子育てやお出かけに関する疑問を編集部が実際に体験・調査する「調べてみた企画」。第3回目は「再生野菜(リボベジ)」をテーマに、家庭菜園経験ゼロの4人が野菜を育ててみました。
「地味すぎる」と言われ始まった本企画ですが(笑)、驚きと新たな魅力発見が多々ありました! リボベジの基礎知識から成長記録&収穫野菜の活用方法までたっぷり紹介します。
「リボベジ」とは?

「リボベジ」とはリボーンベジタブルの略で、再生野菜という意味。普段捨ててしまいがちなニンジン・大根などのヘタや、青ネギ・豆苗などの根っこを水に浸けて栽培し、再生後に食すというものです。
ベランダや庭で家庭菜園する場合、育て方を調べたり、種や苗、土、肥料、プランターなどの準備をしたり、毎日の水やりなど管理が大変ですよね。リボベジならそんな心配は一切不要! 初心者でも気軽に始められます。
一般的に知られているリボベジの魅力には、以下のようなものがあります。
リボベジの魅力1:手軽に始められる
普段捨ててしまう野菜の根っこやヘタの部分を使うので、わざわざ種や苗を買う必要はありません。水耕栽培なので土も不要! 皿やコップ、タッパーなど、家にあるものがそのままプランターとして使えて、手の届きやすいキッチンの小スペースで育てられます。思い立った時にすぐに始められます。
リボベジの魅力2:初心者でも育てやすい
プランターに薄く水をはり、野菜の根っこの部分やヘタの切り口を浸けるだけなので、とても簡単! 毎日新鮮な水に替え、日中はなるべく日当たりの良い場所に置くだけで、1〜2週間後に収穫ができます。
今まで家庭菜園をしたことがないという初心者にとってもハードルが低く、気軽にチャレンジできます。
リボベジの魅力3:食卓に彩り&栄養素をプラス
料理をするとき、薬味や青い葉っぱがあるとないとでは大違いですよね。ちょっと彩りがほしいとき、青ネギや豆苗などを育てておくと、新鮮な状態のものをすぐに使えます。
また、栄養面で特におすすめなのが葉っぱの部分を再生させる根菜系の野菜。ニンジンや大根の葉は、普段食べている根っこの部分よりも栄養価が高いと言われています。
リボベジの魅力4:食費の節約
節約金額は1回あたりではわずかですが、積み重ねると大きな額になります。
手軽&簡単にできて、食事面や家計面でも良いことだらけのリボベジ。新たな魅力を発見できるのでしょうか!? 野菜を育てた経験がない編集部4人でチャレンジしてみました!
リボベジをはじめよう!
今回は、再生野菜「ド定番」で初心者にもおすすめと言われる豆苗を含む10種類の野菜でリボベジに挑戦しました。
(1)野菜を用意する

- 豆苗
- カイワレ大根
- ブロッコリースプラウト
- レッドキャベツスプラウト
- 小松菜
- 水菜
- ネギ
- 大根
- ニンジン
- 芽キャベツ
野菜は根元の部分を残してカットします。大根やニンジンは葉の部分が再生するので、ヘタ部分を少し厚めに切って残しておきます。
(2)野菜を容器にセットする

切った野菜を適当なタッパーや容器、コップに入れて、水を張ったら準備完了! 豆苗は容器に入った状態で売られているので、移し替えたりせずにそのまま育てることもできます。また、おしゃれな容器に入れ替えれば、緑のインテリア風で華やかな印象になりますね。
また、ネギや小松菜など縦に伸びていく野菜は、「スポンジ」の中央に穴をあけて入れ込むと、倒れずに育ち、水の取り換えのときにも便利です。食器洗い用のスポンジを購入して、容器のサイズに合わせてカットするだけなので、こちらも簡単に準備ができます。
育ててみたら驚きの連続!
準備ができたらあとは育てるだけですが、リボベジの育て方にはいくつかの基本があります。
<育て方の基本>
・直射日光が当たらない、日当たりの良い場所に置いて育てる
・野菜全体を水浸しにしない、少量でOK
・水は1日1回取り替える
・容器が汚れたらきれいに洗う
・カビや異臭が発生したら捨てる
・再生は1~2度にとどめる
注意点に気を付けて育ててみた成長記録を写真付きで紹介していきます!
豆苗

根を水に浸すと新しい芽が伸びてきますが、豆を水に浸すと腐る原因になるので、根だけが浸るように水の量を調整します。



量も背丈もなかなか成長せず心配しましたが…7日目を過ぎてから急速にグングンと成長して、開始10日目で最大30cm伸びた部分も! 豆苗の再収穫時期は一般的に7~10日ほどといわれているので、10日目に収穫しました。
<ワンポイント>

