子どもとお出かけ情報サイト「いこーよ」は親子の成長、夢の育みを応援します!

イクメンたちが語る「パパの役割」とは?【イクメンBAR連載】

掲載日: 2016年11月30日更新日: 2016年11月30日西條一法

イクメンたちの集まるバーで、父親ならではの悩みや疑問を相談する連載企画です。第4回は「パパの役割」について。イクメンが続々と誕生している2016年の昨今、尊敬されて慕われる父親になるために、イクメンたちはどんな努力をしているのでしょうか?

<登場人物>
杉山ジョージ:兼業主夫放送作家。旗の台BAL Ceroのマスターでもある。
西條一法:「いこーよ」編集部スタッフ。1歳4カ月の子どもを持つ父。

これまでのイクメンBAR連載はこちら

パパによって「役割」はさまざま

——カランコロン、カランコロン(お店の扉が開く音)

杉山:HAHAHA! メリークリスマス! ぱんぱんっ(クラッカーを割る音)

西條:こんばんはー! って、なんでもうクリスマスーっ!?

杉山:だってさー、季節感を先取りするのって、大事じゃない?

西條:いやいや、記事が公開されるのは11月ですよ…。まあ、もうすぐ12月ですけど、先取りしすぎです(笑)!

杉山:えーっ、そうなの!? ところで今日はなんの相談なのかな?

西條:今回はイクメンのみなさんが「パパの役割」についてどう考えているかを聞きたいんです。

杉山:ふむ。「クリスマスでサンタの代役をする」というのもパパの役割といえば、そうなるかな。

西條:おっと! いいところを突いていますね。クリスマスとテーマが、ちょっと強引だけど結びつきました(笑)。

杉山:この「パパの役割」についてはいろいろな意見があると思うんで、NPO法人「ファザーリング・ジャパン」のメンバーに聞いてみましたよ。

西條:早速教えてもらいましょう。


ママが「風林火」でパパが「山」

杉山:最初の方は「家族の支えになること。家事育児の分担。子どもの気持ちを支えること。わかってあげること。妻と会話すること。気持ちを楽にしてあげることと考えています」と。

西條:1つ1つ、それぞれが大事なことですよね。納得です。

杉山:次は「『家族』という船の方向性を示す人」。

西條:なるほど、パパは船長というわけですね。今現在で転覆しないのはもちろん、先々まで見据えないといけない

杉山:そうだよね。次の人は「妻にとっては子育てのパートナーで、親友であり戦友であること。子どもにとっては、母親と異なる価値観を持った身近な存在。母子にとっては、いざとなったら頼りになる存在。」と。

西條:力強く、頼もしいコメントですね。

杉山:その方は、武田信玄の「風林火山」にも例えていますよ。お母さんが「風林火」で、お父さんが「山」であること。

西條:「動かざること山のごとし」ですね。最後の最後で「どーん」と構えているみたいな。

杉山:父親としては、やはり「そうありたい」というのがよくわかるよね。

自分の子どもだけが幸せな世界などない

杉山:別の方の意見としては「親としては、子どもに安心して暮らせる環境を整える。子どもに自己肯定感を持ってもらう。『あなたはそのままでいいんだよ』、『そのままのキミが大好きだよ』という言葉を言い続ける。父親の役割は、母親の得意ではない面をフォローする」。

西條:母親の得意じゃない面、というと?

杉山:その方が言うには「周りの男の大人たちとコミュニケーションを取り、関係を作ることで、地域全体で子どもたちを育てていく土壌を作る。子どもが周りの大人たちとコミュニケーションする機会を作る」ということのよう。まあ、子ども会の会長とか自治会とか、サッカーのコーチとかですよね。

西條:単に「自分の子だけのパパ」だけでなく「地域の子どもみんなのパパ」の役割を果たすことで、地域の中で自分の子どもが育ちやすい環境を作るということでしょうか。

杉山:うん。やっぱり、「自分の子どもだけが幸せな世界などない」ということだよね。

西條:自分の住んでいる地域の人たちを幸せにすることが、ひいては父親の役割になるわけですね。

杉山:端的に「(子どもの)世界を広げる」という人も。

西條:いろいろなものを見せたり、聞かせたりして、子どもの可能性を広げていくのが役割。なるほど、深いですねえ。

杉山:最後は、「父親、母親としての両方が父親の役割である」。これは、橋さんの意見です。「父親だから、母親だからじゃねえだろ」ってことですよね。

橋さんが登場する記事はこちら!

西條:橋さんらしい意見! 性別じゃなくて「親の役割」として見ているんですね。いただいた意見を全体的にまとめると、家族にとってのリーダーであり、サポーターであり、地域の子どもみんなにとっての「パパ」でもあり、子どもの可能性を広げる存在と。

杉山:うん…まとまってない感じもするけど(笑)。「母親と一緒に家族の方向性を定める責任者」という感じかな?


杉山家の「オレなりの役割」とは?

