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部屋の中での赤ちゃんのケガや事故。その予防と対策は?

掲載日: 2016年11月9日更新日: 2017年5月16日菊地貴広

寝返り、ハイハイ、伝え歩きなどを経て、自分の足で歩き回れるようになる赤ちゃん。その成長はとてもうれしいものですが、同時に危険も増えていきます。安全に思える家の中にも危険がいっぱい! そこで、乳幼児によくある事故のトップ5について、その原因と対策を「子どものための危険学」のリーダー・原秀夫さんに伺いました。

子どもの好奇心を潰さず、ケガや事故を防止するために

今回は、心身の成長によってめざましく変化していく0歳から2歳にかけての子どもについてお話を伺いました。

「子どもにとって、少しばかり痛い思いをすることは、 成長に欠かせない経験です。防がなくてはならないのは、一生残ってしまうようなケガや、命に関わるような事故。とくに、自分で危険に気づく力のない0歳から2歳くらいの子どもは、親がケガや事故を防がなくてはいけません。」

子どもはみんな、「触ってみたい」「口に入れたい」「覗いてみたい」という好奇心の塊です。その気持ちを潰さないようにしつつ、先回りして危険を回避させることが大切なのだと原さんは言います。

それでは、乳幼児によくある事故のトップ5について、予防と対策を伺っていきましょう!

※参考データ「救急搬送データからみる日常生活の事故(平成27年)」

乳幼児のよくある事故トップ5の予防と対策

【1位】ころぶ

子どもが歩きはじめた瞬間から、一気にケガや事故の心配が増えていきます。その第1位が「ころぶ」。けれど、注意すべきなのはころぶこと自体ではなく、ころんだときに物にぶつかることだそうです。

「子どもは、ころびながら歩き方を覚えます。何度も転ぶことで、自然に手が出て、顔をぶつけなくなるのです。床にマットを敷くなどして危険を防止すれば十分。ただし危険なのは、ころんだ拍子に顔や頭をぶつけてしまうことです。家具には必ずコーナークッションを取りつけてください。ホームセンターや100円ショップにも売っています。床に固いものを置かないことも大切ですね。」

子どもにとって、「すべった、ころんだ、すりむいた」は当たり前。過敏になり過ぎず、重大なケガにだけ注意すればいいと原さんは言います。

【2位】落ちる

「ころぶ」に比べて、危険度が増すのが「落ちる」。とくに怖いのが、階段とベランダです。

一気に下までころげ落ちてしまう階段は、本当に危険です。必ずベビーフェンスを取りつけてください。階段の下側に設置することも忘れずに。『この上に何があるんだろう?』という好奇心で階段をのぼり、途中でころげ落ちてしまうこともよくあります。」

最も命に関わる事故がベランダからの転落です。手すりには手が届かなくても、踏み台になるものがあればよじのぼります。プランターなどは片づけ、エアコンは手すり側ではなく、建物の壁側に設置してください。」

イスやソファ、ベッドなどからの転落については、たとえ落ちても危険を少なくできるよう、下に物を置かないなどの工夫が必要です。そして、もし頭を打った場合は、すぐに病院へ連れていくことが大切だといいます。たとえ元気に見えても、あとから症状が現れることがあるためです。

【3位】 ものが詰まる

赤ちゃんは、身の回りのものを手当たりしだいに口に入れてしまいます。じつはこの行為には、口に入れることで免疫力を高めているという説もあります。しかし、喉を詰まらせてしまうことは絶対に避けなければなりません

「子どもの口に入りやすい口径39mm以下のものは、手の届かない場所に置きましょう。食べ物を与えるときには小さく刻んで。ミニトマトなら4分の1くらいが適当です。ほかにも、おもち、こんにゃくゼリー、お団子、ウィンナーソーセージなどの喉に詰まりやすいものには注意してください。」

食事のときはけっして急かさず、しっかり飲み込んだことを確認してから次を食べさせましょう。

誤飲で怖いのは、ボタン電池

お腹に入った後で恐ろしい症状を起こすものもあります。その代表例が、ボタン電池だと言います。

「ボタン電池は体内に入っても放電を続け、胃や腸の壁に穴を開けてしまうことがあります。しかも、とても小さいため誤飲に気づかず、対処が遅れてしまう危険もあるのです。ほかにも、タバコ、薬、洗剤、漂白剤などの危険なものは、絶対に手の届く場所に置かない注意が必要です。」

