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男の子は女の子より育てるのが大変って本当?

掲載日: 2015年5月27日更新日: 2018年8月31日青柳直子

男の子は女の子に比べて、小さい頃は体が弱い、甘えん坊で手がかかる、などなど、育てるのが大変だという話をよく聞きますが、これらの通説は本当なのでしょうか。長年の保育士経験から現在はこどもコンサルタンントとして様々なメディアでもご活躍の原坂一郎さんにお話を聞きました。

特に2歳までは男の子のほうが体が弱い

「一般的に皆さんよく経験されることとして、男の子のほうが体が弱いというのは、本当のような気がします。保育園でも2歳くらいまでは熱や病気でよく休むのは、断然男の子のほうが多かったですから。なんででしょうねえ、そのあたりは専門家でないので分かりませんが、僕の経験からして、男の子のほうが体が弱いという印象です」

これに関しては、男の子は出生時の肺の機能の成熟度が平均的に女の子よりも遅れがちである、染色体レベルで男の子より女の子のほうが強いなど、諸説あるようです。


母親にとって得体の知れない男の子は火星人!?

それでは体が弱いということ以外で、「男の子は大変だ」というにはどのような理由があるのでしょうか。

「僕のイメージとして、男の子のほうが育てるのが大変というのは、
女性であるお母さんにとって、男の子は“得体が知れない”からだと思うんです。女の子は母親にとっては所詮は自分が通ってきた道なので、見当がつきやすい。そういう意味で、女の子は育てやすいと言うのではないでしょうか。」

「『男の子の育て方』という僕が書いた本があるんですけど、中国版は『男の子は火星人』というタイトルなんですよ。全世界の母親にとって、男の子は“得体が知れない”ということは共通認識なんですね(笑)。でもね、考えてみてください。子どもじゃなくても、夫は火星人でしょ?女子中高生にとって男子は火星人でしょ?」

「『ちょっと男子!どうしてそんなに暴れるの?』『ちょっと男子!そんな汚いことやめてよ!』『ちょっと男子!どうして…』と(笑)。どの年代でも女性にとって男の行動はナゾだらけ。ましてや小さい子どもであればなおのこと、その行動は予測不可能。
その予測不可能さが男の子の育児の大変さにつながってるんじゃないかと思います。」


お母さんにとっては大迷惑? 男の子が大好きな「3K」って?

お母さんにとって得体の知れない存在である男の子。その予測不可能な行動には、なにか特徴があるのでしょうか。

「男の子というのは総じて、女性がしてほしくないことをするんです。汚いこと、危険なこと、奇妙なこと。
僕はこれらを女性が嫌がる3Kと呼んでます。男の子は見事にこの3Kをするんです。もうそれは1歳から80歳まで(笑)。お父さんは汚いことをするから娘に嫌われるし、変なことをするから奥さんに怒られるし。でもこの男の子の3Kは好奇心、探究心 冒険心から出てくる行動が多いんですよ。好奇心、探究心、冒険心は女の子より男の子のほうが断然強いです。」

「例えば、男の子は道に落ちているもの、例えば落ち葉なんかをすぐに拾います。世の中のお母さんたちは、『汚いねえ、やめなさい!』って言ってませんか?その落ち葉を触った手で洋服などを触って汚れるなら最初から触らすまい、というのが女性であるお母さんの考え方なんです」

その先にあるデメリットを考えて行動を制限するというのは女性的な思考であり、それは言い換えれば女性の賢さでもある、と原坂さん。この女性的な思考は年代を問わずに見られるものだそうです。

「小さい子どもであっても女の子は、『触ったら汚れるからやめておこう』『触ったらお母さんに怒られるからやめておこう』という気持ちが好奇心を上回る場合が多いんです。ところが
男の子は、いくら怒られても好奇心が勝つんですよ。さっき怒られたところなのに、また同じことをする、というのは男の子によくあることです。この例えからも分かるように、“落ち葉を拾う”というささいな行動であっても、お母さんにとっては『もう、またこんな余計なことして。男の子は育てにくいわあ』となるわけですね。」

お母さんの中には「いや、そんなことないですよ」という大らかな性格の方もいらっしゃると思うのですが、どちらかというとそういうタイプの方は少数派で、要は3Kが苦手な多数派のお母さんたちと3K大好きな男の子たちとは感覚が合わない、ということなのだそうです。


