子どもというのは、時にドキッとする質問を投げかけてくるもの。そんな疑問のボールが飛んできたら、ごまかさずに、ガチッと受け止めて投げ返してあげたいですね! そこで、今の季節にピッタリな、冬にまつわる素朴な疑問の答え方を丹伊田(にいだ)弓子先生に伺いました。
冬に息が白くなるのは、どうして?

「冬に吐く息が白くなるのは、どうしてだろう?」と思うことはあっても、調べることまではしなかった、という人は多いのではないでしょうか?
「吐く息が白くなるのは、温かい息と、外気の冷たい温度差によるもの。息のなかの水蒸気が、空気中のちりやほこりに触れ、一気に冷やされて水滴になることで白く見えるのです。同じ気温でも、湿度が高ければ高いほど、白くなりやすいんですよ」と丹伊田先生。
この知識があるだけで、子供の前で堂々と白い息を吐けそう(笑)。「どっちがたくさん白い息が出せるかな?」と、親子遊びの一つに取り入れて遊ぶのもオススメです。
さらに子どもとの会話を引き出して!
丹伊田先生いわく、「こういう素朴な疑問に、知識として答えるのはとても簡単です。今の時代はインターネットですぐに調べることができますからね。だからこそ、こういう質問が子どもから飛び出してきた時に、知識だけで返すのではなく、会話を発展させたり、親子のコミュニケーションのきっかけにすることが大事」とのこと。
「たとえば、“南極は北極より寒いけど息が白く見えないんだって、な〜ぜだ?”“正解は、南極の方が空気が乾燥しているから! じゃあなんで、南極の方が乾燥しているんだろうね?”など、知識を応用してクイズにしたり、さらなる知識に繋げても楽しいですね。」
冬になると静電気が起こりやすいのは、どうして?

冬に起こりやすい静電気は大人でも苦手な人が多いもの。“パチッ”という静電気の存在に気付いた子どもは、「ねぇ、どうして?」と聞いてくることでしょう。
「実はあらゆる物には、プラスとマイナスで構成された電気が存在しているんです。普段はプラスとマイナスがつりあって電気を打ち消しあっていますが、物をこすりあわせたりすると、プラスとマイナスのバランスが崩れて、電気が生じます。そんな瞬間に生じる電気の放電こそが、静電気なんですよ。」
では、特に冬に静電気が起こりやすいのはなぜでしょう?
「水は電気を通す性質があるので、湿度が高い(空気中の水分量が多い)とき静電気は空気中へと逃げていきます。しかし、冬は空気が乾燥して、湿度が低いため、逃げ場をなくした静電気が体に溜まりやすくなるのです。」
着替えの手伝いをしているときや、手が触れたときに“パチッ”となったら、静電気の話をしてみてはいかがでしょうか。
雪が降るのは、どうして?

雪が降るといつもの街が全く違う風景に見えて、ウキウキ、ワクワク、とっても嬉しくなります。白い粒が空から落ちてくる様子を見た子どもは、「なぜ雪が降るのかな?」と思うのではないでしょうか。
「雪というのは、雲の中の氷の粒が、溶けずに降りてきたもののことです。気温が高ければ、氷が溶けて雨になりますが、気温が低い時には溶けないまま、降りてくる途中で周りの水蒸気をくっつけます。それにより、粒が大きくなって雪となります。」
関連テーマの絵本でさらに子どもの理解を深めよう!
こんな話をしたら、雪だけではなく、雨が降る原理まで理解してくれそうですね! さらに丹伊田先生から、天気について理解を深めるのに、おすすめの絵本を教えていただきました。
それは、『あめ、ゆき、あられ くものいろいろ』(加古里子さん作・絵、農山漁村文化協会)という絵本。雨や雪を降らす雲というものがどんなものなのか、絵本を通して学べるそう。このような絵本を使って子どもの疑問に答えることは素晴らしい方法なので、是非取り入れてみてください。

冬は他の季節より星が綺麗に見えるのは、どうして?

なんとなく、冬の方が空が高く、星が綺麗に見えるような気がしますが、それってホント? それとも、ただの錯覚…!?
「四季の中で、冬は1番夜が長い季節。星は空が暗い方が良く見えるので、冬は夜が長く暗い分、星が綺麗に見える時間が長いのです。また、冬は空気が乾燥して空気中の細かな水分がなくなるため、透明度が高まります。だから冬は遠くの星が、はっきりと綺麗に見えるんですよ。」
子どもの心に残る演出で印象づけて!
丹伊田先生から、またまたオススメの絵本をご紹介していただきました!『よぞらのほしは』(村上康成さん作・絵、フレーベル館)です。この絵本は、白い息と一緒に、夜空を印象付ける内容だそうです。
「親子で寒いなか夜空を観察したり、一緒に絵本を読んだりしながら、子どもの心に残るような楽しい演出をしてあげてくださいね。」

子どもからの質問は、コミュニケーションのチャンス!
丹伊田先生に、様々な冬にまつわる素朴な疑問についてお答えいただきましたが、そこには子供の疑問をただの「Q&A」では終わらせない工夫があります。
その真理は、「子供の疑問をきっかけに、親子の会話を発展させて、コミュニケーションをしっかりとって欲しい」ということ。「子供の好奇心、科学する心を耕す…これが、知識を与えるより大切な家庭教育の役割です」と丹伊田先生。
毎日繰り返される子どもの「なんで?どうして?」に、忙しいときは「またか〜」とうんざりしてしまう時もあるかもしれません。でも、子どもからの質問を親子の絆を深めるチャンスと捉えて、一緒に楽しみましょう! 子供がこんなに親を頼って質問してくれるのも、今のうちかもしれませんよ。