒され、子どもも楽しめるおすすめの絵本
では、たくさんの絵本を読まれている佐々木さんに、大人は癒されたり気づきを得られ、子どもも楽しめる絵本をご紹介していただきました。家にある絵本と組み合わせて楽しんでみてください。(解説は佐々木さん)自然にみんな笑顔♪
「おひさまあはは」前川かずお 作・絵/こぐま社言葉が非常に少ない絵本ですが、絵が微笑ましく、赤ちゃんから大人まで楽しめる絵本。お子さんと一緒に「あはは」と声を出して読んでください。いつの間にかみんな笑顔になっているはずです。小学校高学年でも人気がある一冊です。
シンプルだけど奥深く、温かい絵本
「もくもくやかん」かがくいひろし 作・絵/講談社困っている人のために必死に頑張るやかんの姿が胸を打ちます。ストーリーに合わせて、息を吸ったり止めたりすると楽しいですよ。大人は「自分は誰かのために何かを一生懸命できているか」と振り返ることができます。
想像力がかきたてられる!
「はりがねハンガー」さかゆうさく 作・絵/福音館書店http://www.ehonnavi.net/ehon/940/はりがねハンガー/
ハンガーと絵を組み合わせて、ぞうや恐竜など動物や虫を作る絵本。ハンガーは写真で、文字の少ない絵本です。ご自宅のハンガーで親子で遊んでみてください。大人も頭を柔らかくして、子供のように想像力を働かせてみてください。普段と違う脳の使い方で、リフレッシュできます。
自由な発想が面白い
「わゴムはどのくらいのびるかしら」マイク・サーラー 作、ジェリー・ジョイナー 絵、きしだえりこ 訳/ほるぷ出版可愛らしい絵と斬新な発想で、読者を絵本の世界に惹き付けます。小学生でも「おお〜」と歓声があがることも多い一冊。これを読むと、限界を作らず、自由な発想を持ちたいという気持ちにさせてくれます。
集団生活をはじめたすべての人へ
「タンゲくん」片山健 作/福音館書店ねこ好きにはたまらない迫力のある絵です。ねこのタンゲくんの気まぐれさが、人間関係にも通じるように感じます。甘えてくるけれど、無視することもある。そんなタンゲくんのすべてを愛おしいと思える少女の心が純粋で素敵です。人間関係に悩んだ時に、ぜひ開いてみてください。少し力を抜いて問題に向き合うことができるかも知れません。集団生活でお子さんが人間関係に傷ついた時にも読んであげたい一冊。
悪いことをしたらしっぺ返しが! でも…
「11ぴきのねことぶた」馬場のぼる 作/こぐま社自分勝手(でも愉快)なねこたちにしっぺ返しがくるのですが、微笑ましいお話です。 常におおらかな態度で対応するぶたも素晴らしいです。理不尽に感じるような出来事があったときは、このぶたを思い出されてはいかがでしょうか。大らかな気持ちになって、柔軟に対応できるかもしれません。
それぞれの個性で助け合う虫たちの姿
「サラダとまほうのおみせ」かずこ・G・ストーン 作/福音館書店繊細な色鉛筆画と充実したストーリーが魅力。虫たちの冒険は、お子さんの心を豊かにしてくれると思います。みんなと同じことができない仲間のために工夫する虫たち、助けてもらった虫にも素晴らしい特技があることなど、様々な個性を受け入れられる心を育みます。大人の世界でも一緒で、苦手な分野は周りがフォローし、フォローされた側も別の形で周りにお返しをする。そんな社会になるといいのにと、優しい気持ちにさせてくれます。
家族で、いつもと違う絵本の楽しみ方をしてみよう

「絵本セラピーではないですが、同じように 数冊の絵本を組み合わせて、読み聞かせをすると楽しいですよ」と佐々木さん。普段、読み聞かせをしているご家庭でも、お子さんが「読んで」と持ってきた絵本を読んでいると思いますが、時には大人が組み合わせを考えてセレクトするのも良いそうです。
「楽しい絵本だけでなく、考えさせられる絵本やハラハラドキドキする絵本、悲しい事実も教えてくれる絵本など、様々なものを読んであげた方が、お子さんの感性を豊かにしてくれ、視野も広げてくれます。 楽しい絵本と考えさせられる絵本、科学絵本とストーリー性のある絵本など、異なるジャンルの絵本を組み合わせ、子どもの価値観の幅を広げてあげましょう。ただ、大人セレクトの絵本を与えられることが多いと、お子さんが読み聞かせの時間を楽しめなくなってしまうことも。時には、親が読ませたい絵本とお子さんが読みたい絵本を数冊バランス良く組み合わせてみてください」。
「怖い体験をしても守ってもらえる」という安心感を
子どもに読み聞かせをする時には、どんな刺激的なお話しでも、安心して聞くことができる状態で読んであげることが大事だそうです。「 大切なのは、刺激のあるお話を読む時にはお子さんを抱いて、安心してお話を聞くことができる状態にしてあげること。守られている安心感の中で聞く刺激的なお話は、お子さんの心を成長させてくれます。寝る前なら腕枕などで、お父さん、お母さんに包まれて『自分は絶対大丈夫』という中で、怖い体験をするというのがとても大事なんです。そうすると、実体験でいざという時の度胸が違ってきます」。
そして最後は、子どもが悲しい気持ちや不安な気持ちを引きずらないように、楽しい・心地よい状態で終われる絵本を選ぶと良いそうです。子どもの年齢に関わらず、赤ちゃん絵本でもいいのでスッキリさせてあげましょう。
読み聞かせは声色を使わなくてOK
読み聞かせは感情を入れない方が、聞く側の想像力を妨げないそうです。でも、絵本をコミュニケーションツールとして、家族一緒に声を出したり歌ったりしながら楽しむ時間ももちろんいい、と佐々木さん。「お話によっては、声を変えて読む時間があっても楽しいように思います。また、お子さんの『読んで読んで』は最高のほめ言葉。何度でも読んであげてくださいね。また、お子さんが嫌がるものを無理に読む必要もありません。一番大切な事は、お子さんが絵本を楽しむ事です」。
パパ、ママも一緒に楽しむ気持ちで読み聞かせをすると、絵本をもっと楽しめるかもしれませんね。