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ロタウイルス感染症とは? 対処法&予防法&看病時の注意点も

掲載日: 2015年3月16日更新日: 2020年3月11日宇都宮 薫

毎年冬の時期に流行するロタウイルス感染症(ロタウイルス胃腸炎)。小さな子供がかかることが多く、激しい下痢や嘔吐、発熱などの症状が現れます。今回は、くろさわ子ども&内科クリニックの黒澤サト子先生に予防法や対処法、看病時の注意点などを聞きました。

ロタウイルス感染症とは?

ロタウイルス感染症とはどういった病気でしょうか。

「ロタウイルス感染症は、生後6カ月から2歳の乳幼児を中心に流行するウイルス性の胃腸炎です。昔は『冬期下痢症』とも呼ばれていて、年末から春先に流行のピークがあるのが特徴です」

「感染性胃腸炎を起こすウイルスは、ほかにもノロウイルス、サポウイルス、アデノウイルスなどいろいろありますが、その中でもロタウイルスによる胃腸炎が全体の40〜50%近くを占めています

どのウイルスでも治療法はほぼ同じなので、ウイルス検査を行なうことはあまりないそうですが、ロタウイルスは感染力が強いので、より注意が必要です。

主な症状は「下痢」「嘔吐」「発熱」

ロタウイルスの症状はどういったものでしょうか?

「ロタウイルスは、ほとんどの子供が5歳までに一度は感染します。ウイルスに感染してから、症状が出るまでの潜伏期間は2日〜3日です。その後は、下痢や嘔吐、発熱といった症状が1週間前後続きます

「また、米のとぎ汁や粘土のような白い便が見られることもあります。非常に稀ですが、重症化すると急性脳症や多臓器不全など、重い合併症を起こすこともあります」


看病のポイントは「こまめな水分補給」 脱水症状に注意

では、子供がロタウイルスにかかった場合、どのように対処すればいいでしょうか?自宅で看病する際の注意点などを教えて下さい。

「ロタウイルスに効く治療薬はとくになく、体の中に抗体ができてウイルスを殺し、通常1〜2週間で自然治癒します。胃腸炎で一番怖いのは、下痢と嘔吐を繰り返すことによる脱水症状です

「子供の脱水症状が急激に進むと、点滴が必要なことがあるので、ぐったりした様子があれば、早めに医療機関に連れていきましょう」

「ポカリスエットやOS-1などの電解質飲料でこまめに水分補給をして下さい。一度にたくさん飲ませると吐き出してしまうので、何度かに分けて少しずつ飲ませるのがポイントです」

ちなみに、固形物が食べられない日が2〜3日続いても、電解質を含む水分が取れていれば大丈夫とのことです。

家族内の感染を防ぐための注意点は?

きょうだいや家族内での感染を防ぐためにできることはありますか?

「ロタウイルスは非常に感染力が強いので、家族間の感染を防ぐのは難しいです。まずは、感染者の嘔吐物や便などに直接触れないようにすることが大事です」

嘔吐物は使い捨て手袋をして拭き取り、そのままポリ袋に密閉して廃棄します。吐いたあとは、次亜塩素酸ナトリウム(キッチンハイターなど)で消毒することも徹底して下さい」

「また、タオルやシーツ類の共有もやめましょう。嘔吐物や便が付着した服やシーツなどは、塩素系漂白剤につけて消毒してから、ほかのものと分けて洗濯機に入れるようにしましょう。アルコール等の消毒液はあまり効き目がありません」

「キッチンハイターなどの塩素系漂白剤は、0.1%濃度に薄めて、ペーパータオルなどを浸して付着した床などを拭き取るのがいいです」

ちなみに、漂白できない衣類は、85℃以上の熱湯に1分間浸してから洗濯するのがいいそうです。


ロタウイルス感染症を防ぐためには?

そもそも、ロタウイルスの感染を予防するためにはどうしたらいいでしょうか?

「ロタウィルスの主な感染ルートは糞口感染です。感染便には1g中1000億個もの多量のウィルス排泄があり、10〜100個程度のウイルスが口に入るだけで感染します」

基本的なことですが、外から帰って来た時や排便後、食事前などは必ず石けんでしっかりと手を洗いましょう。家族に感染者が出た時には、嘔吐物や便を触った手でドアノブなどに触れると、そこからほかの人に感染し拡大するので、手洗いはより念入りにしてください。また、オムツ交換は使い捨て手袋を使用し、ポリ袋に入れて捨てましょう」

何度も感染してしまうのはなぜ?

ロタウイルスにはいくつもの型があり、年によって流行する型が違うので、何度でもかかってしまいます

「ただ、ひとつのウイルスにかかると、ほかの型にも免疫ができるので、何度か経験するうちに、体の中で抗体の作りが早くなり、いずれは症状がほとんど出なくなります」

大人になると症状が出にくいのは、このためなんですね。

重症化を防ぐために「ワクチン接種」も!

「一番大変なのは、母親からの免疫が切れる頃に、初めてこの病気にかかる乳児の症状が最も重いことです。そのため、生後6週から14週6日までにロタウイルスワクチンを接種することをおすすめしています」

「このワクチンはロタウイルスの感染を完全に防ぐものではありませんが、初感染での重症化を防いでくれます。任意接種の経口生ワクチンで、現在2種類のワクチンがあり、2回から3回の接種で完了します」

ロタウイルスは非常に感染力が強く、ほとんどの子供が経験するので、一番の予防法はワクチンを接種することなんだそう。

かかった子供にとっても、世話をする親にとっても負担が大きいので、しっかり予防することが大事ですね。また、かかってしまった場合にも、慌てずに適切なケアができるといいですね。

お話を聞いたのは…

  • 黒澤サト子先生

    東京都国分寺市にある地域密着型クリニック「くろさわ子ども&内科クリニック」院長。

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ライター紹介

宇都宮 薫

編集プロダクション勤務を経て、フリーランスの編集者・ライターとして活動。雑誌・ウェブメディアなどへの執筆のほか、単行本(ビジネス書・実用書)の編集・構成を手掛ける。得意ジャンルは、出産、育児、健康、おでかけ、芸能、グルメなど。まち歩きとバイクが好き。

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