子どもの好奇心・冒険心・探究心を育てたいなら、その芽をつまないこと

世のお母さんたちが苦手な男の子の行動は、3K(汚いこと、危険なこと、奇妙なこと)だということがよく分かりました。でもそれらの行動が男の子の旺盛な好奇心・冒険心・探究心から出ているのならば・・・。

「そうなんです。好奇心・冒険心・探究心の3つが大切なことは誰もが認めるんですよね。だから、子どもが小学校2年生ぐらいになった頃から、この3つを身につけさそうと、あわててスキー教室や冒険教室などに通わせたりするんです。でも実は、
落ち葉を拾うことを認めるだけでも、子どもの好奇心・探究心・冒険心を満たし、育てることになりますよね。だから何も海や山に行かなくても、自然との触れ合いは町の中でも十分にできるんです。」

許容範囲を広げて、イライラをニコニコの素に

だからといって「この子の好奇心・冒険心・探究心を育てるために、ここはぐっと我慢して…」という具合に無理して認めようとすると、それはお母さんたちの精神衛生にもよくない、と原坂さん。


我慢するのではなく、許容範囲を大きくするように視点を変えてみてはいかがでしょうか。僕から言わせると、女性の許容範囲は狭いと感じることが多いです。ご自身の行動を振り返ってみると、ちょっとしたことでも『もう!』と怒っていませんか?1日の様子を仮にビデオに撮って後で観てみるとすれば、『私ってなんでこれくらいで腹立ててるんかしら』と自分でもおかしくなるはずです。」

「極端な例ですが、あるお母さんは子どもと一緒に電車を降りた後、2歳ぐらいの男の子が『でんちゃバイバ〜イ』って見送っている横で、『もう!』って言って怒っているんですよ。なぜかというと自分が急いでいるからなんです。そんなささいなことで怒っていると、自分自身もストレスがたまります。」

こんな他人から見たらかわいくて目を細めるようなことですら、お母さんが勝手に怒りの素にしているケースもあるということですね。こういったことも、少し見方を変えれば、微笑ましいエピソードになることもあります。


子どもの姿を丸ごと受けとめるとイライラも減る

また、子どもの姿を丸ごと認める気持ちを持つだけで、イライラは半減するとか。

「子どもがスーパーのお菓子売り場で5秒ほど立ち止まったり、本屋さんで立ち読みし始めたりしただけで『いつまで見てるの!』と、イラっと来ませんか?それなのに自分が女友達と買い物に行って、友達が服を選ぶのに5秒どころか5分間かかってもイライラすることもなく付き合うでしょうし、街で久しぶりの友達に出会ったら立ち話もしますよね。ということは、イラッとする原因は、時間が無いからではなく、初めから子どもに対しては“待つ気”がないからなんです。」


子どもの興味や好奇心を、あるがままに受け入れてみると
、少しくらいスーパーや本屋さんで立ち止まってもイライラしなくなるということなんですね。「少し見方を変えると、今までイライラの素になっていたことが、笑顔の素にさえなっていく」と原坂さんは語ります。

まずは男の子は自分(母親)とは考え方が違うということを認識した上で、子どもを認め受け入れることができれば、「男の子って大変」が「男の子ってかわいい!」に変わり、男の子の子育てがぐんと楽しくなるかもしれませんね。


世の暴れん坊男子ママの皆さん、(これから男の子のママになる方も)一緒に頑張りましょう!

※参考書籍

お話を聞いたのは…

  • 原坂 一郎さん

    23年間に渡る6箇所の保育所勤務を経て、2004年4月にこどもコンサルタントとなり、笑いと笑顔をキーワードに、子どもおよび子育てに関するさまざまな研究・執筆・講演を全国で展開。どんな子どももすぐに笑顔になるそのユニークな保育は、「スーパー保育士」と呼ばれ話題に。2男1女の父。KANSAIこども研究所所長、日本笑い学会理事、関西国際大学・教育学部非常勤講師、保育士、その他 FMラジオパーソナリティ、新聞コメンテーターなど多岐にわたって活動中。

  • こどもコンサルタント 原坂一郎(公式サイト)

ライター紹介

青柳直子

ライター暦16年。神戸生まれ・育ち・在住のアラフォー世代。芸能・インタビュー、舞台・コンサートレポをメインに、子育て関連、街取材まで“守備範囲を広く”がモットー。小学1年生の長男、1歳の長女、ヨーゼフ(ハイジの犬)似の夫+猫2匹と、毎日てんやわんやな暮らしぶり。娘が歩けるようになったのを機に、家族キャンプ再デビューを計画中。

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