イクメンたちの集まるバーで、父親ならではの悩みや疑問を相談する連載企画。第3回は「パパが育児をする時間」がテーマです。睡眠や趣味、仕事など、どの時間をどのくらい減らしたのか、また育児の時間はどんなことに使っているのかを聞きました。さらには「1日10分でも満足できる、子どもとのコミュニケーション法」も…!?
<登場人物>
杉山ジョージ:兼業主夫放送作家。旗の台BAL Ceroのマスターでもある。
西條一法:「いこーよ」編集部スタッフ。1歳2カ月の子供を持つ父。
<杉山ジョージさんと旗の台BAL Ceroについてはこちらを!>
イクメンが集うBARで聞いた!パパサークルの魅力とは「パタニティーブルー」をぶっ飛ばせ!【イクメンBAR連載】子育ての時間ってどうやって作っています?

——カランコロン、カランコロン(お店の扉が空く音)♪
西條:こんばんはー! …って、杉山さんがドラキュラになってるーっ!
杉山さん(以下、敬称略):ほら、ハロウィンが近いし、なんかそういう雰囲気を出しておこうかなと思って。
西條:杉山さん、お忙しいのにどこにそんな時間があるんだろう…って、そうだ! 今日は「時間」について聞くんだった!
杉山:だいぶ強引にテーマに持ってきた感はありますが…いいでしょう(笑)。「世のイクメンたちは、子育ての時間をどうやって作っているのか?」が今回のテーマですね。
まず、今回の相談内容を、僕が所属しているNPO法人ファザーリング・ジャパンのメンバーにメールで聞いてみました。返ってきた答えを見ると…基本的に「残業をしない」か「早起きをする」ですね。
西條:ふむふむ、「朝早く会社に来て、そのぶん夕方早く帰る」というわけですね。お風呂や夕食、寝かしつけなど育児のコアタイムって夕方以降に多いし。
杉山:そうですね。あとは「業務の簡素化」。効率よく仕事をして、早く帰るように努力する。そういう答えが、どうしても多く出てきますよね。
西條:まあ、それはわかるんですけど、なかなか難しいところでもありますね。
杉山:そこで、もうちょっと具体的な方法というか…「意識を変えてみる」というのはどうでしょうか?
子育ての時間は「量」も大事だけど「密度」「回数」も大事!

西條:「意識を変える」ってどういうことですか?
杉山:「子育ての時間」っていったい何を指しているのか? というのを、もう1度考えてみてほしいんです。子どもと会う時間が1日に何時間も必要だと思っていませんか? 子育ての時間というのは「量」も大事ですけど、「密度」と「回数」でだいぶ変わると思うんです。
西條:そういえば私も「1日のうち、どれだけの時間を子どもに割けるか」って考えていましたね。
杉山:僕は自分の家事や育児を見直したときに、家事と育児を「10分でできるものかどうか」というのに分けて、それを1日の時間割に当て込むというのをやったんです。「子どもと会う」というのは、極端に言えば「10分でもできる」じゃないですか。
西條:確かに!
杉山:たばこを吸う人だったら2本ぶんくらい。そういう意識の持ち方です。睡眠時間も6時間あったものを4時間にするのはすごくきついですよ。でも、6時間あったものを5時間50分にするのなら、簡単にできる。
会えないときでも、子どもに何か楽しみを与える
西條:具体的には、その10分でどうしたらいいんでしょう?
杉山:子どもの年齢に応じて、できることは変わってきますよね。例えば、朝ごはんを一緒に食べるとか、夜帰ったときに子どもがもう寝てしまっていたら横に寝るとか。
西條:「子育てをする!」って構えないで、一緒にいる時間を自然に増やす感じですね。
杉山:絵本の読み聞かせも10分でできます。子供の年齢が上がって字が読めるようになったら、ひとことずつ交換日記的なコメントを残していくのもいい。あと、お風呂で遊べるおもちゃをたまに1個買っていくのもいいですよ。
西條:自分がいられなくても、お父さんが買ったものがあるというだけで、子どもにとってはうれしいですよね。おもちゃが育児に参加してくれている、みたいな。
杉山:僕は家で家事をしているから、自分の子どもに対してはそういう時間の作り方はあまりしないんだけど。でも、いつも思っているのは「会えないときでも、子どもに何か楽しみを与えてあげる」ことかな。
文字や絵などで「父親の存在を感じられるもの」を残す
西條:お父さんがいることで「プラスになっている」と思わせるというか。
杉山:奥さんを助ける意味を込めて、どんなに遅くなっても、お風呂掃除を必ずするのもいいですね。掃除をしたら、おもちゃや壁にあるものの配置を変えるだけでもいいと思います。あと、お風呂で描けるクレヨンもおすすめです。これは石鹸でできていて、こすると泡になって消えるんです。自分が朝風呂に入ったあとや、夜帰ったあとに簡単な絵を描いておくと子どもが喜ぶと思いますよ。
西條:直接会っていなくても、子育てに参加しているということですよね。
杉山:それなら毎日10分でできますよね。小学校1年生や2年生だったら、お互いに「なぞなぞ」を出し合うのもおすすめです。「なぞなぞノート」を作って、お互いに出かける前に書いて、帰ってきたときに答え合わせして勝負するんです。「なぞなぞノート」は毎日やるのが難しいなら、1週間に1〜2回でもOK。それに奥さんも加わると、奥さんとのコミュニケーションになったりもするし。
ホワイトボードを100円ショップで買って、絵を描いたり「行ってきます!」と書いたりしてあるだけでも、子どもが見たらうれしいですよ。
西條:そういう家庭ってあったかい感じがしますね。
杉山:やるときは「何かしら父親の存在が感じられるもの」を意識したいですね。もちろん、費用面がかかるものは奥さんと相談しておいて。とにかく、パパが得意なことをうまく当てはめていくといいと思います。
会えないときは「動画」でコミュニケーション

杉山:動画を撮って送るのもいいよね。「ごめんねー、まだ仕事中」って。「ご飯はもうちゃんと食べた?」みたいな話をして、それを奥さんに送るだけで、子どもからすれば「パパが今ここにいる!」ってなるじゃないですか。
西條:今はスマホがあれば「撮って」「編集して」「送る」までできちゃいますし。
杉山:そこで子供の顔を見るだけで「早く終わらせよう」って気になりますよね。
西條:わかる!
杉山:奥さんは、子どもが「がんばれー!」って言っている動画を撮ってパパに送るとか。
西條:それもいいですね。「パパが育児をする時間」というテーマで、こんな着地点になるとは予想していませんでした(笑)。
杉山:子育ての時間をとらないといけないと思うと楽しくないし、追われる感が出てきてしまうと、なかなか難しいんだよね。今ある時間のなかで、5分〜10分を子どもにどう充てるかを意識するといいかと。
西條:会っている長さだけではなく、会えなくてもコミュニケーションをとって、隙間時間に子どものことを考える。というのが大事ですね。
杉山:もちろん、多くのパパは定時退社を目指していますよ。ワークライフバランスをすすめるべきなのは知っているし、努力していると思う。
西條:それを目指しつつ、仕事の内容や事情でできない人は、これらのアイデアを試してみるといいんじゃないでしょうか。よし、いいお話が聞けたので、お仕事はおしまい。ビールください!
普段、「子育てや家事に協力する時間がない」と嘆いているパパたちも、紹介したテクニックを使って子どもとコミュニケーションをとってみてはいかがでしょうか? バーではこのあと、さらに興味深い話を聞けたのですが、それはまた次の機会に…。