子どもを高い高いしたり、長時間抱っこをしたりしていると、腕や足が筋肉痛になることがあります。ということは、これをうまくやれば筋トレになるのでは!? 赤ちゃんと遊びながら痩せられるなら、一石二鳥ですよね。そこでポッコリお腹が気になるパパが、子どもと遊びながらできるエクササイズについて、専門家にうかがいました。
ポッコリお腹を「ピラティス」で凹ませよう!

お話をうかがったのは、子連れOKのピラティス教室を開催しているピラティスインストラクター・長野実生さん。まず初めに「ポッコリお腹」の解消にピラティスが効く理由を教えていただきました。
「ポッコリお腹は運動不足や加齢に伴って、骨盤の周辺にある“骨盤底筋群”と呼ばれる筋肉がゆるんでしまうのが原因です。骨盤底筋群がゆるむと内蔵の位置が下がり、下腹がふくらんでしまいます。また、猫背などの姿勢の悪化につながり、さらに筋肉がゆるんでしまう悪循環も生まれます。」
骨盤底筋群は体の内側にあるインナーマッスルに含まれます。一般的な筋トレは体の外側にある筋肉(アウターマッスル)を鍛えるため、インナーマッスルを鍛えずに筋トレをすると、内側がゆるんだまま外側が固められてしまうのだとか。
「ピラティスはインナーマッスルを鍛えることで身体を正常に整える運動です。元々はリハビリのために開発されたエクササイズなので、身体に余計な負荷をかけずに効果を得られます。インナーマッスルを鍛えることはダイエットにもつながりますし、身体の歪み解消に伴って肩こり・腰痛を改善する効果もあります。」
とはいえ、とくに男性にとってピラティスはあまりなじみがないもの。ヨガと似たようなイメージを持っている人も多いのではないでしょうか。
「ヨガは呼吸を整えてポーズを取って静止しますが、ピラティスはトレーニングなので、常に身体を動かします。アスリートのトレーニングにも用いられていて、イチロー選手もピラティスを取り入れていますよ。」
激しい負荷をかけずにトレーニングができるなら、三日坊主も防げそう。これなら効果が期待できそうです!
子どもと遊びつつお腹を凹ませるエクササイズ5選!
実際に子どもと一緒にできるトレーニングを紹介する前に、大事なことが1つ。お腹を凹ませようとすると腹筋運動のように「グッ!」とお腹を盛り上げた状態で力を入れてしまいますが、それはアウターマッスルの運動なのだとか。
「ピラティスでは“スクープ”といって、お腹をスプーンですくい取ったようなイメージでおヘソを中に押し込むことを意識します。おヘソから背中へ針で糸を通して、糸を背中からグッと引っ張るような感じです。」
「呼吸もお腹を使う腹式ではなく、胸で呼吸する胸式呼吸(鼻から吸って口から吐く)で行います。エクササイズの最中はこの“スクープ”を意識して下さい。」
胸で大きく呼吸すると、自然と背筋が伸びてお腹が凹みます。無理にお腹に力を入れるのではなく、“スクープ”のイメージを保つのがポイントです。
また、ピラティスは「量より質」だそう。何セットも繰り返すのではなく、1つ1つの動作を正しく行えば、3〜5回程度で効果が出るそうですよ。
それでは赤ちゃんと一緒にできる、「お腹に効くエクササイズ」を5つ紹介します。
V字(ラウンド・アンド・リリース)

骨盤と背筋を床に垂直にした状態で膝を立てて座り、子どもをヒザの上かお腹にまたがせて向き合います。その状態のまま息を吸って準備し、吐きながらゆっくりと身体を後ろに傾けます。
背筋は軽くカーブさせ、頭からお尻までがアルファベットのCを描くようにします。その状態を3〜4秒キープしつつ、息を吸ってお腹を奥に押し込みながら、骨盤と背筋が床と垂直になる状態へと戻していきます。
「背筋をまっすぐに伸ばし、膝を曲げたまま足を浮かせると、よりお腹に負荷がかかります。さらに子どもを持ち上げてお腹から軽く浮かせた状態で行えば二の腕の運動にもなります。」
お尻浮かせ(ムービング・ブリッジ)

仰向けになり、膝を立て、お腹に子どもを乗せます。息を吸って準備し、吐きながらお尻を上げ、肩から膝まで一直線になるよう、背中をまっすぐにキープします。3〜4秒キープしたあと、再び息を吐きながらお尻を戻します。
「最初に息を鼻から吸って準備し、口から吐きながら動きます。キープした状態でも息を吸って準備し、再び吐きながら動いていくように呼吸を意識しましょう。息を吐くときは『フー!』『ハー!』など音を出すと、よりお腹に効きます。」
次では「飛行機」や「ブランコ」などのエクササイズを紹介します。
飛行機

仰向けになって足を上に伸ばし、すねの部分に子どもを乗せます。前後に揺らしたり、上げ下げしたりすると子どもも喜びますし、お腹にも効いてきます。左右におしりを振るとウェストにも効果があるそう。
ブランコ

子どもは足の裏を合わせて座り、大人は後ろから子供の脇の下に手を入れて足首をつかみます。そのまま持ち上げて前後左右にユラユラ揺らしましょう。
このとき、手の力で子どもを持ち上げるのではなく、手でぶら下げて背中で持ち上げるようにします。また、揺らすときはヒザや背筋を伸ばしたまま行うのがポイントです。お腹のスクープも忘れずに。
バランス(ニーリング・オポジット・アームアンドレッグ)

四つんばいになり、右手と左足を指先から足先まで引っ張るように、手と足を対角線上に伸ばします。背骨は頭からおしりまで真っ直ぐにし、横から見たときに手や足が上下にぶれずにフラットになるようにします。
息を吸いながら手足を伸ばしてキープし、吐きながら戻しましょう。手足の左右を入れ替えて3〜5回繰り返します。
「赤ちゃんなら床に寝かせて目が合うようにし、少し大きなお子さんならお馬さん遊びのように背中に乗せましょう。背中に馬乗りになってバランスを取ると、お子さんの体幹も鍛えられます。」
エクササイズを行う場所は畳かマットがベスト
子どもを身体の上に乗せるときは、バランスを崩さないように注意をする必要があります。このほかにもエクササイズの際に注意すべきポイントを長野さんにうかがいました。
「エクササイズを行う場所は、フローリングの床だと硬すぎますし、布団の上だとやわらかすぎて腰が落ちてしまいます。畳やマットの上がベストですね。バスタオルを重ねて敷いてもいいと思います。あとは無理をしないこと。無理をするとケガにつながります。最初からがんばりすぎず、徐々に負荷をかけていくようにしましょう。」
スキンシップを取りながらのエクササイズは子どもも喜ぶもの。ブランコや飛行機などは「もう1回!」とせがまれるかもしれませんが、くれぐれも身体と相談するようにしてくださいね。もちろんエクササイズはママにもオススメ。家族みんなの健康作りにも役立ちそうですね。