マネーのプロが解説する「お金と子育て」の話。第10回は「節約術」。ちりも積もれば何とやら。小さな出費の積み重ねは、気づけば大きな損失になります。家計の見直しポイントや節約につながる小さな改善などについて、ファイナンシャル・プランナーの大林香世さんにうかがいました。
まずは毎月払っているお金に注目

「いざ節約!」と思っても、どこをどうしたら節約につながるのかは意外とわからないものです。最初は何から始めたらいいのでしょうか。
「毎月支払いが発生するような項目のなかに、無駄なものがないかを見直してみましょう」
無駄とは、支払っている額と必要度が見合っていない項目、あるいは必要以上にお金を使い過ぎている項目。家計の中で、無駄が出やすい項目を挙げるとすると何でしょうか。
「よくあるのは、通信費や保険料の無駄です。自分の使い方や必要度に見合わないプランや商品を契約していると、当然、余計なお金がかかります。うまくいけば月々数千円単位の節約が可能かもしれないので、ぜひ、定期的に見直してほしいです」
「うまくいけば月々数千円単位の節約が可能かもしれないので、ぜひ、定期的に見直してほしいです」
なるほど。仮に月3,000円節約できたとして、年間3万6,000円にもなりますね。真っ先に確認したいですね。
「それから光熱費です。例えば、最近は電力会社が選べますが、あまり考えず以前のまま継続している方もいらっしゃるのではないでしょうか。毎月の支払いが多めだなと思う場合は、変更も視野に入れて検討し直すことをおすすめします」
「また、節電、節水などに改めて気を配るだけでも出費を減らせる可能性があります。ぜひ実施してみましょう」
「安いから」「何となく…」の小さな出費を抑えよう

習慣になっているちょっとした行動の中に、まだまだ節約のポイントが潜んでいるそうです。
まとめ買い、コンビニへの立ち寄り
「まとめ買いは度を超すとただの無駄遣いになるので、ほどほどに。また、帰宅途中などに何となくコンビニに立ち寄ったりすると、あまり必要のないお菓子や飲み物を買ってしまいがちです。コンビニは用事があるときだけ行くように心がけ、お金の使い過ぎを防ぎましょう」
100円ショップ
「100円ショップに行くときも要注意。お得な商品も多いとはいえ、100円だからいいか…と安易に買い物をしてしまう危険があります。安易な買い物は節約につながらないだけでなく、子どもに『お金は気軽に使っていいもの』と印象づけることにもなってしまいます」
外食
「外食の回数はいかがでしょうか。たまには良いですが、習慣化して頻度が高くなっていないか考えてみましょう」
クレジットカードの使い方
「クレジットカードで買い物をして、支払い方法に分割やボーナス払いを選ぶことが多い人は、そのぶん手数料として無駄なお金を払っていることに。できれば手数料のかからない一回払い以外は避けましょう。また、カードを複数持っている方は、なるべく少なく整理した方が、クレジットカードのポイントもたまりやすくお得です」
銀行の各種手数料
「銀行の振込手数料や引き出し手数料についても、一回何百円とかかるのにあまり意識していない人が少なくありません。もったいない出費なので、手数料無料のプランがある銀行を使うなどして、ぜひ節約してほしいと思います。ATM手数料のかかる時間帯や日曜・祝日などにお金をおろさないこと、なるべく自行のATMを利用することも心がけてください」
どれも一つひとつは少額の出費ですが、積み重なったら立派な額になってしまいそうです。何となく、意識しないでしてしまう小さな出費は、節約の大敵ということですね。気を付けたいものです!
バランスが重要! 節約は楽しみながら

子育て家庭には、子どものための出費も多いもの。子育て中ならではの節約方法はあるでしょうか?
「子どものもので、いちばん買い替えの頻度が高いものは、たぶん服ですよね。リユースの衣服に抵抗がなければ、フリーマーケットやリサイクルショップをどんどん活用したらいいと思います。服以外でも、おもちゃ、絵本、ベビーグッズなどは、フリマなどで売買するのがおすすめです」
フリーマーケットやリサイクルショップは、いいものが見つかればお得ですし、子どもも意外と楽しんでくれるお出かけ先。みんなで楽しみながら節約できるのならうれしいです。
「そうですね。そもそも節約は、楽しみながらやることがコツなんです。節約に夢中になりすぎて生活を味気ないものにしてしまわないよう、気を付けてほしいと思います」
確かに、出費を抑えることができても、それで心の余裕がなくなってしまっては本末転倒かもしれません。
「それと、服の手作りとかバスを使わず歩くとか、手間をかけてコストを抑える方法もありますが、こうした方法は、お金は節約できても時間を使います」
「ママはみんな忙しいのですから、『時間の節約』と『お金の節約』のバランスをしっかり考えて、無理しないようにしてください」
無理はしないで、無駄を省く。これが節約の極意かもしれません。楽しみながら少しずつ、出費をコンパクトにしていきましょう。