西條:杉山家の「父親の役割」はどうですか?

杉山:僕ら夫婦は「性別的な役割分担」に立ち向かっているので、橋さんの意見にも近いところはあるんです。でも「父親だから」ということを意識せずに「オレなりの役割」を考えていますね。オレは、父親だけど料理もするし、家のこととかやったりもするし。オレはオレなりの子育てをしているだけであって。

西條:「杉山ジョージ流」なわけですね。

杉山:そうですね。だから、子どもに対して教えたいことというのは「オレはこう思うよ」「オレはこうだよ」「オレの価値観はこうだよ」というのは伝えるんだけど、ただ「これがすべてじゃないよ」とも教える

西條:親の意見や考え方が、絶対正しいわけではないですから。親の意見を参考にしつつ、いろいろな意見を聞ける環境にいられるといいですよね。

杉山:そのためには「いろんな人と会わせる」ということも必要なんだけど。でも、ただ会わせればいいわけではなく、会わせることに対して「やっている感」を出さないのが大事。自然に全部やっていきたいなあと思っています。

西條:「無理強いしている感じ」を出さないということでしょうか。

杉山:目的としては「いろんな人と会わせる」なんだけど、アプローチの仕方としては「娘の要望に応えたあとに、こちらの要望につきあってもらう」という形です。例えば「娘と一緒に飲みに行きたい」というときは、まず娘が「観たい」と言っていた映画を一緒に観に行きます。それから「ここまで付き合ったんだから(映画を観た時間の)2時間はオレにつきあってよ」と提案します。

西條:ギブアンドテイクな関係ですね。

杉山:そう。親と子というより、人間同士の付き合いですね。ただ、「父親がそうだからといって、世の中そういう人ばっかりじゃないぜ」というのは、教えなきゃいけないです。それは子どもがそういう人にぶち当たったときに「大変だったね」というのではなく、「そんなもんだぜ」って言う感じ。

西條:社会に出るといろいろな人がいるから、簡単に「大人」でくくれないですもんね。確かに、子どものころから、いろいろな大人に会ったほうが強く、したたかな人間に成長しそうです。

杉山:先ほど出てきた「世界を広げる」って言葉にとても近いのかもしれないけど、子どもを「子どもの世界で育てようとしない」というか。子どもの世界って、当たり前だけど絶対的に狭いから。大人がいろいろな場所に連れて行ったほうが見えるもの増えるし、経験できます。

子育ては18歳までが「ひと区切り」

杉山:あと、これは自分がそうだったからなんですけど、うちでは娘が18歳になったら、一度家から出して一人暮らしをさせる予定でいます。

西條:18歳は高校を卒業するタイミングですし、大人として認められる、いい時期ですよね。

杉山:だから、「子育ては、18歳まででひと区切り」。期間を区切っているから、毎日が真剣ですよ。娘が将来、何かにぶつかったら「あのときパパがこう言っていたなー」と思い出してもらえることを意識して、そこから逆算して話をするようにしています。大人として必要なことを18歳までに学ばせる。それが「オレ(パパ)なりの役割」ですね。


杉山さんをはじめ、さまざまな「パパの役割」を聞くことができました。イクメンたちは、家族の方向性を定める責任者として、妻と子どもを支えていく意識を強く持っているようです。

ただし、大切なのは自分の価値観を押し付けるのではなく、一緒に子育てするパートナーであるママと、それぞれの役割について話し合い、尊重し合うこと。足りないところをお互い補い合っていける関係がベストですよね。

子育て中のパパのみなさんもこれを機に、ぜひご自身の「パパの役割」をあらためて考えてみては? バーでのお話はまだまだ尽きないのですが、連載企画は今回でひと区切り。またの機会をお楽しみに!

お話を聞いたのは…

  • 杉山ジョージ

    兼業主夫放送作家。1976年千葉県市川市生まれ・日本大学芸術学部放送学科卒。中1と年中、二人の娘を子育て中。2009年に長女が年長の頃から家庭に軸足をおく兼業主夫放送作家となり、情報番組だけでなく子育て番組の構成や子育て関連サイトのコラムなどを執筆。NPO法人ファザーリングジャパン、日本パパ料理協会、秘密結社 主夫の友、NPO法人イクメンクラブ、品川区立清水台小学校PTA顧問(元会長)所属。旗の台BAL「Cero」を経営。

  • 杉山錠士(Facebook)
  • 旗の台BAL Cero(Facebook)

ライター紹介

西條一法

39歳のときに子どもが生まれて育児の楽しさを知り、40歳にして某ゲーム雑誌から「いこーよ」編集部に電撃移籍した。「きかんしゃトーマス」で感動して泣く41歳。最近のマイブームは、子どもに絵本を読むことと、体力が続く限り一緒に遊ぶこと。お風呂と寝かしつけも担当しているが、最近は息子より先に自分が寝てしまう。

ライターの最新記事

あなたにオススメの記事