豆苗をよく見ると、「脇芽」という枝分かれしている部分があります。リボベジをする場合は、脇芽を意識してカットしましょう。新しい芽と脇芽が成長するので、収穫量に差が出ます。さらに、収穫するときにも脇芽を残すようにすると、脇芽が成長して、2回目の収穫ができます!
ちなみに私たちは1回目に脇芽までカットしてしまったので、収穫量はやや少なめ、2回目の収穫もできませんでした…。
カイワレ大根/ブロッコリースプラウト/レッドキャベツスプラウト


豆苗と同じ方法で育つかと思っていたのですが…全く育ちませんでした。
詳しく調べてみると、カイワレ大根などは二葉付近に「成長点」があるため、根だけのカイワレ大根に水を与えても再生しないとのこと。ちなみに「成長点」とは、野菜を含む植物の成長に大きくかかわる部分。植物は成長点を中心に細胞分裂が活発に行われ、そこから新しい組織が作られていくため、成長点をカットしたり腐らせたり、害虫被害にあったりすると成長しなくなります。
カイワレ大根を料理に使うときは根元から切りますよね。つまり、成長点を残しておくことは不可能です。育て方が悪かったわけではく「もともとリボベジ対象外の野菜」というわけです。


ブロッコリースプラウトも同様の結果です。


少しだけ出てきた葉は、まだ育っていなかったものが伸びてきただけで、再生したわけではないのです。
<ワンポイント>
自宅で育てるときはぜひ種から育ててみましょう。苗床(スポンジやキッチンペーパでOK)を容器にセットして、種を置いて水を与えてると発芽します。1週間〜10日ほどで収穫できるので、リボベジ感覚で育てられそうです。
小松菜

根を水に浸しておくだけで、葉がどんどん成長します。

成長してきた葉の周りにある不要な部分を取り除くと、成長スピードがグンとアップしました。

立派な小松菜が再生しました! 17日目に収穫しました。
調べたところ、ほうれん草でも同じように再生するようです。
<ワンポイント>

小ぶりの小松菜の場合は、製氷機に入れて育てると便利でした。
水菜

リボベジ向きといわれている水菜は、劇的な成長というよりもゆっくり穏やかに育つ印象です。

1日目の写真と比べると、葉の量が増え、再生していることがわかりますよね。

ですが…収穫タイミングを逃したようで腐らせてしまいました。振り返ると、開始から7日前後が再収穫に最適だったと反省。「もっと育つかも…」と欲張ってはいけないようです。
<ワンポイント>
収穫時期を見極めることも大切です。捨てるはずだった部分だったとしても、腐らせてしまうのはもったいないです。
ネギ

驚異の再生力を実感したのがネギです。カットした翌日、すでに1cmほど成長していました。その後もグングン伸びていくので、目に見える変化を楽しみたい人に向いています。


開始10日で15cm成長したところで収穫をしました。
<ワンポイント>

豆苗同様、写真のように「脇芽」を残して収穫すると、脇芽が成長して2回目の収穫ができます。

1回目と同様にグングンと伸び、5日目で20cm以上に成長しました!
大根の葉


元気がなさそうでしたが、水に浸しておくだけで翌日には葉が大きく広がっていました! 小松菜同様に、少し枯れ始めていたり、葉が全くなかったりする部分を取り除くと成長スピードがアップしました。

初日とは見違えるほどの葉になりました! 大根の葉も10日目で収穫しました。
<ワンポイント>

葉を上からのぞいて中央部分に「花」があったら、収穫のタイミングです。大根は「アブラナ科」の野菜で、春になると咲く「菜の花」の仲間。ですから、葉の成長が止まって花の成長が始まります。黄色い花が咲くそうです。
ニンジンの葉


やり方は大根と同様ですが、ニンジンは全く葉が再生しませんでした。ヘタ部部にある成長点が根こそぎ削られていたことが原因のようです。リボベジを視野に入れてニンジンを購入する場合は、ヘタに盛り上がりがあるもの選んだほうが良さそうです。
<ワンポイント>
スーパーなどでは葉の部分が切り落とされた状態で売られていることが多いので、どんなものかもイメージできない親子も少なくないのでは。葉付きニンジンを見かけたらぜひチャレンジしてみてくださいね。
芽キャベツ

「リボベジの中で、あまりメジャーではない野菜も育ててみよう!」ということで「芽キャベツ」に挑戦してみました。キャベツの芯を育てると葉が育ちますが、芽キャベツではどうなるのか…。

育て始めてしばらくの間は何も変化は起きなかったのですが…なんと、小さい芽がたくさん出てきました! こんなにたくさんの芽が出てくると思っていなかったので、メンバー全員びっくり。

