蒸し暑くなる6〜9月は食中毒が最も起こりやすい季節です。心配なのが、保育園や幼稚園など、梅雨や夏場に子どもに持たせるお弁当の傷み具合。そこで夏でも傷みにくいお弁当を作るコツを、フードコーディネーターの平岡淳子さんに教えていただきました。

コツその1:調理環境を清潔に保つ!
「爪などはいつも清潔に切りそろえておき、手をしっかりと洗い、清潔な布巾などでしっかりと拭いてから調理を開始しましょう。まな板や包丁、菜箸も清潔なものを使用します。」
「お弁当箱は、余分な水分をほどよく吸ってくれる曲げわっぱなどがおすすめですが、プラスチックのお弁当箱でも、使い終わったらマメに煮沸消毒をしたり、漂白したりして清潔に保つようにしましょう。」
手を清潔にしたつもりでも、意外とやってしまいがちなのが、スマホや携帯電話の操作。海外のある調査によれば、スマホ画面には、大腸菌をはじめさまざまな細菌・ウイルスが大量に付着しているんだとか…。調理中のスマホ操作は厳禁ですよ!
コツその2:新鮮な食材をシンプルな方法で調理する!
「ご飯は炊きたてがベスト。前日の夕飯時に炊いたご飯を朝まで保温して使用する方もいると思いますが、それはやめた方がいいですね。炊きたてをすぐにラップで包んで、あら熱を取ってから冷凍したものを翌朝温めなおして使用しましょう。」
「炊き込み御飯やポテトサラダなど、使う食材が多いメニューは、その中の食材のひとつが傷んでいた場合に全体に広がるリスクが高いので避けた方がよいと思います。」
「おかずはできるだけシンプルな食材でシンプルな調理法、味付けを心がけてください。例えば鶏肉に塩こしょうをまぶしてオリーブオイルで焼くとか。ハーブにも殺菌・抗菌作用がありますので、お子さんが嫌いでなければローズマリーやタイムなどのハーブを加えてもいいですね。」

「野菜だったら素揚げして塩をまぶすだけでもOK。塩にも殺菌作用がありますので、普段より気持ちしっかりめに味を付けることも大事ですよ。」
前の晩に作ったものや、作り置きおかずの再利用は危険なんでしょうか?
「作り置きのものは極力避けるのが無難ですが、どうしても入れたいなら、再加熱は必ず行ってください。作り置きのおかずを作る際には、鮮度のよいものを清潔な環境で作り、冷蔵庫や冷凍庫で保存する時もより温度の低い奥の方に入れましょう。冷蔵庫から出してすぐに取り分け、残りはまたすぐに冷蔵庫にしまってくださいね。」
コツその3:加熱の際は必ず沸騰させる!

「野菜など食材を生のまま入れることは極力避け、しっかりと火を通すことが大事です。電子レンジでも構いませんが、ほんのり温める程度ではダメ。熱くなるまでしっかり熱を通すことで菌が死滅します。」
「食材を切る時は、加熱する前に切りましょう。細菌の再付着も防げますし、加熱される断面が多い方が安心ですよ。」
野菜はもちろん、ちくわやはんぺんなどの練り物、ハムなどの加工品といった要冷蔵の食品は、そのまま使用せず、加熱して殺菌してからお弁当に入れると安心ですね。
コツその4:水分を徹底的にとる!
「食材が傷んでいたのでなければ、お弁当が傷む原因はほぼ水分。水分から細菌やウイルスが増殖するので、すべての食材の水分をしっかり取ってからお弁当箱に入れることが大事です。レタスやキュウリなど水分の多い生野菜や煮物や汁気の多いおかずは避けましょう。ブロッコリーも空気に触れる断面が多すぎるので、傷むリスクが高いです。」
「また、おかずが熱いままお弁当箱に入れてフタをしてしまうと湯気で水滴が発生するので、完全に冷ましてから入れてください。夏の間は、冷凍庫にステンレスのバットなどを入れて、出来たての熱いおかずを冷ますスペースを確保するといいですよ。ご飯など、お弁当箱に詰めた後に冷ます場合は、上にガーゼなど通気性のよい清潔な布をかぶせておくと蒸気を吸ってくれますし、乾燥も防いでくれるのでおすすめです。」
だし巻き玉子は後から水分が出てくるので危険! 卵料理なら、お砂糖とお醤油味の甘い卵焼きがおすすめだそうです。中までしっかり火を通しましょうね。水分たっぷりのフルーツも、持たせるなら別容器に入れた方がよさそうです。
コツその5:傷まない工夫をする!
「おかずを詰める前に、清潔なガーゼなどにお酢や食器用のアルコール除菌液を軽くしみこませ、お弁当箱の内側を拭くと、殺菌効果が期待できます。」
「そしておかずはひとつひとつお弁当用のカップや抗菌シート、殺菌作用のある笹の葉などで仕切るとよいです。できれば、素手よりも清潔な菜箸などで詰めると安全ですね。」
お弁当を傷みにくくする食材として、梅干しやワサビ、しょうがなどがいいと聞きますが、どれも子どもが苦手なものばかり。子どものお弁当にも使えるワザ、ありませんか?
「レモンやお酢にも殺菌作用があります。お弁当の隙間にレモンを切って入れてもいいですし、夏は酢飯にしてしまうのも手です。」

「梅干しも、ご飯を炊く際に丸ごと1個ポンッと炊飯器に入れて一緒に炊き込み、炊き上がったら種を取り、ちりめんじゃこやゴマなどと一緒にごはんに混ぜれば、子どもも食べやすくなりますよ。」
「ワサビにも殺菌作用があります。アルミホイルにチューブのワサビを1、2cmほど出して包み、弁当の隅に入れておけば、抗菌シート代わりに使えます。ただし、子どもが食べないよう事前に言い聞かせておきましょうね(笑)」
コツその6:おにぎりは具&水分に注意!
「おにぎりの場合は具に注意が必要です。ツナマヨ、生のたらこ、筋子など生のものや材料が複雑なものは避けた方がいいでしょう。梅干し、おかか、昆布の佃煮、塩昆布など保存性が高く、シンプルな具材は夏場でも大丈夫です。」
「握る時は手にしっかりと塩をつけましょう。よく両手をビショビショの状態で握る方がいますが、水分が多いと傷む原因になるので、水分はギリギリの量、指3本に付ける程度で十分。殺菌作用のある酢と塩で握ってもよいですね。」
「ラップを使って握る場合には、握った後にラップを開いて湯気(水分)を逃がし、ごはんが冷めてから新しいラップに塩をまぶして包むようにしましょう。」
夏場は汗をたくさんかくので、シンプルに塩分強めの塩むすびにしてもよさそうですね。
食中毒を起こす細菌やウイルスが最も活発に活動するのは35℃前後。お弁当と一緒に保冷剤を一緒に入れたり、保冷機能のあるバッグに入れるなどして、お弁当を暑さからガード! 愛情と安全なおかずがたっぷり詰まったお弁当で、子どもの元気をサポートしましょうね。
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