風邪を引いたのか、鼻をグズグズさせている我が子。ティッシュを渡して「鼻をかもうね」と言ってみても、ピンとこない様子…。では、鼻のかみ方はいつから、どうやって教えればいいのでしょうか。鼻をかむことの大事さを含めて、耳鼻科の先生に伺いました。
鼻水は耳・鼻・のどのトラブルの要因!

「鼻水がたまった状態が続くと、鼻はもちろん耳やのどにも悪影響が及びます。なるべく早く、自分で鼻がかめるようになった方がいいのは言うまでもありません」
こう話すのは、「笠井耳鼻咽喉科クリニック」の院長・笠井創さん。鼻水がたまっていることによる悪影響とは、どのようなものなのでしょうか。
「鼻水は、鼻に侵入したウィルスや細菌、花粉などを排出するためのもの。外に出すべきものを出さないままにしていたら、当然、身体には良くありません。また、鼻水はそれ自体が雑菌などの温床になります。雑菌が鼻の奥につながる副鼻腔という空洞や耳の奥まで及ぶと、副鼻腔炎、中耳炎といったトラブルにつながります」
さらに、鼻づまりのために口で呼吸をすることになると、乾燥によってのどを傷めたり、風邪を引きやすくなったりするそう。たくさんのトラブルを引き起こす原因になる鼻水、「たかが鼻水…」と軽く考えてはならないのですね。
意外と知らない? 正しい鼻かみの方法

いろいろな悪影響を防ぐためにも、可能なかぎり取り除きたい鼻水。ただし、笠井さんは「だからといって、闇雲にかめばいいというものではありません」と注意します。
「鼻をすっきりさせたいと、いきなり強く鼻をかむと、耳に強い圧力がかかります。子どもの場合、この圧力だけで中耳炎を起こしてしまう場合があるので、注意が必要です」
なるほど、鼻かみと言っても「正しい鼻かみ」である必要があるのですね。では、正しいかみ方とはどのようなものでしょうか?
「原則は、片方ずつかむことです。また、一気に力を込めてガーッとかむ人も多いですが、それが一番危険です。何度かに分けて、少しずつかんでいくようにしてください。ゆっくり、小刻みに行うのがコツです」
力を入れずにかめば、耳に不要な圧力がかかるのを防げるそう。子どもに教える前に、自分のかみ方は大丈夫か、見直しておきたいですね。
子どものための鼻かみ練習法

鼻かみを教えたくても、そもそも「鼻をかむ」とはどういうことかを知らない子ども。鼻のかみ方を教えるにはどうしたらいいのでしょうか?
「鼻に息を回して、片方の鼻から出す練習をさせましょう。具体的には、まずティッシュや毛糸の切れ端など、吹いたら簡単に飛ぶようなものを鼻の前に垂らします。次に口を閉じて片方の鼻の穴を軽く押さえてから、垂らしたものを鼻の息で動かせるかどうかを試してください」
大人には簡単に思える練習ですが、実は「子どもには鼻から息が出ているかどうかが意外とわかりにくい」のだとか。
「何かを揺らしたり飛ばしたりさせることで、息を目に見える形にします。それを繰り返すことで、『今、鼻から息が出た』という感覚を覚えることができるでしょう。なお、練習は鼻に何の症状もないときに行ってください。なぜなら、すでに鼻づまりを発症している場合、鼻に息が通る感覚は普段よりさらにわかりにくいためです」
ところで、この練習が可能な年齢はどれくらいでしょうか?
「個人差はあるでしょうが、大人が話していることをある程度理解できたり、動作を真似したりするようになれば可能でしょう。早ければ、1歳半〜2歳くらいでもできるかもしれません」
思ったより早めに開始できる鼻かみのトレーニング。日々の遊びの中に取り入れて、積極的に取り組んでいきたいですね!
鼻かみでの確認ポイント

鼻に息を回すことがうまくできるようになったとして、いざ鼻をかませる場面になったらどんな点に注意したらよいのでしょうか。
「片方ずつかむ、少しずつ息を出す、という正しい方法で鼻をかめているかチェックしましょう。また、とにかくこまめに鼻をかんで、鼻水がたまったままの状態を長引かせないようにするのが大切です。鼻水が取り切れていないと思うときは、自分でかませることにこだわらず吸引器などのグッズを利用するといいでしょう」
また、必要であれば、きちんと病院で治療することも重要とのことです。
「たとえば、鼻の粘膜が腫れていたら、どんなに上手に鼻かみをしてもすっきりしませんし、鼻が通った感覚を得られません。耳鼻科では、原因の診断はもちろん、今たまっている鼻水を取り除いて鼻を通す処置もできます。症状がひどい場合はまず受診したうえで、それから家庭でケアをするという形にしていただければと思います」
最後に、笠井さんは「鼻かみの指導は、時間に制約のある病院ではなかなかできません。家庭での実践が頼りです」と強調していました。今回教えてもらったトレーニングを楽しみながら練習していきたいものですね。