葉は日に日に成長して、形は不格好ですが、少し丸みを帯びたような形で育ちました。もう少し育つ様子を見たかったのですが、芯部分の変色が始まってきたので24日目に収穫しました。
<ワンポイント>
製氷機にスポンジを置いて、その上に芽キャベツを載せました。水の量は、芯の底が少し触れるくらいで十分です。
収穫した野菜を食べてみた!
このようにして収穫した野菜をそれぞれ自宅に持ち帰り(今回の企画では社内の一角で育てました)、早速食卓に出してみました。薬味のほか、おかずやメイン料理の丼ぶり、パスタまで、さまざまな料理に大活躍! さらに普段はあまり野菜を食べないという子どもにも変化が…!?
リボベジに挑戦する前は「再生野菜なんて飾り付け程度にしかならないでしょ」と、あなどっていたメンバーも驚きの結果となりました!
【豆苗】豆苗とひき肉のっけ丼/豆苗とソーセージの卵炒め

まずは、再生野菜の定番「豆苗」を使ったアレンジ料理。十分な量が収穫できた豆苗は、なんと2品の料理に活用することができました。
ご飯のうえに炒めたひき肉とニンジン、豆苗を乗せた「のっけ丼」は、ご飯が進みます。ソーセージ入りの卵炒めは、幼児食にもピッタリ!

いざ実食! 見た目も華やかなご飯は、子どもたちからも好評です。おいしいと言いながら、ペロリと完食してくれました。豆苗はアレンジメニューが豊富なので、どんどん再生して色々なメニューに挑戦してみたいです♪
【大根の葉】ふりかけ

大根の葉は、炒めてご飯のお供に最適な「ふりかけ」に。大根の葉だけでもおいしいですが、今回はちょっと贅沢に、しらすとかつお節、ゴマをプラスしました。

具材に醤油とみりんを加えてさっと炒めたら、香ばしいふりかけの出来上がり! 大根の葉には小さな子どもには欠かせないビタミンCやカルシウム、ミネラルといった栄養素が多く含まれているそう。ぜひ子どもにも積極的に食べてもらいたいですよね。

ふりかけを混ぜたご飯でおにぎりを作ったら、「おいしーい!」と大喜びで食べてくれました。
【ネギ】お味噌汁
薬味としても重宝される「ネギ」は、刻んでお味噌汁に。家庭料理に欠かせないものだからこそ、気軽に再生して食べられるのはうれしいですよね。

「緑色はヤダ」など、普段は見た目だけで野菜を食べようとしない子どもですが、「これ、ママが育てた野菜なんだよ〜」と教えると興味津々。普段は決して食べようとしない野菜に挑戦していました。
そして、「ママが育てたネギおいしいね〜」と完食してました。これにはママもびっくり! 自分で育てた野菜なら、きっとさらに興味が湧くはず。次回はぜひ子どもと一緒に「リボベジ」に挑戦したいです。
【2回目に収穫したネギ】ねぎま

再生したネギを収穫後、さらに育て続けてもう一度収穫した「再リボ」ネギは、鶏と一緒に串刺しにして「ねぎま」に。パパやママのおつまみ用など、「少量の野菜がほしい!」というときにもリボベジは大活躍です。
【小松菜】豚肉と小松菜の和風パスタ

小松菜は、バターで軽く炒めてパスタの具材に。料理に少し彩りがほしいときにプラスすると見た目も良くなるうえ、栄養価がグッと上がるのでオススメです。
リボベジは子どもの食育にもピッタリ!

今回編集部では、定番と言われるものからちょっと目新しいものまで、さまざまな野菜の再生に挑戦しましたが、率直な感想は「想像以上に楽しい!」ということ。
水を替えたり観察したりするうちに、野菜に愛着が生まれ、日々の成長が楽しみになりました。最初は「再生野菜」にあまり興味のなかったメンバーも、短期間でみるみる成長する野菜に大興奮! 水替えをうっかり忘れてしまう日もありましたが、たくましく育ってくれて、毎日どのくらい野菜が成長しているのか、出社するのが楽しみになりました(笑)。
さらに、収穫した再生野菜は、どの野菜も子どもたちに大好評だったということも驚きの発見でした。子どもにとっては「ママが育てた野菜」というだけでも、特別感を感じられるようですね。

子どもたちが食に興味を持ち、その大切さを実感するには、ただ食べるだけではなく「自分で作って、自分で収穫して、自分で調理して食べる」という経験が大切です。この経験を家庭で手軽にできるものとしても「リボベジ」は最適なんです。
親子で一緒に再生野菜を育てれば、「芽が出てきたよ」「もう少しで食べられそう」など親子の会話が増えるだけでなく、子どもの知的好奇心も引き出されます。野菜嫌いの克服にも繋がりそうですね。
また、子どもがいる家庭にとっては「すぐ育つ」点も魅力の一つと実感しました。ベランダ栽培や畑栽培ですと、成長する前に子どもが興味を失う可能性もありますが、リボベジなら日に日に成長する様子を観察できて、飽きずに最後まで育てられます。短期間でできるので、夏休みの自由研究にもおすすめです!
節約ができるうえ、食育にも繋がる「リボベジ」。ぜひ親子で挑戦してみてくださいね。
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