もしこれらの危険物を飲み込んでしまったときは、大至急救急車を呼んでください。

【4位】ぶつかる

ハイハイをはじめたくらいから、子どもにとって世界が一気に広がります。今まで行けなかった場所に行けるようになる楽しさから、つい周りが見えなくなってしまいます。

危ないのは、走ったり跳んだりできるようになる2歳くらいから。興奮しているときには、とくにぶつかり事故が起きやすいので、一緒に遊んでいるときでも親は周りに気を配ってください。」

「ころぶ」と同じように、家具にコーナークッションを取りつけたり、危ないものを撤去するなどの対策をとりましょう。

【5位】やけど

やけどの原因で多いのが、「ポット」「アイロン」「炊飯器」だそうです。いずれも絶対に手の届かない場所に置き、使わないときは電源を切ってコードを抜くなどの対策が必要です。

「よくあるのが、コードを引っ張ってポットを落とし、熱湯を浴びてしまうケースです。ハイハイの赤ちゃんなどはコードを引っ張るのが大好きなので、とくに注意してください。」

「アイロンなどの危険なものは、子どもが寝ている間に済ませましょう。子どもは、大人が使っているものを見ると、『自分もやってみたい!』と思います。どうしても必要な場合は、その場を絶対に離れないことです。」

炊飯器は、モクモクした水蒸気に子どもは興味津々だと言います。

「『これはなんだろう?』と覗き込んで、高温の水蒸気で顔や手に大やけどをしてしまいます。水蒸気が出ないタイプに買い替えてもいいですね。」

端を引っ張って、上に乗った熱いお茶やみそ汁などを落としてしまうテーブルクロスも使用は避けた方が安心です。

やけどをしてしまったら

それでも、やけどをしてしまったときの対応策も聞いてみました。

すぐに流水でしっかりと冷やすこと。衣服の上から熱湯をかぶったときは、その上から水をかけます。ひどいやけどになると、衣服を脱がした際に皮膚まではがれてしまうことがあるからです。」

そうして応急処置をした後に、すぐに医者へ連れていきましょう。

大切なのは、「事故のシナリオ」を考えること

赤ちゃんのケガや事故を防ぐためには、「事故のシナリオ」を考えることが大切だと原さんは言います。

家の中にある、『危険のもと』を見つけてください。たとえば、高い、重い、熱い、小さい、尖っている、段差などです。そして、子どもが持つ『歩きたい』『近寄りたい』『触りたい』『口に入れたい』『引っ張りたい』『入ってみたい』『のぼりたい』などの気持ちと照らし合わせるのです。」

子どもがどんな気持ちで、どんな行動をし、結果としてどんな事故が引き起こされるのか、そんな『事故のシナリオ』を常に考えるようにしてください。」

今回紹介したもの以外にも、さまざまなケガや事故があり、その原因があるはずです。それをパパママが見つけ出し、我が家と我が子の「事故のシナリオ」を考えてみてはいかがでしょうか?

★この記事のポイント★

  1. 子供が少し痛い思いをするのは、成長に欠かせない経験
  2. 一生残るようなケガや、命に関わるような事故を確実に防ぐ
  3. 乳幼児の事故トップ5は「ころぶ」「落ちる」「ものが詰まる」「ぶつかる」「やけど」
  4. 階段とベランダからの落下はとくに注意
  5. 口径39mm以内のものは、子どもが手の届かない場所に
  6. 子どもの気持ちから行動を予測し、事故を想定して先回りする

お話を聞いたのは…

  • 原秀夫さん

    2007 年4 月に発足した「危険学プロジェクト」のうち、「子どものための危険学」を扱う「グループ8」のリーダーを務める。子どもの痛ましい事故を防ぐために、幼稚園の先生の協力を得て、子どもの事故防止に関する絵本、CD、冊子などを作成し、ホームページで公開。そのほかにも、保育雑誌の監修や、「子どもの事故防止」と「子どものための防災」をテーマとする講演など、活動は多岐に渡る。小学校1年生向けにさまざまな小学校を訪れ、「土曜授業」と名付けられた「危険の体感と発見の授業」も開催している。

  • 子どものための危険学
  • 危険学プロジェクト

ライター紹介

菊地貴広

編集プロダクション・しろくま事務所(http://whitebear74.jimdo.com)代表。2014年に出版社から独立し、ファッション、グルメ、ビール、猫、タレント本など幅広く活動。2015年11月に男子が誕生し、息子に夢中。その成長を見るたびにフルフルと感涙する日々。

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