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子供のイライラは低血糖が原因!? 症状&危険性&改善法も紹介

掲載日: 2018年5月7日更新日: 2018年5月7日宮平なつき

子どもが疲れやすかったり、イライラなどの感情が抑えられなかったりして心配に思うことがありませんか? その症状は、もしかすると「低血糖」が原因かもしれません。大人よりもなりやすい子どもの低血糖について、東京家政学院大学教授の原 光彦先生に、症状や原因、予防法などを教えてもらいました。

低血糖とは?

低血糖とは、血液の中のブドウ糖の濃度である血糖値が低くなることを指します。脳のエネルギーとなるブドウ糖が十分に送られてこないので、さまざまな症状が起こります」

低血糖になると、具体的にはどんな症状が出てくるのでしょうか? 

まず、お腹が空いて、元気がなくなります。異常に眠かったり、あくびや冷や汗が出たり、嘔吐したりします

比較的高めだった血糖値が急激に下がると、集中力が途切れてぼーっとしたり、理由もなくイライラしたりすることもあります

低血糖の程度がひどくなると、意識がなくなって、けいれんを起こすなど、危険な状態に陥ることもあるそうです。

ひどい低血糖症状の場合には、すぐに病院へつれて行くことが先決ですが、そうならないためにも日頃から低血糖を予防することが大切ですね。

子どもは大人よりも低血糖になりやすい!?

子どもは大人よりも低血糖になりやすい傾向があるそう。なぜでしょう? 主な原因は2つです。


1.1回に食べられる食事量が少ない

「まだ胃が小さな子どもは、1回に食べられる量が大人よりも少ないですよね。十分な量を食べていれば、余分な糖は肝臓にグリコーゲンとして蓄えられますが、子どもの肝臓は小さくグリコーゲンの蓄えも少ないため、低血糖になりやすいのです


2.糖分を摂りすぎる

「甘い物には、糖分がたくさん含まれています。お菓子やジュースにも砂糖がいっぱいです。体の小さな子どもが一気にたくさんの糖分を摂ると血糖値が急上昇するため、それを下げようとするインスリンというホルモンが分泌されます

「すると、今度はインスリンの働きで一気に血糖値が下がり低血糖の原因になります。子どもは血糖値を一定に保つための内臓機能が未熟なので、低血糖症になりやすいのです」

特に気をつけたいのが、甘いお菓子と一緒にジュースを飲ませることだそう。糖分を多く含んだお菓子とジュースを一度に摂取すると、血糖値は急激に上がり、しばらくすると急激に下がります。血糖値の乱高下は子どもが低血糖を引き起こす原因になるので、この組み合わせは避けた方がよさそうです。

これ以外にも、十分な食事を摂らずに激しい運動をすることや、精神的な緊張やストレスなどが原因になることもあるそうです

また、食が細く華奢な子どもでは、低血糖を繰り返す場合があるのでとくに気をつけたいですね


低血糖は将来にも影響が!?

脳がエネルギー不足になる低血糖は、精神状態にも大きく影響するようです。精神が不安定になることで、家族や友人とのトラブルが増え、ひきこもり、うつ、不登校に陥る場合もあります。

「最近は、自己流のダイエットを行なっている女の子が多くなっています。エネルギーが不足した状態が続くと、血糖値は低めに推移し、やせが生じます。極端なやせは、大人になって不妊に悩まされたり、たとえ赤ちゃんを授かってもお腹の赤ちゃんの栄養不足から、体重の軽い赤ちゃんを産む可能性が高くなります。こうして生まれた赤ちゃんは、あまりたくさん食べなくても、将来肥満やメタボになりやすいことが分かっています

食生活を少し変えるだけで低血糖は予防できる!

低血糖の予防には、日常生活に注意することが大切だそう。気をつけるポイントは、下記の5つです。ほとんどが少しの心がけでできるものなので、ぜひ気をつけたいですね。

(1)必ず朝食を食べる
(2)小さい子どもには、食事以外におやつも与える
(3)血糖値をゆるやかに上げるため、よく噛んで食べる
(4)甘いお菓子やジュースを控える
(5)空腹時の激しい運動は控える

「朝食をとらないと脳に十分なエネルギーが補充されないので、低血糖の原因になります。前日の夕食後から何も食べずに朝食を抜くと、半日近く空腹状態が続くことになりますよね。食事の間隔が空き過ぎることも低血糖の原因になるので注意してください

実は3時のおやつも大切です。大人よりも胃が小さく、成長するための栄養も必要な子ども達は、一度の食事で十分な量を食べられないことが多いです。おやつも食事の1つと考えて、3食で補えない栄養が摂れるようにおやつの内容を考えましょう

低血糖を予防するためにとくに大切なのは、甘いものばかり食べすぎないようにすることだそう

「甘い物は、脳の報酬系に作用するため、麻薬のような中毒性があります。普段から取りすぎていると、甘い物中毒になってしまいます。甘い物を目に入りやすい場所に置かないなど、親がコントロールしてあげることも大切です」

「甘い物を摂りすぎているなと感じたら、まずはおやつを甘いお菓子から果物やおにぎりにする、ジュースを水かお茶にするなど、工夫して少しずつ変えていくとよいでしょう」

子どもに生じやすい「低血糖」。食生活を少し改善するだけでも予防できるので、ぜひ気をつけたいですね。

お話を聞いたのは…

  • 原光彦 先生

    医学博士。東京家政学院大学 人間栄養学部 人間栄養学科教授。日本小児科学会専門医・指導医、日本臨床栄養学会認定臨床栄養医・指導医、日本スポーツ協会認定スポーツドクターなどの資格を所持。2007年から2015年まで、東京都立広尾病院小児科部長を務め、現在も非常勤医師として診療継続中。著書に『小児臨床栄養学』など多数。

ライター紹介

宮平なつき

フリーライター。美容、健康、ダイエット、恋愛、結婚、子育て、教育、インテリアなど、“女性のライフスタイル”にまつわる記事や著名人のインタビュー記事を主に執筆。趣味は、スポーツ観戦と旅行。最近の最も気になることは、甥と姪の成長。

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