うちの子、生まれつき「ほくろ」があって…と悩んでいるパパママはいませんか? そもそも、生まれたときから「ほくろ」はあるものなのでしょうか。そんな「ほくろ」についての疑問を、先日、「娘さんが腕のほくろを使って点つなぎをして遊んでいたのを発見した」という「わかばひふ科クリニック」院長の野崎誠先生に伺いました。
「ほくろ」はどうしてできるの?
皮膚の表面にできる「ほくろ」ですが、そもそもどうしてできるのでしょうか。
「ほくろは、色素細胞(皮膚の内部にあり、メラニン色素などを出す)の良性のできもので、紫外線が原因でできると考えられています。ですから、顔や首、足や腕など皮膚が出ている部分にできやすいですね。また、親にほくろが多いと、その子どもにもほくろが多いという、遺伝的な要因もみられますね。」
ほくろは基本的に、生まれたあとに紫外線が原因で作られるものだということです。ほとんどが良性のものなので、転移もなくある程度大きくなったら成長はストップします。
これって「ほくろ」なの?「あざ」なの?
では、生まれたときからある「ほくろ」とはいったい何なのでしょうか?

「生まれつきあるものは、生まれたあとにできるほくろとは別のものといえます。これは、先天性のほくろで『黒あざ』と呼ばれます。『黒あざ』は皮膚の色素細胞の形成異常によるもので、大きく広がることはないですね。」
この黒あざは、お母さんのお腹の中にいるときにすでに作られるのだそうです。
「色素細胞は、お母さんの胎内で赤ちゃんの皮膚ができあがったときに、神経から分かれ、皮膚に向かって数を増やしながら引越しをしていきます。この引越しのときに、異常に増殖してしまった色素細胞が皮膚に広がると『黒あざ』になります。つまり皮膚ができあがるときのトラブルですね。」
野崎先生によれば、「ほくろなのか、あざなのか」の違いは、簡単に言うと、どちらも遺伝子のエラーのようなもの、とのこと。生まれたときからあるのがあざで、生まれたあとにできるのがほくろなのですね。黒あざについては、色素細胞が皮膚に向かうときの異常なので、小さなものであればとくに心配はいらないようです。
黒あざのほかにも茶色や赤色のあざもあり、それぞれできる原因は違うとのこと。しかし中には、原因のよくわからないものもあるそうです。いずれも、気になる場合は皮膚科に相談するとよいでしょう。
大きい「ほくろ」、そのままで大丈夫?

では、見るからに「大きなほくろ」はそのままにしておいても問題はないのでしょうか。
「大きさが7ミリ以上あるほくろ、とくに手のひらや足の裏にある場合は、念のため皮膚科を受診するとよいでしょう。皮膚科にはダーモスコープという機械があり、ほくろを拡大して見ることができます。細かいところまで見えるので、そのほくろが悪いものなのか、そうでないのかを見分けることができるのです。」
ほくろが、7ミリより大きいからといって、必ずしも悪いものというわけではない、と野崎先生は言います。
「大きいと、悪いものである確率が上がるということです。昔は『7ミリを超えたら取りましょう』と言われることが多かったのですが、今はほくろの色素の分布を見ることで、取るか取らないか判断できるようになりました。もちろん、7ミリよりも小さいものでも同じように確認できますので、気になる場合は皮膚科にご相談ください。」
ダーモスコープによる検査は、ほんの数分で痛みもなくできるということですから、子どものほくろが気になるようであれば、一度検査してもらうと安心ですね。
気になる「ほくろ」はいじらずに、皮膚科を受診して
子どもの場合、大きなほくろなどは気になってついつい、いじってしまいますよね。しかし受診する前に大切なのは、ほくろをいじりすぎないことだそう。
気になるあまりずっといじっていると、表面に傷がついてしまい、どのようなほくろなのかを見分けることが難しくなってしまいます。もし子どもが気になっていじっているようなら、止めてあげましょう。
また、ほくろをいじりすぎることで、ほくろがんになる場合もあり、注意が必要だそうです。
皮膚をいじりすぎると、悪性のほくろに変化してしまう可能性も
「ほくろをむしったり、焼いたりすることもリスクになりますから、絶対にしないでください。またくり返し同じところに傷ができたり、何度もやけどをしたりと皮膚をいじめすぎると、それが原因でがんになることもあります。」
皮膚に刺激を与えてしまうことで、悪性のほくろがでてきてしまうとのことです。
生まれつき先天性のほくろ『黒あざ』がある人は意外と少ない、と野崎先生。ほとんどの人のほくろは、生まれてから出てくるほうが多いそうです。
ほくろ自体をそれほど心配することはありませんが、見るからにどんどん大きくなるようなほくろや、気になっているほくろなどがあれば、迷わず専門家に診断してもらいましょう。