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「いたずら」は、子どもの成長を促すって本当?

掲載日: 2016年4月8日更新日: 2017年5月16日金子 陽子

子どもは「いたずら」が大好き! さわって欲しくない物ほどいじくったり、いたるところを荒らしたり、「やっちゃダメ」と言い聞かせてもコソコソやったり…。親はイライラが募るばかりですが、実は子どもの「いたずら」は脳の発達に良い影響があるのだとか。元・保育士で30年以上、乳児保育と子育て支援の研究に取り組む今井和子先生にお話を伺いました。

子どもの「いたずら」は、自発性と自己肯定感の源泉

大人目線だと「いたずら=困った行動」に見えてしまうのですが、今井先生は「いたずら万歳!」派だとか。

子どもにとっていたずらは、好奇心に基づく“探索活動”のひとつなんです。『あれは何だろう?』『何が入っているのかな?』『いい音がするぞ』…と何にでも興味をもって、自ら接近したりさわったり動かしたり、いろんな手応えを味わいながら、ものの性質やしくみを学びとっていきます。まるで小さな科学者みたいにね」と今井先生。

大人からやらされるのではなく、「自ら」積極的にやってみようとすることに大きな意味があるのだそうです。

「手は第二の脳とも言われるように、その動きに子どもの興味や関心が表れます。自らの「こうしたい」という欲求に従って行動することで、自分でやりたいことができるという意識が芽生え、子どもの『自発性』が育っていきます。この自発性は、将来的な『自己肯定感』の一番の土台になるんですよ。」

日本の若者は自己肯定感が低いと言われる昨今。我が子には、どんなことがあっても「自分にはやればできる力がある」という 自己肯定感を身につけて欲しいですよね。


いたずらっ子から、キレずに自ら楽しく学べる子へと成長

さらに、脳科学と教育の観点からも「いたずら」は重要な意味を持つそうです。

「子どもがいたずらをしているときって、目が輝いていますよね。それは大脳が反応しているサイン。心が躍動し、興奮している状態です。大脳の前頭葉に興奮と抑制の働きがあるのですが、乳幼児期の脳の発達においては大脳を刺激し興奮する働きを高めることが大切、と言われています。大脳が育たないと、興奮を抑制する働きも育たず、ちょっとのことでパニックになったり、キレたりしてしまうのです。」

大脳は、物事を考える、感じとる、言語や記憶を司るなど、知の要。「いたずら」をたくさんして、「面白い!」「なぜ何だろう?」と興奮した経験が、のちのちの知性や心の安定につながるなんて驚きです。

いたずらを繰り返すと物を扱う力も身につきますし、自分で考え、学び取る力も育ちます。『こうすると、こうなるはず!』という予測を立て、実際にやって納得したり、『やっぱりそうだった!』とうれしい気持ちになったり。その経験から、学びを喜びとする力や自ら学ぼうとする積極性も育まれていくんです。」

まさに子どもの「いたずら」は学びの入口なのですね。


親は見守るが原則。迷惑をかける「いたずら」には注意を

「いたずら」というより思わず顔をしかめてしまう「悪さ」のような行為もありますが、大人からすると迷惑な「いたずら」の中にも、ちゃんと子どもの成長が見てとれるもの。親に隠れてこっそり「いたずら」をするのも、ひそかに自分の可能性を模索する姿なのだとか。

子どもが目を輝かせて夢中になっていたり、自分の世界に没頭している様子があるのなら、子どもの成長のために大目に見てあげて欲しい」と先生は言います。

ただ、どんな「いたずら」も、危険なことや他人に迷惑をかけすぎる場合は止めさせなくてはいけません。どう対処すれば良いのでしょうか。

「単にダメと言うのでは、子どもが自分で判断する力が育ちません。なぜダメなのかを真剣に訴える。くどくど言わず、短い言葉でビシッと厳しく叱ることが大切です。」

「あなた言葉」で怒らず、「わたし言葉」で叱ることがポイント

忙しい毎日、つい感情的になって「叱る」というより「怒って」しまうことも多いのですが…。

「『どうしてそんなことをするの!』『何やってるの!言うことを聞かない悪い子なんだから!』…とかでしょうか。こういった言葉はすべて『あなた言葉』と 呼ばれ、子どもを否定し、『困った子』というレッテルを一方的に貼ってしまう言葉です。『あなた言葉』で怒られ続けると子どもは、『どうせ自分は困った子だから…』と自己否定し、やりたいことに取り組む意欲がそがれてしまうのです。」

感情を吐き出すなら『わたし言葉に変えること』と、先生は続けます。

「『あ〜困ったわ!どうしましょう!』『こんなこと、して欲しくなかったわ』…そんなふうに親御さんが困っていることを真剣に訴えると、子どももまずかったかなという表情をするものです。子どもは親の気持ちに敏感ですからね。」

主語を「あなた」から「わたし」に変えるだけで、伝わり方がまったく違ってくるのですね。

「そのうえで『あなたは何がしたかったの?』と聞き出し、子どもの気持ちを受け止め、認めてあげる。すると、自分のことをわかってもらえたと感じ、次第に子ども自身が反省するようになります。物を壊したり部屋を荒らしたりしたときは、後始末を一緒にするのも大事。親の大変そうな姿を間近に見て、人が困っていることを徐々に理解できるようになっていきます。」

本来、「いたずら」は好奇心や探究心といった「子ども性」を育むことでもあると先生は強調します。子どもと過ごすことは、大人が忘れてしまった「子ども性」にもう一度出会うこと。一緒にわくわくドキドキする気持ちで、子どもの奇想天外な「いたずら」を楽しめるといいですね。

お話を聞いたのは…

  • 今井和子先生

    20数年間、東京と川崎の公立保育園で保育士として働き、子どもの「ことば」、「自我の育ち」、「質の高い乳児保育の実践と子育て支援」を柱とした実践研究を積み重ねる。退職後、お茶の水女子大学非常勤講師、東京成徳大学子ども学部教授、立教女学院短期大学幼児教育科教授を歴任。現在は全国の研修活動に従事。「子どもとことば研究会」代表。著書に『自我の育ちと探索活動』(ひとなる書房)、『子どもとことばの世界』(ミネルヴァ書房)、『0・1・2歳児の心の育ちと保育』(小学館)ほか。

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ライター紹介

金子 陽子

1976年生まれ。3年間のOL生活を経てコピーライター、編集ライターの道へ。連日終電ときどき徹夜の会社員生活に限界を感じた36歳の夏、待望の娘を授かり、独立。いい歳をして人見知りながら人物インタビューは大好き! 大抵その人のファンになる。いまだに3歳の娘のお肉が赤ちゃんみたいにフニフニで癒される。

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