園児たちの可愛らしい言動を綴ったTwitterや書籍が人気のイケメン保育士、てぃ先生に聞くお悩み相談! 前編「意地悪な言葉遣い、やめさせるべき?」に引き続き、後編は、幼児期に増える「お友だちとのトラブル対処法」についてお聞きします。
前編「意地悪な言葉遣い、やめさせるべき?」はこちらどこまで見守るか、どう手助けするか、いじめた側・いじめられた側への寄り添い方など、たっぷりと伺いました。
幼児期のトラブルは「自分」と「自分」のぶつかりあい!
てぃ先生いわく、2歳〜3歳前半くらいまでは一人遊びが中心で、3歳後半くらいからお友だちと一緒に遊ぶのを楽しめるようになるそう。その分、子ども同士のトラブルが増えるのは自然なことで、てぃ先生が勤める保育園でも日々、大小さまざまなケンカやトラブルが発生しているとか。
「よく『みんな仲良く!』って言いますけど…そんなの、気にしなくていいんです。成長するにつれ、『自分はこういう人間なんだ』という意識が出来上がっていくわけですから、合わない子がいたって当然! 自分を持っている子やこだわりの強い子ほど、トラブルは増えるものですよ。」
だからあえて、仲の悪い子同士を同じグループにして遊ばせるなど、無理に仲良くさせることはしないほうがいいと言います。基本は、見守ってあげるだけ。もちろん、どちらかが手を出したときはすぐに止めに入り、ケガのないよう注意する必要がありますが、仲裁の仕方にもポイントがあるようです。
手を出した側にも出された側にも「どうしたの?」のひと言を
例えば、我が子がお友だちを叩いた場合、相手の親の手前もあり、すぐに「ダメでしょ!」「ごめんなさい、しなさい!」などと言ってしまいますよね。でも、てぃ先生はまず「どうしたの?」と聞くそうです。
「叩いた子だけが悪いとは限らないですからね。叩かれた子がおもちゃを取ってしまったからかもしれないし、『一緒に遊びたかったのに遊んでくれなかったの…』なんて可愛らしい理由からかもしれない。必ずその子なりの理由があるはずなんです。」
理由の聞き方も大切。親はつい「どうしてそんなことするの!」ときつく問いただしてしまいがちですが、てぃ先生流のように優しい声かけなら子どもも素直に答えてくれそうですね。
そして叩かれてしまった側にも同様に「どうしたの?」と声をかけます。「僕のおもちゃを取り返したら叩かれたの…」などと説明してくれるかもしれません。たとえ泣いていたとしても、「叩かれて嫌だったねぇ」「痛かったねぇ」などと慰めの言葉を先にかけるのはNG。「あいつは嫌なヤツ」「僕はかわいそう(悪くない)」という思いを植えつけてしまうからです。
理由なり状況なりを子どもがうまく説明できなかったとしても、耳を傾けてあげることが大切なのですね。
次はどうすればいいか。その答えを見つけるのは子ども自身
続いてのポイントは、大人は子どもの話を繰り返すだけで良いということ。「そっか、遊んでほしかったのね」「おもちゃ取ったら叩かれちゃったのか」と気持ちを受け止めるだけでいいのです。
「でも大人って“追い打ち”をかけるじゃないですか。『おもちゃ取ったから叩かれたんだね。じゃあ今度からは取らないようにしようね』とか。そんな余計なこと、言わなくていいんです。だって、それじゃあ大人が先に答えを出しちゃってますから」と、てぃ先生。
どうすれば良かったのか、子ども自身で考えるきっかけを作ってほしいと言います。
子どもに寄り添い、安心させることが大切
手当たり次第にいじめる、一方的にやられ続けるなど、長期的なトラブルにはそれぞれのフォローが必要です。
「寂しい、誰かに構ってほしいという理由でいじめている場合も多いです。まずはご家庭の状況を振り返って、子どもとの時間を増やしたり、よく話を聞いたりするだけでも子どもの態度が改善するものですよ。」
もちろん愛情面だけが理由ではなく、夜寝るのが遅い、食生活が乱れた、など生活上のいろいろな理由が考えられるそうです。
一方、いじめを受けている子には、辛い気持ちに寄り添う姿勢を。「保育園の先生に相談しておいたからね」と伝えることも、親の目が離れるときの「逃げ道」になります。どんなときも自分を受け止めてくれる大人がいるのは、子どもにとって心強いですよね。
普段から親同士のコミュニケーションを密に
最近では、子ども同士のトラブルが親同士の揉めごとに発展するケースも。それを防ぐために、普段から親同士がもっと気軽に交流してほしいと言います。
「あいさつにひと言添えるだけでいいんです。『よくお迎えで会いますね!』とか『その服、素敵ですね〜』とか、当たり障りのないことを(笑)。会話を積み重ねて関係を築けていたら、たとえトラブルが起きたとしてもそれほど揉めることはないと思うんです。」
親としてはトラブルが無いほうが楽ですが、子どもにとっては「とってもいい経験!」とてぃ先生。「あの子にはこうしたほうがいいのか」から「ああいうタイプにはこうするといい」と、人との接し方を広げたり、友だち作りのコツを学んだり、成長するきっかけを与えてくれると言います。そのチャンスをつぶさないよう、親同士がおおらかな気持ちで見守ってあげたいものですね。