イクメンたちの集まるバーで、父親ならではの悩みや疑問を相談する企画がスタート。今回は男性の産後うつ「パタニティーブルー」がテーマです。妻の産後にパパが頭痛や胃痛、不眠、倦怠感に襲われるこの症状に、兼業主夫放送作家の杉山ジョージさんをはじめ、常連客たちが立ち向かいます!
<登場人物>
杉山ジョージ:兼業主夫放送作家。旗の台BAL Ceroのマスターでもある。
常連A〜Dさん:旗の台BAL Ceroの常連であるイクメンの方々。
西條一法:「いこーよ」編集部スタッフ。1歳2カ月の子供を持つ父。
<杉山ジョージさんと旗の台BAL Ceroについてはこちらを!>
イクメンが集うBARで聞いた!パパサークルの魅力とは(前編)イクメンが集うBARで聞いた!パパサークルの魅力とは(後編)「パタニティーブルー」はパパ情報が少ない人がかかる?

西條:杉山さんと「イクメンCero(旗の台BAL Ceroで毎月やっているイクメンが集まるイベント)」にお越しのみなさんに、今回相談したいのは「パタニティーブルー」をぶっ飛ばす方法です。
Bさん:「パタニティーブルー」? マタニティブルーじゃなくて?
西條:その男性版ともいうべき存在ですね。妻の産後3カ月くらいの時期に、頭痛や胃痛、不眠、倦怠感に襲われるという「産後うつ」だと言われています。原因は、妻が母になって身体的・精神的に変化が起きたことや、自分自身への責任感と不安からくるものなのだとか。
杉山:正直に言うと、ココにくるような人たちは、「パタニティーブルー」の経験があまりないと思うんですよ。
Aさん:確かに(笑)。
杉山:僕自身も経験したことがなかったので、この取材前にメルマガやFacebookなどで「パタニティーブルーにかかった人はいますか?」って聞いてみたんですけど…まーーーー返事がこない(笑)。
一同:(笑)
杉山:結局、いろいろ手を尽くして調べてみたら、学校のパパ友たちの中に経験者がいたんです。その人も深刻な状態ではなかったそうなんですけど。
西條:その人はどんなふうにして「パタニティーブルー」になってしまったんでしょう?
杉山:産後すぐで奥さんは子供にかかりっきりになって、家事が滞ってきたんです。その人はマジメだから、そのときに「自分になんの落ち度があるんだ?」って考えたんです。で、考えても「わからん」となってしまって、だんだん奥さんのせいにし始めてしまった。でも、それじゃ解決しないから、徐々に体調が悪くなってしまって。
後輩や同僚にも「新婚で子供が生まれて幸せな時期に、なんでそんなこと言っているの?」と言われたところに、上司に「いや、なるんだよ。完全に家の中がめっちゃくちゃになるから。家の中が完全にアウェーになって、帰りたくなくなる」って教えてもらって気づけたんですって。
Dさん:確かに、思い返せば家の中が、ぐっちゃぐちゃになっているとき、ありましたね。そこで「これはマズイ」って気づくかどうかなんですよね。気づけなかった人は「これはなかったことにしよう」と、その場から逃げたり、通り過ぎるのを待っていると「パタニティーブルー」になってしまうんですかね?
杉山:想像の範囲を出ませんけど、おそらくそういうことなんですよね。その人も「パタニティーブルー」という言葉自体を知らなかった。それで気づいたのは、取材をするときに「パタニティーブルーの経験者求ム!」という聞き方ではダメだったってことなんですよね。
このワードの意味を知っている人は、それだけアンテナを広げている人なので、かかってないんです。「パタニティーブルーというものがある」ということを知らない人が、「パタニティーブルー」になるんだなと。
出てきたら出てきたで「この体験は貴重だぜ」って思う

西條:父親が「パタニティーブルー」になる前に、準備できることってありますか?
杉山:マタニティーブルーと「パタニティーブルー」のどちらにも言えるけど、「子どもの反抗期」みたいなものですよ。思春期の子どもがいたら、反抗しないほうが気持ち悪いじゃないですか。それと同じことで、存在を知っていれば怖くないんです。準備としては「パタニティーブルー」があることをまずは知っておいて、「くるならこい!」と思ってもらうことですよね。
西條:奇襲攻撃を受ける前に、戦う準備を整えておく感じですね。
杉山:そう。出てきたら出てきたで「この体験は貴重だぜ」って思うといいです。そしたらつらい部分も乗り越えやすいし、「あのときはつらかったんだよー」って、あとで言えるようになるじゃないですか。周りの人たちが「パタニティーブルー」にかかかったときに、そのつらさも共感できる。
ただ、産後3か月後という目安はあるにしろ「いつ始まって、いつまでで必ずなくなります」というものじゃないところは覚えておいたほうがいいですよね。必ずこうなるもんだという決めつけをしないほうがいい。
西條:かかってはいたけど、知らず知らずのうちに通り過ぎちゃった人も多いでしょうし。
杉山:それこそ飲みに行ってストレスを発散してたら、終わっちゃったという人もいるでしょう。それはそれでいいんじゃないかなって思います。
パパ友を作れば解決!でも作るにはどうしたらいい?

杉山:もしかしたら、「パパ友」を作るのが「パタニティーブルー」の一番わかりやすい解決方法なのかもしれないよね。やっぱり子育て経験がある人が身近にいるってのは大事だし、同じときに同じような悩みを持つものだし。
Dさん:プレパパ友(子供が生まれる前のパパ友)でもいいですよね。でも、パパ友が作れる人はパタニティーブルーにならない気もします。
杉山:プレパパ友の候補って、自分の高校のときの同級生か、奥さんの同級生のご主人が当てはまるんじゃないかな? だいたい同じ時期に子どもが生まれると、嫁さん同士が仲良くなって、そのときにお互いに会うことってよくあると思う。
西條:なるほど。それなら比較的自然にパパ友が作れそうですね。
杉山:嫁さん同士で仲がいいということを考えると、「これはこの関係は続くぞ…」となるわけで。自分の場合は努めて仲良くしていました。
Cさん:思い切って、その人を誘って一緒に飲みに行っちゃうとか。
Bさん:そうそう。旦那が嫁の愚痴を言う場所も必要(笑)。
杉山:ここ(お店)ね(笑)!
Dさん:やっぱり「言える場所」って必要だよね。
西條:子供が生まれる前なら、それができますよね。生まれてからだと、逆に奥さんともめる原因になっちゃいますし。
杉山:「パタニティーブルー」って、ホントは高校生くらいの子供に教えておくべきことだなと思うんですよ。僕は、親がそれを教えていればいい気がする。「老眼になるときつい」というのと同じように「産後に『パタニティーブルー』がくるときついよ」ってね。それも恐怖訴求のような気がして悲しいけど…。
みんなが「知っていること」が大切
「パタニティーブルー」がどういうものなのか、反抗期や老眼のようにみんなが知っているものになれば、恐ろしい存在ではなくなる、というのが最終的なイクメンたちの意見でした。そのためには、同じ年ごろの子供を持つパパ友がいるとベター、そして一緒に飲みに行くなどして悩みや考えていることが相談できるとベスト! ですね。バーではまだまだイクメンたちの話が尽きませんが、今日はこのあたりで…。