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人形って捨てちゃダメなの? 処分方法・供養の仕方・金額も紹介

掲載日: 2018年2月20日更新日: 2018年2月20日水谷 映美

人形やぬいぐるみは、子どもが愛着を持って使っていた大事なもの。だからこそ、不要になったときの処分に困る人も多いのではないでしょうか。ゴミとして捨てにくいという意見も多数あり、神社などで供養する人もいるそうです。とはいえ、人形はそもそも供養が必要なのでしょうか。ほかのおもちゃとの考え方の違いや歴史について、専門家に詳しく聞きました。

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「人形」は元々どんなもの?

今回話を聞いたのは、一般社団法人「日本人形協会」副会長で、株式会社倉片人形の社長・倉片順司さん。古くからある日本文化や人形の歴史に詳しい、まさに人形のエキスパート的存在といえます。

そもそも人形にはどんな意味があるのでしょうか。

人形とは、神社によくある御札から変化したものです。人形は『ひとがた』とも読みますよね。御札を人の形に切って身体になでつけることで、その人に降りかかる災厄を人形に移していたのです

「厄を移した紙の人形は、川に流していたのが通例でした。流し雛などがその一種です。それが、だんだんと紙ではなく姿形を作るようになり、現在のような人形へと変化してきました」

よく、人形にはその人の魂が宿るなどと言われますが、人間の身代わりのようなイメージなのでしょうか。

「そうですね。その人の代わりに人形が厄を背負ってくれると考えられてきたので、魂が入っているともいえますね」

「御札は一年限りなので、紙の人形に厄を移していたときは毎年川に流していましたが、毎回流すのはもったいない、忍びないということから、物の人形へと変わってきました。その分、厄が人形に毎年封じ込められているといえるでしょう」

ぬいぐるみやフィギュアも同じ意味合いなの?

子どものおもちゃには、「リカちゃん人形」や「ポポちゃん」などのようにキャラクター化されたものや、クマなど動物のぬいぐるみ、フィギュアなども数多くあります。このような種類の人形も、同じように厄を移す意味合いがあるのでしょうか。

もちろん、すべての人形に魂が宿っている、厄を肩代わりしてくれると考えなくても大丈夫です。ただし、気に入っている人形やぬいぐるみは、一緒に遊んだり、大切に持ち歩いたり、時には一緒に寝たりしますよね。自分が大切にしている、心のよりどころになっている存在であれば、ある意味で心がこもっていると考えてもいいかもしれませんね


「人形供養」ってどうやって行われるの? 

神社で人形供養というと、かなり厳かなイメージですが、どういったことをするのでしょうか。

「昔のように川に流せればいいですが、そういうわけにはいきませんよね。そこで、神社やお寺などで『人形供養』が行われています」

「人形供養」は、お炊き上げ(おたきあげ:感謝の気持ちを込めながら浄火すること)をして、人形の魂を天にかえすことを意味します。とはいえ、人形をそのまま焼くことは環境問題などから難しい場合もあるため、多くの神社では次のような方法で供養が行われています。

  1. 人形を「御霊抜き(みたまぬき:魂を抜くこと)」して、紙の人形に魂を移す
  2. 魂が移った紙の人形をお炊き上げして天にかえし、感謝する

「魂を抜いたら、その人形は『モノ』になるため、一般の処理方法でごみとして処分しても構いません。もちろん、人形自体をお炊き上げして供養(火葬)するところもあります」

なるほど。魂が天にかえったあとは、モノという認識になるのですね。ちなみに、人形供養を「感謝祭」としている神社もあるようですが、違いはあるのでしょうか。

供養というとお葬式のイメージですが、感謝祭というと少し印象が変わりますよね。大切にしてきたもの、ずっと一緒に遊んでもらったものを処分するということは、その人形は何らかのお役目を果たしたということ。そんな人形やぬいぐるみに感謝の気持ちを込めて供養するということで、近年大きな需要があるようです

「人形供養」のタイミングと値段は?

どういった理由で人形供養をする人が多いですか。

「人それぞれではありますが、人生の節目節目で、大切にしてきた人形やぬいぐるみを人形供養して処分しようと考えられているようです。結婚や子どもが生まれたとき、引っ越しや家を建て替えるタイミングで、持っていた人形を供養する人も多いですね」

「絶対に供養しないといけないわけではないですが、大切にしてきた人形やぬいぐるみであれば、感謝の気持ちを込めて供養することをおすすめしたいです」

人形供養を行っている神社やお寺は全国各地にあります。多くの場合は年に数回決められた日時に行っているため、受付期間が限られている場合も。

供養料は3,000円〜5,000円前後の場合が多いようです。人形の体数や大きさなどによって異なることもあるため、事前に公式サイトや電話などで問い合わせるといいでしょう。

「人形供養代行サービス」とは?

近くに人形供養を行っている寺院がないときは、どうしたらいいでしょうか。

「最近は、野焼きが禁止されていることもあり、人形供養を行っている寺院を見つけるのが難しいことがあるようです。そんな人のために、郵送で人形供養を受け付けている寺院もあります」

「また、人形供養代行サービスを行っているところもあります。たとえば、日本人形協会の人形感謝(供養)代行サービスは、ゆうパックを利用したサービスです。申し込みをするとお人形差出キットが送られてきます。同封されている『ひとがた札」に住所と名前を記入し、人形と一緒に専用の伝票で送り返し、料金を支払うだけです」

「送られてきた人形一式を事務局で保管し、毎年10月頃に行われる東京大神宮の人形感謝祭にて供養をする、という流れです」

箱に入れて送るだけであれば、どこに住んでいても利用しやすいですね。ちなみに、受付できないものはありますか?

「基本的には、雛人形や五月人形などの人形全般、ぬいぐるみやこけしなど顔のついたもの、羽子板など顔が描かれているもの、鯉のぼりなどが受付可能です。人形以外のもの、箱の大きさが縦+横+高さの合計170cm以上、重量30kg以上のものは受付できないので、ご注意ください」

飾り続けるにしても処分するにしても、愛情を持って人形をかわいがってほしいという想いが、倉片さんのお話から伝わってきました。人形供養をすることで、物を大切にして感謝する気持ちが子どもにも芽生えそうですね。

お話を聞いたのは…

  • 倉片 順司さん

    1957年生まれ。一般社団法人 日本人形協会 副会長・広報委員長。大学卒業後、同業にて修行し、1983年より家業の雛人形製造販売に携わる。妻と男女の双子の4人家族。

  • 日本人形協会HP
  • 倉片人形HP

ライター紹介

水谷 映美

1979年生まれ。出版社勤務、受付嬢、社長秘書を経て、現在はwebを中心にライターとして活動中。男・女・女の3児の母。気になることは何でも試してみないと気が済まない典型的B型女子。子育て世代のリアルな声を反映した記事を得意としている。

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