海のお仕事体験海のお仕事を大紹介！

航海士のお仕事

世界中を行き来する船を使って、乗客や荷物を安全に目的地まで届とどけるのが「航海士」の仕事です。船には人を運ぶ「旅客船」、荷物を運ぶ「貨物船」のほか、魚を獲とる「漁船」や海を掃そうじ除する「清掃船せいそうせん」などの専門せんもん分野に特化した船があります。どの船にも航海士が必要です。

航海士の一番の仕事は操船そうせんの指示しじをすることです。多くの船が行き交う海では船と船がぶつからないように慎重しんちょうに操縦そうじゅうする必要があります。また、安全な航海のために計画を立てたり、航の行き先の天候チェック、港での荷物の積みおろしの指示しじ、航海中の荷物の管理監督かんとくなども大切な仕事です。乗客や貨物の安全を守るという重要な仕事のため、責任感せきにんかんや判断力はんだんりょく、冷静さなどが求められます。航海士でのたくさんの航海経験けいけんを得た後は船の最高責任者せきにんしゃである船長として活躍かつやくします。

お仕事のやりがい

島国である日本の生活は多くの輸入品ゆにゅうひんに頼たよっており、その輸入品ゆにゅうひんのほぼ全てを船が運び、国内輸送においてもすべての荷物の約半数を船が運んでいるそうです。取り扱あつかう荷物はたくさんあり、電気を作るための油や石炭、鉄や紙などをつくる原料などは有名ですが、船の大きさを生かして大きなコンテナクレーンや新幹線しんかんせんなども船で運んでいます。

あまりクローズアップされない仕事であり、そもそも大半が海の上を走っていますので見る機会も少なく謎が多い仕事だとは思いますが、海のプロフェッショナルとして日々安全に航海をすることにやりがいを感じます。

たいへんなこと

航海士は船の運転がおもな仕事です。国内外の交通ルールにしたがって、安全に目的地まで船を運航する使命があります。

安全運航を語るうえで切っても切れないものが天気です。天気によって海の状況じょうきょうは時々ときどき刻々こくこくと変化するため気象のチェックは欠かせません。台風などの荒天時こうてんじは高波により船が大きく揺ゆれ、貨物にダメージを与あたえてしまうこともあるため、天気図を一日に何度もチェックし、先を見越みこした航行計画を立てなければなりません。

また、東京湾とうきょうわんや伊勢湾いせわん、大阪湾おおさかわんや瀬戸内海せとないかいなど船が密集みっしゅうする海域かいいきでは様々さまざまな大きさ・スピード・種類の船が密集みっしゅうして行き来しているので、他船と衝突しょうとつしたり陸に乗りあげたりしないよう、常つねに細心の注意を360°全方位に向けながら航行しています。

どんなところで働いているの？

航海士こうかいしが船を操縦そうじゅうする場所は「ブリッジ」と呼よばれます。周囲しゅういがよく見えるように船の一番高いところにあります。ブリッジには、操縦そうじゅうするためのハンドルをはじめ重要じゅうような機械きかいがたくさん設置せっちされていて、航海士こうかいしはこれらを使って安全に船を進めていきます。

どんな仕事道具を使うの？

荷物の積つみおろしを行うデッキクレーンや燃料ねんりょうに関わる機器きき、船を操縦そうじゅうするためのレーダー機器ききなど複雑ふくざつなつくりの機械きかいが多いので、それらの使い方をしっかり覚おぼえる必要ひつようがあります。船によっては制服せいふくを着ることもあります。

ある日の1日の仕事の流れ

07:00	起床、朝食、身支度、気象の確認
08:00	航海当直
10:00	入港、荷役作業立ち会い（荷物の揚げ降ろし）
12:00	当直交代（終業）、休憩時間（買い物など自由時間）
17:00	出港準備
18:00	出港
18:30	手仕舞い終了
20:00	航海当直、当直交代（終業）

どうやってなるの？

船乗りとして働くには、より正しく言えば資格しかくは必要ありませが、船を運転するには資格しかくが必要です。

海技士かいぎしという国家資格しかくがあり、船の大きさやエンジンの大きさ、船が走る海域かいいきによって１級から６級まで分けられています。この資格しかくを取得するには筆記試験はもちろん、口述こうじゅつ試験、身体検査けんさも合格しなければならず、さらに乗船履歴りれきというものが必要になり定められた期間乗船した履歴りれきがないと免状めんじょうは発行されません。

船員を目指す人のための国公立の大学や短期大学校もあります。学校での勉強で乗船実習があるため、ここを卒業して船員になるのが最短ルートです。