最近では小学生から短期留学をさせる親御さんが増えているそうですが、そんなに小さいうちから留学させることに効果はあるのでしょうか?2011年までの約15年間、英語教育業界に携わった経験があり、日英バイリンガル教育に取り組むパパでもある川合亮平さんに、子供を短期留学させる際に注意すべきことについてうかがいました。
短期留学の目的は「異文化体験」と心得る

「まず、最初にお伝えしておきたいのは、数週間からも2カ月程度の短期留学だけで、英語がペラペラになることはまずない、ということです。」
「ある説によると、英語を聞いて英語のまま理解するには約700時間英語に触れる(読み、書き、話す、聞く)必要が、そして、非ネイティブとしてある程度支障なく英語をインプット・アウトプットできるようになるには3000時間英語に触れる必要があるんだそうです。」
それでは、子供の短期留学は何を目的にすればよいのでしょうか。
「異文化に触れるポジティブな体験を子供にさせるため、と考えるのがよいでしょう。短期留学でのワクワク体験が元になり、子供が将来、自主的に英語を勉強するようになれば、効果があったと言えるのではないでしょうか。」
即結果を望むのではなく、英語を積極的に勉強するモチベーションを上げるための体験をさせる、と考えるのが、子供を短期留学させる際の親の心得と言えそうです。
何歳ぐらいで留学させるのが効果的?
それでは、子供の記憶に残る短期留学をさせるには何歳ぐらいからがよいのでしょうか。
「年齢は他人とコミュニケーションを取ることができる幼稚園以上であれば問題ないと思います。ポイントは子供が楽しめるかどうかです。」
「さきほども言いましたが、勉強中心のプログラムであっても短期留学で英語力を飛躍的にUPさせるのはなかなか難しいものです。勉強中心のプログラムが子供にとって辛いものになってしまうのであれば、それは逆効果。英語が得意になるどころか英語嫌いになってしまっては元も子もありません。外国人の先生やお友達とゲームをしたり遊んだりしながら、『異文化の中で暮らす人と触れ合うことは楽しい!』と思わせることが大切です。」
子供の短期留学をアレンジしている会社は多数ありますが、参加者の声を聞くなどクチコミなども参考にしながら、各会社のプログラム内容よく見極めることが必要なようです。
短期留学させるなら、どのくらいの英語力が必要?

子供を短期留学させると決めた場合、事前にどのぐらいの英語力をつけさせておけば安心なのでしょうか。親としては気になるところですよね。
「プログラムによると思いますが、基本的には英語力はほとんど必要ないと思います。子供は順応性が高いので、2日目ぐらいには簡単なあいさつぐらいはできるようになっていると思います。その時点で、英語教室に少し通っていた子供と何も準備しなかった子供の差は、ほぼなくなっているのではないかと思いますよ。」
そうは言ってもやはり何か準備したほうが良いのではと思うならば、「これから留学したいと思っている国を舞台にしたドラマやアニメなどのDVDを親子で一緒に観るなどして、その国の文化に興味を持ったり理解したりすることが大切だと思います」と川合さん。
留学前に付け焼刃的に英会話を覚えさせるより、その国の場所や文化を親子で一緒に調べたりするのに時間をかけた方が、価値ある異文化体験になるかもしれませんね。
子供の留学をより実り多いものにするには?
「子供がまだ小さいなら、家族一緒に行くのがおすすめ」と川合さんは言います。
「短期とはいえ、小学生がひとりで海外に行くのはなかなか不安なことです。留学を辛かった経験にしないために、可能であれば親も一緒に行ってあげてください。短期留学が家族のよい思い出になれば、子供が英語好きになるよいきっかけになるはずです。」
また、費用対効果を考えれば、留学時期をもう少し後にするのも手なんだそう。
「発音がバイリンガルになるためには17、8歳くらいまでに日常の4割以上を英語で過ごす経験をする必要があると言われます。そのため、日本語力がしっかり固まる中3までは国内で過ごし、高校生で本格的に留学させたり、海外の大学に編入させても、努力次第で十分バイリンガルになれます。短期とはいえ留学となるとそれなりの費用がかかります。そのお金をもう少し先に取っておく、というのも選択肢のひとつではないでしょうか。」
小さい子供の留学は、将来、英語好きにするための種まきと考え、子供が楽しめる異文化コミュニケーションに重点を置いたプログラムを選択するのがよさそうです。